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はっけんの水曜日
 
麦から麦茶をつくる


 

家でこだわりのおいしいコーヒーを入れる生活に憧れていた。しかし、私はコーヒーを飲むと必要以上に興奮してしまって、夜眠れなくなってしまう体質である。コーヒーの味は好きなのだが、あまり飲むことができないというジレンマ。

スターバックスやカルディコーヒーなどで、腕を組みながら自分好みを豆をセレクトしたいところだが、体質に合っているのはノンカフェイン。そこで、夏だしおしゃれスローライフを気取って手作り麦茶を作ることにした。

玉置 豊



生の麦が売っていない

麦茶というと、市販の麦茶パックに入ったものを煮出すか水に入れておく方法でしか作ったことがないのだが、あの麦茶の素(っていう言い方はおかしいですが)ってどうやって作るのだろう。

ネットでちょっと作り方を調べたら、全国麦茶工業協同組合という加藤茶仲本工事に字面が似ているなと思ったけれど二文字しか一緒じゃなかったところのサイトに出ていた。こちら

どうやら麦茶とは、麦を焙煎するだけでできるらしい。発酵とか熟成とか不要。これなら私でもすぐできる。

今日からはじまる手作り麦茶が演出するおしゃれライフ。「おじょうさん、手作り麦茶でも飲みにこないかい。体にいいんだよ。」なんてみのもんたになりきって妄想しつつスーパーに大麦を買いにいったのだが、どこにいっても生の麦はなく、押麦しか売っていなかった。


押麦とは外皮を剥いて、熱を加えてつぶしたものらしい。ご飯に混ぜて炊く。麦飯ってやつか。
ヴィジュアル的にコーヒー豆っぽいから、これでもいいかなという気もする。

そういえば生麦って売っているのを見たことがないし、生麦って早口言葉でしか言ったことがない単語かもしれない。

とりあえず売っていた押麦を買ってみたのだが、見た目はコーヒー豆みたいだし、これを使えば気分的にコーヒーっぽい麦茶になりそうだけれど、やっぱりちょっと本来の麦茶とは別物のような気がする。きっと麦茶には外皮が大切なのだ。

 

生の麦はハトのエサの中にあった

生の麦、スーパーには売ってなくてもホームセンターならあるかもしれない。さっそくいって店員さんに聞いてみたら、麦単体ではないけれど、麦が混ざったものなら売っていた。


ハトのエサ。ポッポー。

ハトのエサにはいろいろな穀物や豆がバランス良く混ぜられており、その中に麦が数種類含まれているのだ。メーカー名がエクセルだ。


ハト麦っていうのは、ハトが好きだからハト麦なのだろうか。ハト麦茶っていうのが確かあったな。
小麦、大麦、ハト麦が含まれている。人間が食べて大丈夫かが問題だが、適応ペットの「その他」に私も含まれておこう。

ハトの餌で麦茶を入れるのもどうかなと思ったが、他に方法が見つからないポー。

あきらかに人間が食べるためのものではないけれど、毒が入っている訳じゃなし。ハトのエサが怖くて○○が食えるか(適当なジャンクフードを入れよう)。

ハトのエサの九割以上は私にとって不要だが、手作り麦茶を作るために一袋購入。なんだか最初に自分が思い描いていた「麦茶の手作り=おしゃれ生活」という構図から対角線上を進んでいないだろうか。

 

ハトのエサから麦を集める

家に帰るなりハトのエサをバットに広げて、その中から麦らしきものをピックアップ。この中には小麦、大麦、ハト麦が入っているらしいのだが、麦の種類までこだわるのは諦めた。

どうせ広い意味では全部ハト麦(ハトのエサの麦)だしさー。


麦ってこういうやつだったかな。
ためしに齧ってみたら小麦粉っぽい粉が詰まっていたので、きっと麦!

