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ひらめきの月曜日
 
リアルにバオバブ入りのペプシを飲む


無果汁・・・

きゅうり、しそ、あずきなど毎年変わった味のコーラを出すペプシ。今年はワールドカップの影響なのかバオバブだそうです。

販売しているサントリーのニュースリリースを読むと「ペプシバオバブは、“バオバブ”の実の味をイメージしたスパイシーですっきりとした味わいと、炭酸の爽やかな刺激が特長のコーラ飲料です。」とあります。
なるほど、バオバブの実の味をイメージしたスパイシーですっきりとした味か・・・ん、実の味をイメージ?

イメージって、バオバブ入りではないのか?

馬場 吉成



当たり前ですが、入っているわけではない

ペプシバオバブと聞いて「バオバブ入りかー。そりゃ珍しい。飲んでみたいな。」と思ったのです。普段全く炭酸入りジュースを飲まないくせに。それで買ってきたのがこちら。


人生初ペプシかも。子供の頃はペプシの商品ならミリンダかマウンテンデュー飲んでいたなあ。

早速飲んでみました。


ペプシはもっと黒い色じゃないのか?
バオバブだけに星の王子さまを読みながら飲んでみたのです。

味はコーラというよりジンジャーエールに近い。やや強めの炭酸。コーラならもっと薬のような後味があるはずなのが、柑橘系の爽やかな味がします。美味しいです。

しかし、バオバブの実の味をイメージしたということで、バオバブの実そのものが入っているわけではありません。


原材料にはバオバブ果汁とかバオバブパウダーみたいな記述は無し。大切な物は目に見えないからではないだろう。

そのイメージがバオバブの実の味にどれほど近いのか。判断しようにもバオバブの実の味がよく分からないのでなんとも言えません。

こうなると、実際にバオバブの実を味わってみるしかないでしょう。


そうそう、こんな木でした。放っておくと星を破裂させてしまう。破裂させるのは炭酸のせいではない。

バオバブの実を入手しようと入手先を探していたところ、好都合なイベントが横浜で開催されていました。

「アフリカンフェスタ2010」。アフリカ各地の文化の紹介や物産品の販売などが行われる外務省主催のイベントです。そこへ行けばバオバブの実が売っているかもしれない。横浜赤レンガ倉庫へ向かいました。

 

バオバブ探して横浜へ


真夏の日差しの横浜。今、アフリカが熱い!いや、暑い。

「アフリカンフェスタ2010」の会場に着くと、そこかしこから太鼓の音が聞こえてきました。ステージではアフリカ人ミュージシャンによるライブ演奏やトークショー。会場に入ってすぐにはアフリカの民芸品などを売るブースが並んでいます。アフリカ一色です。

まずは奥にあるフード関係のエリアに行ってバオバブを探します。


フードエリアはスパイシーな異国の香りがしました。見慣れない名前の料理ばかり。
どのお店も長い列。各国フェスに行ったらまず食い物ですよね。

南アフリカのお店も大盛況。店員がブブゼラ吹いていた。村人ではなく客が集まっていました。
とりあえず、適当に食い物買って日陰でビール。アフリカンフェスタなのに、XXXXはオーストラリアのビールだ。

ビールの誘惑に負けながら各お店を見て回ったのですが、このエリアではバオバブを見つけることは出来ず。実どころか、バオバブジュースすら見つけられませんでした。仕方が無いので、民芸品などがある大使館、NGOブースエリアへ移動。


会場はどこも沢山の人。
メイド・イン・ガーナの本当にガーナチョコを発見。

バオバブの木の形をした民芸品は沢山売られていた。
南アフリカビールは一押しで売られている。

こちらのエリアをザッと見て回ったところ、主に民芸品や装飾品などがメインで、食品はあまり見かけませんでした。ここまで来て収穫なしかと諦めていたところ、マリ共和国のブースで白いものを発見。


あの白い粉や白い塊は!

バオバブあった!

オバブの実、発見しました。予想通りアフリカンフェスタで販売していました。


手前の塊が実。後は実を粉状にしたもの。

早速試食の物を食べてみると、随分粉っぽい。味はそれほど強くありません。甘いような、酸っぱいような。甘さが少ないラムネ菓子のようです。半分ぐらいが黒い種で食べる所はそれほどありません。

ペプシバオバブの味と比べると違う味と言えるでしょう。10倍ぐらい濃くすればもしかして似ているかもしれない。


バオバブの実。やはりペプシバオバブとは違うのか。

いや、ちょっと待った。ペプシバオバブはベプシとバオバブであって、バオバブそのものではない。もしかするとバオバブと通常のペプシが合わさるとあの味に近づくのかもしれない。やってみよう。

 

リアルにバオバブ入りのペプシを製作

ということで、バオバブの実と粉を買ってきました。これをペプシに入れて飲んでみましょう。まずは味を再確認。


バオバブパウダーをティースプーンで1杯。
より粉っぽく、甘いような酸っぱいような・・・

やはり味はそれほど強くありません。薄甘く、やや酸っぱい。なんとも微妙な味です。とにかくこれを通常のペプシに混ぜてみます。バオバブ入りペプシはペプシバオバブの味に近づくのか。


バオバブ入りペプシだから、「ペプシバオバブ」ではなく「バオバブペプシ」か?どっちでも同じだな。

バサッとスプーン1杯投入

あれっ?

うわあああぁぁぁっ!

バオバブの木で星が破裂するのではなく、バオバブの粉でペプシが噴きあがりました。一大事。


黒いペプシがやや茶色くなる。少しだけペプシバオバブに近づいたような。

暫く溢れ続ける泡を呆然と眺め、泡が収まるのを待ちます。テーブルを拭いて、落ち着いてからバオバブ入りペプシを飲んでみました。


世話を焼かすぜ、バオバブ入りペプシ。で、味は・・・

あっ、意外にうまい!

バオバブ入りペプシは噴きあがった影響か、微炭酸に変わっていました。そして、元のペプシよりも柑橘系の甘さを感じる。コーラ飲料独特の薬っぽい後味がありません。飲みやすく結構いけます。

単に気が抜けたからそんな味になったのかと思って、しばらくフタを空けて放置したペプシと飲み比べてもみたのですが、決定的に味が違いました。バオバブそのものに味はあまりなかったのに、ペプシと合わさると味の印象をかなり変えます。

バオバブ入りペプシ、アリですね!

とても役に立つ木だそうです

しかし、当然ですが出来たバオバブ入りペプシはペプシバオバブとは全然違う味でした。ペプシバオバブは美味しいけれども、結局のところバオバブの味とはちょっと違うようです。バオバブの実の味をイメージして作られたペプシとして完成された味です。

ちなみに、バオバブはアフリカに広く分布しているパンヤ科の樹木。星の王子様の中では星を破壊する巨大な木として悪いイメージで描かれています。

しかし、果肉や種子は食用や調味料などとして。若葉はスープに。木を燃やした灰は塩化物を多量に含み、塩の代わりにもなる。木の皮は衣服やロープの材料になり、煎じて飲むと解熱剤にもなるそうです。乾燥地に住む現地の人たちには貴重な生活の資源として様々な事に使われています。実は結構いい奴です。

バオバブは牛乳やヨーグルトに砂糖と共に入れて飲むのが普通なのだとか。乳酸菌飲料のような味で美味しい。バオバブの実はビタミンを多く含んでいるそうです。バオバブはよい所が沢山あります。大切な物は目に見えないけれども。

 
 

 

 
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