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はっけんの水曜日
 
熟練者と行く廃村体験〜大平宿リベンジ〜

大平宿外れの神社まで

散歩とはいっても、極めて小さな集落であるこの大平。行く事ができる場所など限られている。私がまず目指したのは、集落の南の外れ、川を越えたところにある神社であった。

その神社は周囲が木々に覆われ薄暗く、しかも拝殿の戸が一枚だけ開いていたという、あまりに忘れがたい、強いインパクトを私に与えた神社である。大平宿を散歩しようと思い立った時、まず初めに頭に浮かんだのも、その神社の姿であった。

ちょっと恐ろしくはあるが、やはり見に行かないわけにはいかないだろう。ついでにその道中、3年前と今とで、何か変わった点があるかもしれない。それもチェックしてみよう。


集落内を通る小川(2007年)
あ、竹樋がなくなっている(2010年)

集落のはずれにある橋(2007年)
相変わらずワイルドな橋だが……草木が短い?(2010年)

橋の上に生えている木が、刈り込まれている(2010年)

この橋に来るまでの道のり、私は何か違和感を覚えていた。随分歩き易くなっているというか、見通しが良くなっているというか……なるほど、雑草が刈られていたのだ。

今回訪れたのは、ゴールデンウィーク直後の休日である。大平宿の利用増加が見込まれるゴールデンウィーク前とかに、伸びた雑草を刈ったのかもしれない。あるいは、大平の集落が草木に埋もれないように、定期的に除草しているのか。

それにしても、ただ雑草を刈り払う、それだけで随分と人の手が入っているという印象を受けるものだ。



神社へと続く石段(2007年)
やはりここも、周囲の雑草が刈られている(2010年)

戸が一枚だけ開いていて、不気味だった神社(2007年)
……戸が、全部無くなっている!(2010年)

神社が視界に入った時、私は我が目を疑った。だって、拝殿の戸が全て取り外されていたのだもの。以前は開いていたのは一枚だけ。それが今回は、ぽっかりと大口全開なのだもの。

私は一瞬、言葉を失い立ち尽くしたが、でも、なぜだろう。少し時間が経つと、ほとんど怖さは感じなくなっていた。以前は走り出して逃げたくなるほど恐ろしく感じたのに。

それは多分、戸が全て取り払われた事で、内部の様子が良く見えるようになった為だろう。中に何かが潜んでいるというような、見えないものに対する恐怖が薄まってしまったのだ。


神社裏手から道路を経て集落に戻る途中、木が切り倒されていた

3年という月日は短いようで長いものだ。時はものの状態を刻々と変えていく。そりゃ雑草も刈られるし、神社の扉も取り外され、木々も伐採されるだろう。この世のどこであれ、時間と共に変化しないものなどありはしない。

でも、なぜだろう。以前とほんのちょっと違うだけなのに、そこが知っていた場所では無くなってしまうような、そんな寂しさを少し感じるのもまた事実。

いや、しかし、元は廃村として打ち捨てられ、荒廃していく運命であったこの集落。人の手が加えられ、住むに耐えうる空間へと変わって行くならば、それは願ってもいない事だろう。そういう意味では、歓迎すべき変化でもある。

 

温かい食事にありつけるという感動

さて、束の間の散歩を終えて囲炉裏に戻ると、既に食事の準備が整っていた。以前の私には成し得なかった、温かい食事も、風呂も、全てが完璧に用意されていた。

この熟練者の皆さんのスキルについて、私はただただ凄いとしか言っていないが、本当に凄いとしか思えなかったのだから、しょうがない。いやはや、凄い。


囲炉裏では豆乳鍋ができていた

かまどでは竹の子ご飯が炊けてるし
風呂も、しっかり沸いている

なんて言うか、私が何もしないでも、このように世界はうまく回って行くんだなぁ。……って、いかん、いかん。何だか今日は気分が後ろ向きだ。メシだ、メシにしようじゃないか。

実は今回、私は以前大平宿に泊まった時と、同じ内容の食事を用意していた。今回もまた、前回と同じものでも食べていれば良いかな、などと思っていたのだが……。


前回とほぼ同じメニュー(当時はこれがご馳走だと思ってた)

一応、これで済まそうと試みてみるものの……
あぁ、やっぱりあっちの料理が気になってしょうがない

サバ缶に冷酒というメニューも、なかなか悪くはないと思っていたのだけれども、その温かな料理の数々を見てしまったら、どうもダメだ。すっかりサバ缶が霞んで見える。

サバ缶と豆乳鍋とでは、塩おにぎりとフルコースくらい違う。お腹が空いてどうしようもない時には、塩おにぎりでも十分なご馳走になるが、そうでない時にはしょっぱいだけだ。


スミマセン、私もこちらをいただく事にします

熱い、熱い、うまい、熱い
そして、こんなのも追加されちゃったりして

いやぁ、いろりも温かいし、たまらん
星もきれいだ、酒も回る

そして、当然の帰結に至る

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