俺の事業仕分け。砂金集めみたいでなかなかゲーム性が高くて実は楽しいが、生産性は限りなく低くて悲しい。
数時間掛かって選別完了。残った麦以外はどうしよう。ハトを飼えばいいのかな。

集まった麦と思われる種子達はほんの一握りだが、どうにか麦茶一杯分くらいはできそうだ。もともとなんで麦茶を作りたかったのかとか、もうどうでもよくなってきた。

 

麦を焙煎して麦茶を作る

次の工程は焙煎。焙煎というとかっこいいけれど、まあフライパンでの乾煎りだ。せっかくなので押麦とハトエサ麦の両方を試してみることにした。


どのくらい焙煎したらいいのかわからなかったので、市販の麦茶でチェック。やっぱり外皮もまるごと入っているっぽい。

焙煎した押麦は、焙煎前のコーヒー豆みたいになった。その香ばしい香りに釣られて食べてみたところ、ナッツみたいでなかなかいける。こいつをチョコでコーティングしたらおいしいんじゃないかと思ったが、それはたぶんムギチョコだ。

ハトのエサから選びぬいた生の麦は、乾煎りすることできれいに色づき、やっぱり外皮ごと焙煎してこその麦茶だなと納得させるだけの香りを放っている。小麦色を通り越して真黒に焼けた色がいかにも嗜好品っぽくていい。


このくらいに炒った押麦に塩でもかければ、それだけで立派なつまみになりそうだ。
左上が市販のもの、右が押麦、左下がハトの麦。この写真だけ見るとオシャレなことをしている気もする。

用意した三種類の麦茶の素は、すべて10分ほど煮出し、そのままにして冷めてから試飲してみることにした。


手作り麦茶は挽かずにそのまま煮出してみた。

 

市販の麦茶

一応飲んでみたけれど、まあ普通の麦茶だ。目をつぶって飲んでも麦茶だとわかるくらいに麦茶。

これは誰もが飲んだことのあるものなので、コメントとかする必要なかったような気がする。

そういえば麦茶に砂糖を入れる家ってあるよね。

 

押麦の麦茶、押麦茶

焙煎した押麦の色から想像した通り、麦茶にしては少し薄めの色になった。関西のうどんの汁くらいか。

味は渋みが薄く、少し酸味が強いかな。なんとなくほうじ茶っぽい香りもする。見た目だけだとウイスキー飲んでいる気分。麦だし。

外皮を使っていないためか、どこかお上品な仕上がり。こういう麦茶もありかなと思う。

 

ハトのエサから集めた麦茶、ハト麦茶

これは味も香りも色も、まるっきり麦茶。もう麦茶としかいいようがない。まあ麦茶なんだけど。

焙煎したての麦を使っただけあって、香りは市販のものより香ばしいくらいだ。

ハトのエサの選別から始めるのはもう嫌だけれど、麦を炒るところからだったら、たまには作ってもいいかなと思える懐かしい味。

 

麦茶は麦でできているという当たり前の確認終了

麦から始める麦茶作り、麦選びや焙煎時間などにこだわれば、コーヒーと同じように楽しめるかもしれないが、同じ趣味の人間がいないと張り合いがなさそうだ。麦茶は細かいことにこだわらず、ガブガブ飲むべきかなとも思う。

生の麦を焙煎して作った麦茶を飲んだ瞬間、子供のころに田舎で飲んだ、おばあちゃんの入れてくれた麦茶を思い出したが、たぶんあれは市販のパックなんだろうな。

どれもおいしかったです。ホロッポー。


7/22に無料イベントがあります

ニフティの「地球のココロ」というサイト主催のイベントが、2010/7/22(木)19時からあります。場所はなんとニフティ会議室。参加費は無料で、食べ物飲み物の持ち込み自由という、フリーダムなトークイベントです。私が作ったベーコンもでるらしいです。ハト麦茶はでません。

イベントの内容は、一泊二日のぶどう農家お手伝い体験を紹介するスライドショーみたいな感じになると思います。どうぞお気軽にご参加ください。

【「行ってみたら楽しかった。ぶどうづくり体験」をきく会】


 
 

 

 
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