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ちしきの金曜日
 
ミントガムは-7℃分の清涼感


電気を使わないで冷たくなるので環境にも凄く良いです

ミント味のガムを食べている最中に、水を口の中に入れると、スカーっと冷たい感じを得られる。

あの冷たい感じ、温度で表現するとしたら一体何度になるのだろうか。

斎藤 充博



ミントガム+水→冷たい

ミント系のガムと水を一緒に口に含むと、口の中がものすごく冷たくなる。誰でも一度はやったことがあると思う。


アイスとか買えない小さい頃によくやっていた

しかし、「冷たい」と表現するのなら、もっと正確に「ミントと水を一緒に口に含むと××度の冷たさだ」という風に言い切ることはできないだろうか。


ぼんやりと「冷たい」だけでは何か足りない気がする

 

でも計るのは意外と難しい

さて、この温度をどのように調べたら良いのか。当たり前ながら、「ミント+水」ので得られる冷たい感覚は、あくまでも「感覚」であって、実際に温度が下がっている訳ではない。


そのくらいは試さないでも解ります

すこし考えてみると、なかなかこの「感覚の温度を測る」というのはなかなか難しい。例えば、こんなやり方を思いついたのだが、すぐに駄目だということに気づいた。


これ一瞬良いかな、と思ったんだけれど

これでは、ミントのスカーっとした感じが口の中に残ってしまって、「色々な温度の水」を正確に感知できなくなってしまう。

 

目指せレイ能力者

いろいろ考えてこういうことを思いついた。。僕に「口の中で温度を完全に感じ分けられる能力」が備われば、「ミント+水」の冷たさが具体的に何度かも言い当てられるんじゃないか。

よく、テンプラ作りの名人なんかが、熱い油に指の先をひょいっと入れて、油の温度を当てたりするだろう。そういうことを、僕も口の中で(そして熱い油じゃなくて冷たい水で)、やれれば良いと思うのだ。


こういう能力

この能力を「絶対『温』感」とか「『冷』能力」とか呼んでみるのはどうだろうか(おっ!上手い!)。

 

冷能力者としての修行

こうして、修行の日々が始まった。
修行とは、「普段よく口にする物の温度を計る」ことだ。僕の持っている「口の中が冷たい経験」を一つづつ新たに整理してゆく。


サイゼリヤの冷製スープは8℃
ああ、なるほどなあ、と修行なので真剣に覚える

マックシェイクは-4℃
こんな真剣な顔で飲むようなもんじゃないと思うが、そこは修行なので仕方がない

「修行の日々」!なんと少年ジャンプ的な言葉だろうか。しかし、実際やってみたら、パソコンの画像フォルダの画像を整理して手作業でファイル名を書き換えるような作業に似ているのだった。


冷や奴は14℃。意外に高い。ウチの冷蔵庫の設定温度をケチっているだけかもしれない
公園の水道は22℃。20℃超えてもそれなりに冷たく感じるのか…

缶コーヒー(つめた〜い)は3℃
カチコチのハーゲンダッツは-14℃

こうした修行を繰り返すことにより、だんだんと「冷たさの感覚と温度」の関係も整理がついてきた。言葉で表すとこんな感じだろうか。


  • 20度前後ならそこそこ冷たいと言える(公園の水道など)
  • 15度前後でやや清涼感が出てくる(冷や奴など)
  • 10度以下なら商品として冷たさをウリにできる(冷製スープなど)
  • 5度以下なら相当冷たいレベル(自販機のアイスコーヒーなど)
  • 0度以下は「冷たさ」に「重たさ・固さ」が加わってくる(マックシェイク・ハーゲンダッツなど)

どうでしょう。能力が段々ついてきたんじゃないでしょうか。

 

修行の仕上げ

さらに、ランダムの温度に作った冷水を口に含み、その温度を当てる修行を行う。


飲みながら温度を考えて
温度計で答え合わせをする

こんなことを数日繰り返していたら、冷水の温度をプラスマイナス1度くらいの誤差で言い当てることができるようになってきた。


できるようになった時は、おれってスーパー斎藤だ!と思った

修行の果てにすごい能力を身につけたので、スーパー斎藤である。やっぱり「修行」とか言い始めると頭の中はジャンプになってしまうし、そしてジャンプの中でもとりわけドラゴンボールになってしまうのだ。これは仕方がないことであると思う。


スーパー斎藤のままでいきます

いよいよミントの冷たさを計る

ついにこの時がやってきた。この能力をもってして、「ミントのスーッっとする感じ」を具体的な温度に直してみます!


ロッテのキシリトールを使用
そして使う水は公園の水道の水。温度は22℃

もう、ぼんやりと冷たさを感じているだけではない。積極的に鑑定、分析できる

すぐ解るかな、と思っていたんですが

ミントで感じる冷たさは、実際の冷たさではない。そもそも最初から解っていたことだけれども、この「水の冷たさ」に敏感になってきたいまでは、「ミントの清涼感」と「水の温度」が全く別物のように感じられる。

なんというか、このミントの清涼感を温度で表すことってものすごく文学的な(つまり遠い)たとえなんじゃないか、という気がしてきた。

ワインの味の表現のことを「濡れた犬の臭い」とか「土の臭い」とかそういう風に例えることってあるだろう。ミントの清涼感を温度で表現することも、これに類すると思う。

そんなことを考えつつも一応温度を出してみる。このくらいだろうか。


ちょっと自信もないのですが、冷や奴(14℃)よりほんの少し上くらいのイメージかなー、と…

ミントガム+水は15℃ということにしたいと思います!

ミントガムは-7℃分の清涼感だと私は思います

最後の最後で「これはどうやっても僕の主観によるジャッジにしかならない」ということに気づいた。でもどうだろう、主観であっても、なんか今イチあてにならない数字だとしても、「-7℃だ!」って思うだけでなんかミントガムの見方変わらないだろうか。なんかありがたいような気がしてこないだろうか。

せめて僕だけは「ありがたい」と思い込みたい。他でもない、この僕が練習で身に付けた技術で導きだした数字なのだから。

ガムを噛むのが更に好きになりました

 
 

 

 
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