蛇さんに聞いてもらおう

ならばと、笛を聞かせに動物園へやってきた。いた、蛇がいた。でかいなー怖いなー。なんかちょっと満足したというか、やっぱり笛吹いても来ないで欲しいという気持ちになったが、吹いてみる。

蛇、反応無し

反応無し。やっぱりというか当たり前というか、全く反応しない。
なんだろうね、蛇と笛って一体どういうつながりなのか。

笛を変えるも反応無し。そりゃそうだよな、蛇もいきなりそんな事されても困るよな。俺も今、困ってるよ。

笛じゃないかも知れないが蛇っぽいから。と吹き戻しを吹くも反応無し。笛じゃやっぱりダメなのか、ずっとリップクリーム塗ってるけど、唇がテカテカな位で口笛はまだ吹けない。

夜じゃないとダメなんだよ

これは無理か。と思った時に気がついた。時間だ。動物園はお昼までしか営業してないからダメだったんだ。蛇が来るのは夜。営業時間外に無理を言っても仕方ないですよね。

夜が更けるのを待ち、公園へ向かった。

意外にも人がたくさんいたのに驚いた。長縄飛びしてる人達や輪になって座っている人達など、昼間なら微笑ましいが夜だとちょっと怖い。明るさと時間の威力を知る。

それに怯まず笛を吹く。適当に吹いていたら、自然と「かえるのうた」の指遣いを思い出した。意外と覚えてるもんなんだな。メロディーがあると吹いていて楽しい。どうだ、来い、蛇！

なんか違うの来た

辺りに注意しながらずっとかえるのうたを吹いていたら近くのベンチにカップルがやってきた。いや、カップルってレベルじゃない。アベックだ。

え、なに？なんでそこなの？他にベンチいっぱいあるじゃん。なんでわざわざリコーダーでかえるのうた吹いてる人の近くに座るの？わ、うにょうにょ絡み合ってるけど、なんなの？蛇なの？

困った、なんでそこなんだ。BGM代わりか。でもかえるのうたしか吹けないぞ。あー、どうしよう。

現代の蛇

と、その時、小学生の時、ラッパのマークの正露丸のメロディを吹くのが流行った事を思い出した。あ、吹きたい。でも気まずい。まぁいいや。と吹いてやった。

その瞬間、アベックの動きが止まり、互いに離れる。おぉ、正露丸が止めるのは腹痛だけじゃ無かったんだな。と思ったら、アベックは携帯を取り出し、カメラをこっちに向けた。

うわ、なに、やめて。仕方なく僕はその場を離れた。笛を吹いたら怖い物が来るよ。っていう例えとしての蛇ならば、写真撮られてどっかに送られるのも十分怖い。これは現代の蛇だ。

夜に笛を吹いたら現代の蛇なら呼び寄せられた。いや、違うわ。