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ちしきの金曜日
 
500トンの柱が59本!

なんと「支える」だけでなく「押さえて」いるのだ!

地下22mにあるこの調圧水槽。取材に出かけた日は真夏日で地上はうだるような暑さだったのだが、この「神殿」に降りたとたん、冷気に鳥肌が立った。1時間以上ここにいさせていただいたのだが、半袖では寒い。ひやされた湿気のある外気の水蒸気が飽和し、神殿はかすみがかっている。柱群の隙間の奥の方はよく見えず、無限に続いているのではという錯覚に陥る。

前述したような「シンプル」な方法でつくったものが、その規模ゆえに工学的にも空間的にもまったく別の世界をつくり出す。しばしばそれに言葉のほうが追いつかない。たとえば調圧"水槽"という名前。たしかに機能的にはそうなのだが、水槽という響きから想像するものとはまったくちがう。もっと別の名前、もしかしたら新しい名前を付けてもいいと思う。たまらずだれもが「神殿」と口走ってしまうのだ。虚飾を廃し、機能だけを追求した結果うまれた空間に神が宿ってしまうとは不思議なものだ。「外郭放水路教」になら入信してもいい。


1本で重さ500tは、この調圧水槽周囲の地下水の力でこの空間自体が「浮き上がって」しまうのを防ぐための重りだったのだ!

今回お話を聞いていちばんびっくりしたのは、この柱の機能。大量の水が流れ込んでくる地下22mにある巨大空間を支えるにはこれぐらい大きな柱がこれだけたくさん必要なのだろう、と思っていたが、それだけではなかった。この柱、1本で重さ500tもあるのだが、なんと「支える」だけでなく「押さえて」いるのだ!

どういうことかというと、この調圧水槽周囲の地下水の力でこの空間自体が「浮き上がって」しまうのを防ぐための重りだったのだ!浮き上がるって!すごい!そんなことが起こりうるのか!

…つまり「きみは土圧とか…」などといっていたぼく自身がなにも分かっていなかったということだ。すまん。

 

ポンプがまたすごい!

で、この調圧水槽であるところの神殿の役割は、その名の通り、5つの立坑から流れてくる水の圧力を調整するというもの。前述したように最終的に江戸川に水を放水するのだが、そのまま放っておいてうまいこと流れてくれるというものではない。「排水機場」という設備が調圧水槽の上にあって、そこにあるポンプがいっしょうけんめい水を流すのだ。


排水機場の内部。4つのポンプが並ぶ。

上部に斜めに伸びるのはいわば煙突。煙突下の中におどろきのエンジンがはいっていた!

これがポンプを動かしているガスタービンエンジン!すごい!【大きな画像はこちら

説明パネルを見る。この形は…もしや…

このポンプがまたすごい。動かしているのはガスタービンエンジンというもの。このかたち、どこかで見たことないですか。そう、なんと、なんと!これ航空機用のエンジンを利用しているのだ!


墨痕鮮やか「ガスタービン」の文字。これで発電してモーターを、ではなく、このタービンがトランスミッターを介してポンプを動かしているのだ!なんと!

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