メルヘン建築を堪能
道の駅を後にし、小矢部市の目玉であるメルヘン建築を見て周るべくハンドルを握った。 メルヘン建築は、先に書いたように、一ヶ所に集中してあるわけではなく、街のあちこちに散らばっているので、巡るには車が必要だ。普通の家々や田んぼの中にポツンとメルヘンがあるのだ。
上の写真にあるメルヘンは「薮波公民館」だ。公民館なのにやっぱりメルヘンだ。ここに来る近所の人たちはドレスや燕尾服で着て来るのだろうか。きっと着ていないだろうけれど、そんなファッションが似合う公民館だ。
この公民館の向かい側には「薮波保育所」がある。これもメルヘン建築として紹介されているが、実はメルヘンなのか僕には唯一分からなかった建物だ。ここで分かったのは僕が保育所を覗くと柔らかく言えば不自然ということだけだった。
中も見てみよう
ルネッサンス様式の東京駅がモデルだという「サイクリングターミナル」へと車を走らせた。夏空の驚くような青さに赤いこの建物はよく映えていた。かなりのメルヘンだと思う。
ここは宿泊施設でもあるので、中を覗いてみる。外がメルヘンなのは分かるのだが、一体中はどうなっているのだろうとずっと気になっていたのだ。はてさてと、僕の妖精がたかっている足を建物の中へと踏み入れた。
中は普通だった。むしろ昭和の日本の匂いが漂っていた。 しかし、レトロな感じが僕の好みでもあった。ここに宿をとっても良かったなと思うほどだ。小学校の合宿で行くような施設が好きなのだ。
少女マンガのような学校
少女マンガで主人公の女の子が通う学校はメルヘンチックな建物が多い。「○○高校」というより「○○学園」と言った方が似合う感じだ。そんな学園で主人公の女の子は「道明寺」みたいな豪華な名前の男の子に恋をするのだ。
これは大谷中学校だ。モデルは本体の塔屋が東大安田講堂、正面は東大教養学部、高さ 47メートルの塔の先端はオックスフォード大学の学生寮となっている。
ただでさえとてもメルヘンな建物なのだけれど、周りが田んぼで埋め尽くされた立地に あるため、ギャップ効果により、さらにメルヘンに感じられる。
間違いなくこんな学校に通えば少女マンガのようなことが起きたはずだ。僕は「地主」と言うのだが、道明寺には負けない名前だけは豪華な感じだ。ここに通えば間違いなく幸せな学園ライフが送れたはずだ。 それが普通の建物の学校に通ったばっかりに、競馬にはまり、女の尻ではなく、馬の尻ばかりを追う学園ライフを送っていた。あ〜悔しい。
配水池すらメルヘン
メルヘンからメルヘンまでは微妙な距離があり、見て周るのはかなりの時間を要する。だから、ここが最後とメルヘンな配水池に妖精がたかった足を伸ばした。配水池とは、浄水場から送り出された水を一時的に貯めておく施設のことだ。そんな施設すらメルヘンなのだ。
観光バスが、メルヘン建築を巡っていたりするわけではないし、カーナビだって表示されるのは「○○公民館」とか「○○小学校」とかなので、普通の街並みの中に何の予告も無く急にメルヘンが現れる。巡ろうと思わなければ今回の配水池なんて来ることは無いようなメルヘンだ。
車を降り配水池に向かい歩く。小矢部市が一望できる場所にあり、メルヘンの街を鳥の目で見ることができる。しかし、目立つのは普通の建物だ。一個一個は確かにメルヘンで凄いのだけれど、やはり一ヶ所に集中したほうが観光資源になる気がした。 しかし、ギャップ効果もあるのでこれはこれでいいのかもしれないとも思う。宝探し的な要素もあるしね。
巡ると面白い
正直な話、移動が大変だけれど、面白くなかったのかと聞かれると、「面白かった」と即答できる。それはやはり一つひとつの建物がメルヘンに十分にこだわり、視覚を楽しませてくれるからだ。
そして、何でもメルヘンに結び付けられるということも知った。松明をくくり付けられた牛だってメルヘンな「メルギュー」となるわけだ。僕も少し感化されメルヘンになっていた。「メルジー」だ。