三重県名張市にある赤目四十八滝。その名のとおり滝がいくつもあり、夏は涼しく秋は紅葉でハイキングにもってこいの観光地である。
訪れたときに道中の茶店で気になる張り紙を発見した。
「幻のラーメンあります」…あっ!
あった。思わず声が出た。幻のラーメンがこんな観光地にあったのだ。
(大北 栄人)
あったけど、幻のラーメンってなんだ!?
幻のラーメンがここにある。
もちろんそんなもの一度も探したことなどなかったが、「あります」と言われたら「そうか、あるのか」となって、その上「幻」だ。俄然、「長年探し求めていた」気がしてきた。
私が長年探し求めていた、幻のラーメンがここにあるのだ!その日お店は休みだったので後日出なおした。
それから4年後
後日行こうと言いつつも、東京に出てきたり忙しくしてるうちにすっかり幻のラーメンのことは忘れてしまった。
そして4年後、このサイトで記事を書くようになり、幻のラーメンのことを思い出した。そうだ、私は幻のラーメンを発見しかけたのだ。
あのつかみかけた幻を、ふたたび追い求めよう。さすが「幻」である。すっかり忘れていたのに、長年追い求めてた気がまたしてきた。
全く普通の観光地になぜ?
それにしても気になるのが、幻のラーメンがなぜ赤目四十八滝にあるのか?ということだ。
名滝、歩くのにちょうどいい長さ、運がよければオオサンショウウオも見られる、と幻のラーメンがなくても十分やっていけるであろういい観光地なのだ。
オオサンショウウオと忍者の地
でかい。ぬめらぬめらしている。目ちっちゃい。と、オオサンショウウオは見るだけで十分トクした気分になれるものだった。
オオサンショウウオだけでない。赤目四十八瀧がある伊賀は言わずと知れた伊賀忍者の地で、この近辺に百地三太夫の屋敷があったと言われている。
ほらもうお腹いっぱいだ。どこに幻のラーメンの入る余地があるというのだ。幻のラーメンがここにある必要性がどこにもないのだ。
幻とは山のおにぎり的な意味合いか?
初めて滝を見に行った日、帰りにへこきまんじゅうという人形焼を食べた。これが目を見張るほど美味かったのだが、それは2時間のハイキングを終えた直後だったからだろう。
山頂で食べるおにぎりは格別というが、「空腹は最大の調味料」的な意味での「幻」なんだろうか?
もし店主からそんなイキな説明を受けたらどうしよう?こっちも一万円札を置いて「釣りはいりまへん」とジェントルマン返しくらいしないといけなくなるだろうか。
財布の中身を気にしつつ、着いた。さあ、幻のラーメンは?
幻とは休業してるから幻なのか?
うーん、さすが、幻のラーメン。またもやってない。
平日に行ったのが悪かったのか、またも休業中。お店のベンチにハイキング中のお母さんたちが大勢休んでいたので、客の入りも悪くないとは思うのだが…
電話して聞いた
滝の管理をしているところに電話して聞いてみたら、「幻のラーメン」は実際に販売しているらしい。
ただし、天候が悪かったり、何かの都合で休む場合があるのでラーメン目当てで来る場合は事前に電話して聞いてください、とのことだった。
あるのだ、幻のラーメンは幻でなくちゃんと存在する。ただタイミングが悪かっただけなのだ。