「とにかく観衆の反応が普通じゃない。身の危険を感じましたね。何よりヒマラヤンタイガーに対するお客さんの反応がすごいんです。地元のヒーローというか、『地元』という言葉では片づけられないですよ」
−−日本でいえばアントニオ猪木・ジャイアント馬場レベル。
「いや、力道山ですね。ただ強いとかじゃなくて、見に来た人たちのネパールという国に対する思い入れがパワーになってるんですよ。特にこの日はアメリカ人が対戦相手だったんですけど、こいつがネパールの若手の試合に乱入したりするんですよ」
−−典型的な悪いアメリカ人だ。
「それ見てヒマラヤンタイガーが追い散らそうと現れるとまたどよめきが起こる。それでメインのヒマラヤンタイガーと対戦するんですけど、観衆の盛り上がりが凄すぎてリングに上がっても2人が組み合えないんですよ」
−−選手すら客の空気を読んで動けない。
「それでヒマラヤンタイガーが一発フライングメイヤー(首投げ。プロレスの基本技)で投げただけで観衆大爆発。さっきまでの試合と全然違う」
−−すごいなあ、音声もここだけ音割れ気味ですもんね。
「でもね、これだけ見て『観衆の見るレベルが低い』とか勘違いする奴もいるんですけど、違うんですよ。その位ヒマラヤンタイガーに観客は期待してるんです。これだけ熱い雰囲気見てると、何がハイクオリティかわからなくなるでしょ?」 |