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はっけんの水曜日
 
地蔵盆と百万遍ってなんだ?


会所の祭壇にはお地蔵さんが鎮座。昼は地蔵盆、夜は百万遍。

先日滋賀に行って来た。これまで2回ほど記事に出て貰った妻のお母さんが今住んでるのが滋賀なのだ。滋賀県日野町、そこでは夏に地蔵盆と百万遍という行事が行われる。

京都や滋賀の人は「ああ、地蔵盆ね。百万遍も知らないの?」って思うかも知れない。思うかも知れないけど、関東出身の僕と妻は知らなかったので記事にさせていただこうかと思います。

松本 圭司



立派な地蔵堂。町内各所にある。

日野の町にはよく地蔵堂が建っている

滋賀県日野町。江戸時代、日野商人の活躍により栄えた古い町だが、街角でよくお地蔵さんが祀られた地蔵堂を見掛ける。それほど広くない町内(500m四方くらい。村単位?)ごとに祀られているようだ。

日野町の地蔵盆は、お盆から1週間後の8/21,22に行われた。地蔵盆とは、とても大ざっぱに言ってしまうと、子供のためのお祭りのようなものらしい。参加するのは中学生までの子供と保護者などの大人。

先祖の霊と子供たちが遊ぶ、という意味もあるらしく、この二日間、子供たちはいくら遊んでも夜更かししても怒られる事はないのだという(遊ぶことが供養の一環だから)。お菓子もふんだんに与えられ、ハロウィンのようでもある。

元々は京都の風習だったらしいが、滋賀は京都の隣なので伝わったのだろう。でも僕が生まれ育った千葉や、妻が生まれ育った東京まではこの風習は伝わっていないようだ(言い切っちゃっていいのか)。


滋賀に行くと必ず寄る。

スーパーも地蔵盆で売り出し中

滋賀ではよく見るスーパー、平和堂も行ってみると地蔵盆売り出しをしていた。地蔵盆の垂れ幕が下がり、地蔵盆用のお菓子セットが売られている。

地蔵盆とは、こうやってスーパーがオフィシャルに扱うほどメジャーで当たり前の行事なのだ。やっぱり滋賀の人にしたら、「なにを当たり前の事を取り上げて・・・」って感じなんじゃないだろうか。

でも僕にとっては当たり前じゃないので許してください。


コレ見てたら、だんだん普通の事に思えてきた。
地蔵盆用のお菓子詰め合わせ。しまった、買うべきだった。

カルビーの地蔵盆はコンソメパンチ。

友達の意外な一面を見た思い

スーパーだけじゃない。お菓子メーカーも地蔵盆用にお菓子を用意していた。カルビーやおやつカンパニー、meijiは箱にお地蔵さんが描かれた、地蔵盆カスタムのお菓子を売っている。

なんだろう、この、よく知ってる友達と一緒に地元に帰ったら急に方言を話し始めてビックリした、みたいな感覚は。カルビーやおやつカンパニーの違う顔を見てしまった様な驚きがあった。

地蔵盆ってやっぱりここでは普通の日常なのだ。


地蔵盆用、ベビースターラーメン。
ヘイワドウカールウスアジジゾウボンという商品。

亀田は地蔵盆用の箱がカラフルで凝っている。中身は普通の製品と同じらしい。違うのは外箱だけ。

さて、地蔵盆って何をするのか?だが

要は子供は日がな一日遊んでいるのだが、時に、鐘を鳴らしながら歌を歌い、町を練り歩いたりもする。するとお菓子をもらったり出来るのだそうな。本当にハロウィンみたいな風習だ。

各町内(500m四方くらいの範囲)にある会所にはひな壇が飾られ、そこにさっき紹介した地蔵盆用のお菓子やお地蔵さんが祀られる。お菓子は地蔵盆が終わると子供たちに配られるというから羨ましい話だ。


沢山のお菓子がお供えされたひな壇。一番上にはお地蔵さんが祀られる。

年長の子供をリーダーにして町を歩く子供たち。暑そう。

地蔵盆の間、子供たちはいくら遊んでも怒られない

さっきも書いたけど、地蔵盆の間の二日間、子供たちはいくら遊んでも怒られない。ゲームもし放題、お菓子も食べ放題。子供にとっては天国みたいな二日間だ。

お母さん世代も、子供の頃の地蔵盆を思い出して、この二日間は遊び放題で楽しかったわー、なんて言っていた。

町を歩きながら会所を廻ると、子供たちが年長の子供に従って遊んでいた。なんか懐かしい光景だと思った。


箱に画用紙を貼って、思い思いに絵を描く。
箱は各家の塀に貼り付けられる。

これは大人の犯行かもしれない。超うまい。

更に、地蔵盆中は各家の塀に灯籠みたいなオブジェが付けられている。これ、中に電球が入っていて夜は光る仕組みだ。

それぞれ、好きなキャラクターなどを子供たちが描いていて、写真として載せた以外にもドラえもんさんやアンパンマンさんの灯籠があった。萌え系は無かったのでちょっと安心した。

