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ちしきの金曜日
 
東京と長崎でカステラの味は違うか?


左:長崎で買ったカステラ、右:東京で買ったカステラ


以前、東京のリンガーハットと長崎のリンガーハットで味が違うか食べ比べてみたことがある。(⇒記事

なんでわざわざそんな比較を?と思われるかもしれないが、「長崎のリンガーの方が美味しい」というウワサを長崎でよく耳にしたからだ。結果は同じだった。作り手による多少の誤差はあるだろうが、意図的に変えてると思うほどの差は少なくとも感じられなかった。

同じく、カステラについても「長崎で買うのとは味が違う」、というウワサをここ長崎で時々耳にする。本当だろうか?

検証してみました。

T・斎藤



mサ屋・東西対決

長崎には無数のカステラメーカーがあるが、今回比較するのは、mサ屋と文明堂のカステラ。共に長崎を代表する一流カステラメーカーである。

食べ比べは夏の帰省に合わせておこなった。
長崎在住の私は、まず長崎空港でカステラを買い、実家の茨城に着いてから東京のカステラを買いに行った。

そういえば、長崎でカステラを買ったことなら何百回もあるが、関東で買ったことは一度もない。

mサ屋の売り場を見て驚いた。


長崎とまったく同じじゃないか!

mサ屋の売り場が、長崎とまったく100%同じであることに驚いた。東京でも売ってるよ、とはかねがね聞いていたが、まさかここまで同じだったとは…。改めて写真を凝視してもどこにも違いが見いだせない。

帰省の時、私はよくmサ屋のカステラを好んで買って行ってたが、実は長崎で買わなくてもここで買っても一緒だったんじゃないか…?と複雑な気持ちになりながら帰宅。


左:長崎空港から持ち帰ったmサ屋のカステラ。 右:茨城の実家近くで買ったmサ屋のカステラ。

まったく同じかと思われたカステラだが、
長崎から買ってきたものと並べてみると、袋がまず違った。


東京版の袋には、「長崎・東京」の文字が。
長崎版の方にはそういう文字は無い。
同じく、東京版には長崎・東京・福岡の住所が書かれているが
長崎版の方はシンプル。

今度から、東京、福岡といった地名が書いてないmサ屋の紙袋を見たら、それは長崎で買ってきたものだと思ってください。(ココ大事)


箱はまったく同一。区別がつかない。

続いて中身の比較。

箱の外見はまったく同一。
ってことは、ここから先はもうまったく同じなんじゃないか…と記事の結末を心配しながら箱を開けてみると…


オープン! (左:長崎、右:東京)

おや?

箱についてる目盛り(?)の溝が微妙に違う。


(東京) 箱にある目盛りの溝がクッキリしてる。
(長崎) 目盛りは付いてるものの、だいぶフラット。

というように、一見まったく同じ箱でも微妙に違うことが判明。

とはいえ、箱とか袋とかはたまたま仕様が変更された時だったりすれば、単に切り替え時期の違いだったりして…といったことも考えられる。

では、肝心のカステラ本体を見てみよう。


長崎のmサ屋のカステラ。

東京のmサ屋のカステラ。

案の定というか、色といいカタチといいまったく同じだ。


並べてみてもどっちがどっちかわからないほど。 (左:長崎、右:東京)

うむ。

長崎で買っても東京で買ってもmサ屋はmサ屋なんだ…という結論にほぼ固まりつつある中、そういえば…と底のザラメをチェックしてみた。
 

ぜんぜん違う?

ザラメをチェックしようと思ったのは、以前カステラの銘柄当てクイズ(利きカステラ)を仲間内でやった時、多くの人がザラメ部分を判断材料にしていたのを思い出したから。


底に薄い紙が貼ってあるので、剥がしてザラメをチェック。

利きカステラは非常に難しく、正解率は全体的にかなり低かった。が、その中でmサ屋のカステラだけは、参加者の50%以上の人が的中させた。それだけmサ屋はザラメに特徴があるらしい。


東京版のザラメ部分。
長崎版。あれ?全然違う!?

比べてみて驚いた。
長崎版の方には、大粒のザラメが大量に見えるではないか!
何この差??

