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はっけんの水曜日
 
鶏のとさかを食べる

老舗の鶏屋さん

千葉県柏市にある「鳥正」 は創業から85年を超える老舗の鶏屋さんで、とさか単体の販売もしている。


現在の店主は四代目。

ばっさばっさ捌かれる鶏

足を踏み入れると、職人さんがもくもくと鶏を捌いていた。スピード感あふれる包丁の動きがたくさんの鶏をつぎつぎと解体していく。
しばらく、その風景に圧倒されてしまった。


するどい包丁で鶏をザクザク切り開く職人さん。早い。私が同じ事をしたら命の危険がある。

触るとねっとりしていて、断面からオクラのようなねばり気が溢れる。

熱湯処理され桜色になっているが、このとさかは今朝まで真っ赤だったのだ。

 

とさかA to Z

職人さんと、店長の伊藤さんにお話をきいた。

−−とさかは売れていますか?
伊藤さん「40〜50人はリピーターがいるね。ほとんど女性だけど。食用以外は、化粧品会社におろしている。うちらも、これを触っていると手がつるつるするんだよ。」
職人さん「ずいぶん昔の話だけど、おねしょの薬としても食べられていたんだよ。」

−−えっ、おねしょに効くんですか?
職人さん「18才の女性がおねしょに悩んでいたのだけど、とさかを食べ続けたら治ったんだ。焼いたり、スープにして食べただけだけど。」

−−それはすごいですね。
職人さん「うん。そんな事もあるんだなあ。あととさかは、大人になるとメスのほうがうんと大きくなるんだよ。」


店長の伊藤さん(左)。大場久美子からインスピレーションを得てとさかを売りはじめた。

−−他のお店ではなかなか売っていないですが、なぜとさかを売ろうと思ったんですか?
伊藤さん「4年前くらいかな、テレビみてたら、大場久美子がとさかを食べていたんだよ。お肌にいい!って言って、スープで食べてて。へえ〜、と思って。」

−−それで売ることにしたんですか!?
伊藤さん「あんなの売れるんだ、って思って。」

−−ということは、大場久美子のおかげなんですね。
伊藤さん「そうだね。それまでは捨ててたよ。商品になっても今までは犬のエサだったから。」

そういえば事前に鶏のとさかについて調べた時に、犬用のジャーキーばかりが出てきて人の口に入るような商品は出てこなかったのを思い出した。
ちなみに、とさかを食べさせると毛並みがつやつやでテカテカになるため、ドッグショーに出す犬には向かないらしい。ショーでの判定基準では、毛並みが少々ワイルドなほうがよいらしいのだ。


お土産に足をいただいた。あとでスープにしてみよう。
せせり(喉の肉)。「せせりを取れるようになったら職人として一人前」と言われるらしい。きれいに取れている…。
砂肝、ハツ、ひ臓などもお土産にいただいた。左上の白くて丸いのは精巣。本当に白子の味だった。
職人さんの相棒である包丁をみせてもらった。新品の包丁と並べるだいぶ小さくなっている。自分の手に馴染んだ包丁以外は使いこなすまで時間がかかるそうだ。

知っている人は知っていると思うが、ちゃんこ鍋に鶏肉が使われるのは、四つ足が負けを意味するので縁起を担ぐためらしい。なるほど!

他にも、
・砂肝が大きく育つようエサに混ぜる石がある
・やげんの軟骨のやわらかさで鶏の若さがわかる
・鶏のハラミは一羽から4グラムしか取れない
・香港で頭の開きを出されてどこを食べるのかわからなかった

など、すごく面白い話が聞けた。最初はとさかを求めて行ったけれど、帰る頃にはニワトリそのものが好きになっていた。とさかだけじゃなくまるごと食べたいわという鶏肉欲。

あのコンロで焼きたい

さて、新鮮なとさかを手にいれた。どうやって食べようか。

そうだ、あのコンロで焼いたらおいしいのではないか。


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