さて、地蔵盆が終わる二日目の夜、会所では「百万遍」という行事が行われる。これも僕らは聞いたことも見たことも無い行事だ。

百万遍にも参加させてもらった。


漫画のキャラクターが書かれている場合もある。上手い。
ゲゲゲの目玉親父。

 

そして百万遍へ

百万遍の会場は、地蔵盆が行われていた会所。祭壇に祀られたお地蔵さんはそのままに、その年に法事があった家からお供え物が提供されてひな壇にお供えされる。

百万遍ってなんだろう?


お地蔵さんは地蔵盆と百万遍の間だけ地蔵堂から会所へ移動する(自分の足で、じゃないよ)。

真言がぶら下がっていたが、これを唱えることはなかった。

百万遍とは?

元々は京都にあるる知恩寺の通称「百万遍」に由来するらしく、念仏を唱えながら1080珠あるといわれる大数珠をみんなで回すという行事だ。

地蔵盆と同じく京都から伝わったのらしい。場所によっては町の辻や地蔵堂の前、墓地などで行われるらしいし、お坊さんは呼ばずに町内の人だけでやる場合もあるらしい。

僕が参加させてもらった百万遍ではお坊さんが読経し、鐘を鳴らしながらみんなで数珠を回した(廻す行為は数珠繰りという)。


これが百万遍用の数珠。108の倍数だけ珠があるのだという。
大きめの珠が付いている所があり、それが自分の前に来たら高く上げるのがルール。

昼間は子供たちが叩いていた鐘、夜はお坊さんが叩く。

数珠繰りに忙しくて撮影どころじゃなかったので写真もムービーも無いが、なんとも不思議な行事だった。

お坊さんと祭壇を囲み、みんなが輪になって会所の壁にそって座る。数珠はその輪にそって広げられていた。

はじめにお坊さんがお経を読み、でははじめますかとなって、長い数珠をそれぞれが手に持ち廻す。最初は反時計回り。数珠には2カ所、仏様を表す大玉と結び目があり、それらが自分の前にくるとやや高めに掲げなくてはならない。

単に廻すだけだと眠くなってしまうのが、大玉と結び目に注意する必要があるので気が抜けない。「南無阿弥陀仏」と唱えながら15分回し、次に逆回転で15分廻した。

先祖の霊をお迎えして、逆回転で帰す、という意味があるのだそうだ。数珠繰りが終わるとお坊さんの説法があり、1時間ほどで終了。終わると、今度はその数珠を子供が持って外に出た。

今度はなんだ?


数珠を持って外に出る。何をするのか?
法事のお供えはみんなに配られる。

地蔵盆の歌を歌いながら町を歩く

地蔵盆と百万遍のフィナーレは、歌を歌いながらの行進。鐘を鳴らしながら歌うのだが、歌詞がちょっと凄かったのでムービーを撮った。見てみてください。

時々子供たちが「速い!」って言ってるのは、大人が歌う歌が速すぎるからもっとゆっくり歌え、って事みたいです。


ひとんちの風習は外から見ると本当に興味深いなーと思ったよ。

よその風習はおもしろい

地蔵盆や百万遍はなにも京都と滋賀だけの風習ではなく、岩手などでも行われているのらしい。もしかしたら僕が知らないだけで、全国的に行われているのかも知れない。でも少なくとも僕が育った千葉県の房総では行われてはいない。たぶん。

お盆の時期って、あまり他人の田舎には行かない。自分の田舎か、もしくはどこにも帰らず都会にいたりする。だから、よその地方でどういうお盆をやってるのか知らない場合が多くて、自分の田舎のスタンダードが全国共通だと思ったりもするだろう。

でもそれがもし、全然普通じゃなかったとしたら。全国のお盆の様式を調べてみると地方色が出て面白いと思うので、ケンミンショーで取り上げてください。もうやったかな。

個人的に見てみたいのは、北海道の「ローソクもらい」。地蔵盆と似たハロウィン的な行事だそうです。


 
 

 

 
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