通常、ザラメは時間と共に溶けていく。
従って、製造日が古い方がザラメが小さくなってるのが普通だ。今回、順番的に長崎⇒東京という順序で買ってるので、当然長崎で買った物の方が製造日が古い。よって長崎版の方がザラメは小さいはず…と思ったら逆なのだ。

元々のザラメの量の差?

いや、まさか!?と思って、他のピースもよーくチェックしたところ、東京版の方にもザラメが大きく残ってる箇所が確認できた。また長崎版の方もこんなにザラメが残ってない箇所もある。なので、これはたぶん場所による“ムラ”に違いない。…と結論づけた。

ところが…

 

実食

いよいよ、実際に食べてその味を比べてみる。
実家でおこなったので、ついでにおふくろにも食べてもらった。

その感想は…


「長崎の方が甘いわね。」
「む、たしかに。」

長崎の方が甘さが濃い。
東京の方があっさりしている。

それも「なんとなく」とかでなく、ハッキリわかるくらい違いがあった。おふくろは東京生まれのチャキチャキの江戸っ子だが、長崎版の方が好みだそうだ。

それからずっと「九州は味つけが甘い」という話をし始めた。


親父は味覚が衰えてるんだと思う。

親父にも食べてみてもらった。
が、おやじは食べる前からどれも同じだと言っていて
大して味わいもせずに
「まったく同じ。」
と言っていた。あまり参考にならないと思う。

 

九州人は甘いのがお好き

ちなみに九州の味付けが甘い件。
これは、

・かつて砂糖が輸入品で、長崎に入ったものが全国に運ばれた。
 ↓
・九州は他の地域に比べ砂糖が手に入りやすかった。(長崎が近い)
 ↓
・砂糖をふんだんに使うことが贅沢なおもてなし。九州人としてのステイタス!

という経緯によるものとのこと。
なので、長崎に近づけば近づくほど味付けが甘くなり、逆に遠ければ遠いほど(東北地方など)しょっぱくなるようだ。

 

文明堂・東西対決

続いて、文明堂のカステラを比べてみたい。

文明堂は、長崎と東京では会社自体が異なる。
長崎からは「文明堂総本店」。東京にはいろんな文明堂があるが、今回は「銀座文明堂」のカステラを買ってきた。

(文明堂には複数の会社がある件については、こちらの記事を参考にどうぞ)


会社が違うだけあり、包装紙からしてまったく異なる。

当然ながら、箱のデザインもまったく異なる。

ここまでまるっきり違うと逆に共通点を探してしまう。

すると、よく見ればマークが一緒だった。
文明堂のルーツが同じである証だ。


「文明堂」の文字をあしらったマーク (長崎)
創業者である「中川」の文字も入っている。(東京)

長崎の方には説明書き的なものが入っている。観光客を意識してある印象。

オープン! (左:長崎、右:東京)

開けてみたら東京版はカット済み、長崎版はカットしてないものだった。(長崎の文明堂のカット済みカステラは1コ1コ包装されているタイプになる。)

同じくらいの厚みになるよう切ってから並べたのが下の写真。


見た目もわりと違う。東京の方がやや色がうすい(明るい)。 (左:長崎、右:東京)

長崎・文明堂総本店のカステラ。
東京・銀座文明堂のカステラ。

さきほど同様、ザラメもチェックしてみた。


(長崎)
(東京)

写真だと、長崎の方がザラメが多くハッキリしているように見える。が、ザラメは均一にあるわけではないので全体としてはそんなに大きく差はなかったように思う(記憶がやや曖昧)。

 

【食べた感想】
味はどちらも美味しく、まさに「カステラ」の味だ。が、おふくろは「やっぱり長崎の方が甘い」と言っていた。私も同じ感想。東京の方があっさりしている、と思った。

これは会社も違うことだし、たぶんそういうテイストに違いない、と思った。

はたして真相は…?

mサ屋、文明堂、そのどちらもが長崎で買ったものの方が甘さが濃かった。そのことはたしかだ。

この違いが、
・製造日による違いなのか?
・単なる個体差なのか?
・意図的に甘さを変えて作っているのか?
はわからない。

テレビだったらここで、
「メーカーさんに聞いてみました!」
と言って直接正解を聞くところだろう。

が、そんなふうになんでも聞いて簡単に答えを知ってしまうより、 「本当はどうなんだろう?」
と各自考えている方が謎っぽくて面白い。
と私は思うので、あえてメーカーには確認してません。


 
 

 

 
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