男子の夏といえば昆虫採集だ。ターゲットはカブトムシにクワガタムシだろう。「早朝、樹液に集まった虫をさがす」という定番のやり方もあるが、これは夜遅くに出歩いてはいけない子供のための方法にちがいない。大人は夜に徘徊するのだ。 夜の町内を散歩するだけでカブトムシやクワガタムシをみつけられるのか。 みつかりました、田舎だから。
(櫻田 智也)
きっかけはアカアシクワガタ
アパートの通路に、ある晩クワガタムシが佇んでいた。
通路の蛍光灯に誘われて飛んできたのだが、墜落して呆然としていたのだ。
村山さんはハルキに比べ、ふた周りは小さい。とくにハサミが成長していない。そしてどこか動きがセコセコしている。自分のことを「あっし」と呼びそうだ。
間に合わせの容器の中で一見仲がよさそうに思えたのだが、このあと村山さんがハルキの上を通ろうとしてブン投げられていたので、やっぱりダメだと思った。 週末には広い容器を準備しよう。
町内を散歩する
町は山間につくられている。 東西2キロほどにひろがる町の中心部を「まちなか」と呼んでおり、役場や小学校、商店などの主要な施設と住宅が集まっている。
大人はあまり疲れたくない。山や林へでかけることなく、この「まちなか」の範囲を散歩するだけで昆虫採集をしようというのが今回の目的だ。いわゆる灯火(灯下)採集というやつで、外灯や自動販売機など街の灯りに誘われて飛んできた昆虫を拾うやり方だ。
夜8時を過ぎれば町はすっかり暗い。外灯と自動販売機の明るさが際立つ。 村山さんを拾った日を採集初日とし、2日目の散歩にでかける。残念なことに、この夜の散歩の様子は撮影されていない。なぜなら、「記事にする」とか言いながらカメラを忘れたからだ。
得てして、そういう場合にこういうことは起こる。
昆虫採集においてこれ以上ない大物を散歩2日目であっさり拾ってしまった。そしてその瞬間の写真はない!
というわけで、飼うためではなく撮影のため家に持ち帰った。 ちなみに拾った場所は、メインストリート沿いにある家の玄関近くだった。立ちあがって壁に脚をかけ、じっとしていた。
立派すぎてむしろオモチャのようだ。
ぼくが育った北海道にはカブトムシが自生していなかった。なので、野生のカブトムシにはものすごく興奮する。しかもオスを捕まえたのは人生初めてだったのだ。
名残り惜しいが、撮影後にリリース。ハルキと村山さんがいる中に、この大物を入れるわけにはいかない。
散歩3日目
というわけで、以降はちゃんとカメラを持って散歩することにした。だが、そうすると成果が奮わないというのも常であって、
そうとう虫が寄ってきそうな雰囲気。だが、懐中電灯で注意深くさがすも、お宝発見には至らない。
鳥の犠牲になったのだろうか。しかし、大物がやってくるポイントであることは確実のようだ。 病院と役場のまわりをぐるりとまわってみることにした。
せっかく描いたのでもう1回地図を出してみたが、なんの参考にもなってないなコレ。