海、気持ちいい
淡路島は島なので、ほぼ全面海岸だ。先ほどの店から数百メートルの所にある海岸にやってきた。
砂浜はサラサラで松が生い茂り、爽やかな風が吹き抜ける、とても気持ちのいい海岸だ。こんなところに本当に玉葱があるんだろうか。
玉葱を探し、波打ち際までやってきたがそんな気配は一切ない。浮いてるものすら全然なく、かなり綺麗な海だ。向こう岸が大阪だとはとても思えない。
玉葱の気配一切無し
見つかりそうな気が一切しないが念のため探して歩く。砂浜や海を見ながら歩くも見つかるのはクラゲか木の枝くらい。これは僕の知ってる砂浜だ。砂浜には玉葱が落ちてるはずもない。
見つかる気配が全くない。もう靴の中じゃりじゃりだが歩いても歩いても砂浜で自分の中で区切りがつかない。どこでやめれば納得できるだろうか。ねぇよ、ねぇ。
なんかあった
そろそろ帰ろうかなぁと思った頃にそれは見つかった。
砂浜にポツンと、だけど妙に存在感を持って落ちていた。玉葱じゃなくて、ニンニクだ。
海に、ニンニク。な、なんで!?よくわからないが嗅いでみると、臭い。こりゃニンニクだ。なんかわかんないけどニンニクが見つかって凄くうれしい。何度も匂いを嗅いで臭いと喜ぶ。
うわぁ、臭いなぁ。これはもう十分だわ。と思っていたところで見つかった!あ、あれは!!
頑張って取った
うわぁ、玉葱や!本当に海に浮いてるよ!!ここまででかなり信じてはいたのだけれど、実際に見ると逆に信じがたい。何これ。おかしいだろ。
折角見つけたのだから手に取りたい。近くで長い棒を探してきて引き寄せようとしたのだが自分は何を見ていたのかと疑うほどに長さが足りなかった。しょうがないので膝まで浸かって取った。
先入観って恐ろしい
バシャバシャと濡れながらこの物体を手にした瞬間、玉葱とは違うとわかった。表面はぶよぶよで柔らかい。これ、ミカンだ。
割ってみるとどっからどう見てもミカン。更に先には皮が落ちていた。海にミカンも想像しづらいが、玉葱と間違えたのだから先入観というのは恐ろしい。
どこの海でも玉葱が浮いていると噂を流せば、勝手に何かと見間違えて玉葱浮いてることになるんじゃないだろうか。多分、ここが玉葱産地だから、そうなったんだわ、きっと。
つまり、玉葱は幻想だ。
玉葱、本当にあったわ
僕の中で玉葱に対する結論は出たのだが、いまだに心の奥底ではくすぶっていて、諦めきれず下を見ながら歩いているとそれはあった。
あった、ホントにあった!玉葱だ!! 木々と共に浜辺に打ち上げられていた。
え、お、おおお!!本当に見つかった!見つけた瞬間でも冗談かと思う違和感。なにコレなにコレ、ホントにあったよ、なんであるの!?仕込みじゃねーか?そう思うかも知れないが、この質感。正しく海岸に打ち上げられた質感だ。
なんで海に玉葱あるんだよ。
掃除してるおじさんに、玉葱落ちてたんだけどよくあるのかと聞いてみたら、「玉葱ぐらいあらいでか(あるだろう)」との答え。更に聞こうとしたらおじさんの携帯が鳴って話が続かなかった。
なんで海に玉葱があるのか調べてみよう。