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ひらめきの月曜日
 
潜入・ピラミッド祭りinジャパン


 

強大な権力を誇った王の墓として知られる巨大建造物、ピラミッド。エジプトの砂漠に建つその雄大な姿は、世界的にも有名だ。調べてみるとピラミッドは中南米やヨーロッパにもあるらしい。

人を古代のロマンに誘うピラミッド。そんなピラミッドの神秘を祝祭する行事がある。その名も「ピラミッド祭り」。

…なんかずいぶんざっくりした名前の祭りじゃないだろうか。「ピラミッド」と「祭り」がつながってるというのにも違和感がある。

そしてさっきからエジプトとか中南米とか言ってきたが、このピラミッド祭りが行われるのは日本。どういうことなのか。気になる謎に満ちたこの祭りに潜入してきました。

小野法師丸)



日本にもピラミッドがあるというかないというか

長い歴史にさらされつつ、神秘的な魅力を放ち続ける文明の金字塔、ピラミッド。そこには生命を活性化させる「ピラミッドパワー」があるという話を聞いたことのある方も多いだろう。


何のてらいもなく日本
そしてアメリカもある懐の深さ

かつての城下町でもあり、現在も趣のある街並みの残る松代。そんな町内に、変わった形の山がある。


突如現われる奇妙な形の山

独特の形をした山が、高速道路を走る車の窓から見えた。これが日本のピラミッドとも称される「皆神山」だ。

周囲の山々と連なることなく、そこだけぽっこりと独立して盛り上がるこの山。地面から生える斜めの稜線を、そのまま空に向かって延長させれば確かにピラミッドの形が描けそうに思える。


確かに気になるこの感じ

google earthで見てみても、平らな周囲からそこだけ突き出た不思議な様子はよくわかる。地学的なことはよくわからないが、神秘的なものは感じられなくもない。

ここは本当に日本のピラミッドなのだろうか。時空を超えたロマンが広がる。


思わず頭の中で繰り返して読んだ
そういうテンションでいいのか

そして周辺に近づくと見えてくるのが、広がったロマンもそうでもない感じになる名乗りっぷり。皆神山の山頂には皆神神社という神祠があるのだが、看板で「皆神神社ピラミッド参道」とつなげて言われると、逆に言葉それぞれが頭の中でどうもうまくつながらない。

緑色にはためくのは力強いゴシック体で書かれた「ピラミッド祭り」ののぼり。こうしてきっぱり書かれると、頭の中にこびりついているエジプトの様子と、目の前の現実とが不整合を起こす。


いざ登山開始
と言っても車ですが

ロマンと釈然としない気持ちとが入り混じる自分の気持ちをはっきりさせるためには、皆神山に登ってその実体を確かめるしかない。そういうわけで山頂を目指す。

とは言ってもこの皆神山、頂上まで車で登れる道が整備されている。ピラミッドかもしれないのに、車でぐいぐい行けてしまうのだ。


のどかな山頂付近の様子
タンポポの元気が半端ない

道すがら、歩いて登っている地元の女子中学生とおぼしきグループに「春日部ナンバーだって…」と不審そうにつぶやかれながら山頂に到着。タンポポが都会では見られない勢いで咲き誇っている。でかいクマンバチがそこら中でホバリングしている。

のどかでいいところではないか。そう思っていたのだが、皆神神社の駐車場で目にしたものでまた話が変わってくる。


人を沈黙させる看板

ある程度年季が入っていて一部字がかすれて読み取りづらいが、まず「世界最大で最古の皆神山ピラミッド」と書いてあるのがわかる。

いきなりずいぶん大きく出てないか。世界最大のピラミッドって、確かクフ王のピラミッドって聞いた気がする。でもここまで車で数分かかったから、ここがピラミッドなら世界最大かもしれない。

いや、ほんとかそれ。そもそもピラミッドって車でちゃちゃっと登ってしまっていいものなんだろうか。


スケールでかい話になってます
作った目的も壮大

看板によると、皆神山は重力制御技法によって作られたものであるらしい。大きな石を木のコロで転がして作ったのではなく、材料を空間移動させて作ったものなのだそうだ。

…読めば読むほど混乱してきた。作った目的は宇宙空間への航行基地としてとのこと。

豊かな自然、はためくのぼり、そして超自然的な主張。各方面から自分が引き裂かれそうになるのをこらえて、神社の方に足を運んでみよう。


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