「コバトンって、埼玉の県の鳥、シラコバトをモチーフにしたキャラでしょ？」
「そうそう。ドバトとあんまり変わらないカラーリングの鳥」
「県のオフィシャルのキャラでしょ？」
「国体のマスコットもやってましたね」
「いいの？　自分から『ゆるキャラ』って名乗って」
「今回、埼玉のゆるキャラの団長らしいから、いいんじゃないですかね」
「……」

「個人的には加須市の『こいのぼりん』に出演してもらいたかったけど」
「こいのぼり型の着ぐるみね。あれはビジュアルショックだよね、モロ顔が鯉のぼりだから。ちょっとカンのいい子供だったら泣くね…」

ゆるキャラパワーに押され、再び列に並ぶ気にもなれず、疲れきった私たちは、大宮の「はやい時間からやってる居酒屋」に逃げ込んだ（ヒドイ）。
埼玉のサッカー選手も多く来店するという県内チェーン店、「力（りき）」だ。

大反省会開催。

「しかし、小麦粉を使った料理ばっかりだったわねえ」
「まあねえ。しょうがないよ、海産物もないし…。派手な料理は作れないよ」
「小麦粉、っていちばん安いものだよね」
「どこの地方も、昔から伝わる『お米の代用食』って小麦粉だよね。んー武蔵野丘陵って小麦粉の産地だしな。まあいいじゃない、200円だったんだし」
「ねえ、もし、来年も来るとして。今回みたいに失敗しないように、全商品制覇するには、どうしたらいい？」
「…最低、８人体制で３回転か。それでも２時間並ばないといけない」
「埼玉県のために、そんな人数、かりだせないわよ！」
「んー、４人だと４時間、６人だと２時間40分か…」
「早朝行って並べば、アサイチだったら、もっと早く回転出来たかもしれないわね」
「実際、根性で並んでる人、いるだろうしなあ」
「っていうか、私たち、根本的に、埼玉愛が足りないのよ…！」
「現状で都内に住んでるからって、都民きどりで…」
「いや、実際にクソ高い都民税払ってるから都民なんだけどさ…」
「埼玉の呪縛からは逃れられないねえ」

遠い目。