岩手県の盛岡市に、「ござ九」という生活雑貨店がある。ふつうに営業しているお店なのだが、江戸後期から明治にかけて次々と建て増しされた商家の姿を今に伝える建物として、観光スポットのひとつにもなっている。 数年前に訪れたとき、大きな豆のサヤを乾燥させたものが売っていて、「何に使うんですか?」と訊いたら、「洗剤になるんです」と言われた。「洗剤?」と不思議に思いつつ、そのときは買わなかったのだが、久しぶりに盛岡をぶらぶらする機会があったので、その植物=『サイカチ』の実をぜひぜひ買ってかえろうと考えていた。
(櫻田 智也)
ござ九
観光スポットとしても有名なところなので、盛岡に興味がありちょっと調べた人なら名前をきいたことがあるのではないだろうか。日用雑貨を取り扱うお店だ。
数年前に訪れたときに目にした気になる商品。植物の名前も忘れていたのだが、ありました。数年前と変わらぬ場所に。
マメ科の植物「サイカチ」の実を乾燥させたもの。 あらためて用途を確認すると、やはり洗剤として使うものらしい。
「水につけて揉んでるとヌルヌルしてくるので、それで洗うんです」
とのこと。うーむ、興味あり。 お店の方によれば、
・昔はそのへんにたくさん生えていた ・これは去年の秋に拾った実を干したもの ・右側のは形がいいのでちょっと高くしてます(照れながら) ・皿も洗えば身体も洗う(人もいる)
よし、買った! 形のいいやつをくれ!
気温が高くなると実の中にいた虫が外に出てくるのだという。天然のものだから仕方がない。 「悪い虫じゃないので大丈夫です」と言っていたので大丈夫だろう。
ありがとう、ござ九。今度は亀の子タワシ買いにきます。
悪くない虫がでます
というわけで念願のサイカチを手に入れゴキゲンなぼく。
帰宅してさっそく試したりはせず、持ち前の悠長さでとりあえず室内に干してみた。
だがやはり気になるのは、
なんだか見るたびに「あれ、ここにもあったっけ?」と、増えている気がする丸い穴。 そう思っていたら、このあと室内に見たことのない虫(跳ねる)が出現しはじめた。 「うむ、岩手も陽気になってきたわい」と喜びをおぼえつつ、やっぱり気持ち悪いのでベランダに出した。
試します
さて、教えられたとおり水につけてみましょう。
タライにぬるま湯をはり、その中に実を3つ。
表面をこすってみるも、とくにヌルヌルした感じはない。
泡立ったりとか、そういう様子もなくただ水が濁ってゆく。いいのか、あってるのかコレで。 なんとなく「しばらく置いたほうがよいのでは」という気がして、ちょっと外出して戻ってみると、
剥がれ落ちた表面の皮やらなんやらも浮かびつつ、茶色く濁った色。これが洗剤なのか、だとしたらすげえ、昔の人すげえ。
キモチ柔かくなった実をさわってみると、皮の剥げた部分がちょっとヌルヌルして、少し泡がでる。実を裂いてみると、
なるほど内側がとてもヌルヌルしている。どうやらこの部分が肝心のようだ。