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はっけんの水曜日
 
レコードスプレーはいい匂いだ


1980年よりもすこし前くらいに生まれた人にだったら伝わるんじゃないかと思うのだが、レコードスプレーっていい匂いだったよね。
僕にとっては、青春の懐かしい匂いの筆頭がレコードスプレーの匂いだ。
小学生の頃に、親戚のお兄さんの部屋でかいだ匂いであり、中学生から先のしばらくの時期、僕の部屋はレコードスプレーの匂いだったと思う。
あの匂い、懐かしいなあ。

工藤 考浩



ナガオカ レコードスプレー

知らない人のために説明すると、レコードスプレーというのは、レコードから静電気を除去してクリーニングするためのスプレーだ。
はたしてこのスプレーにどれほどの効果があるのか、当時も友達と議論した記憶があるが、僕は「使う派」だった。
なぜなら音楽好きな人っぽいから。
レコードをターンテーブルに乗せる前にスプレーでプシューっとやって、そのあとにクリーナーできゅきゅっと拭く動作が、なんとなく大人びていて、あこがれていたのだ。
それにあの匂いも好きだった。
僕にとっては大人の匂いだ。

そんな思い出のレコードスプレーの匂いを、また嗅いでみたくなり、探してみた。


きっと無いよなと思って行ったら
売ってた


CD屋さんに売ってました

今時レコードスプレーなんて、きっと探さなきゃ手に入らないんだろうなと思って、探す気満々で町に出たら、普通にタワーレコード屋さんに売られていた。
タワレコにはなくて、町の小さなレコード屋さんにもなくて、秋葉原あたりの高級オーディオ店になんていう予定をしていたのだが、さっくりと見つかった。


こんなパッケージだったっけなあ

帰宅してさっそくレコードに吹きかけてみよう。
あの日の思い出がよみがえるだろうか。

余談だけれども、レコードスプレーを吹きかけるレコードをどれにしようか、ここで中途半端にマニアックだったり、かっこつけたのだったりすると恥ずかしいので、僕にとってはいちばんこだわりのないものを使った。
こういうところ俺、大人になったよなと思う。


税込み1575円と、思ったよりも高い
久しぶりにレコードをひっぱり出した


いいにおいだけれども

ぷしゅー。

あ、なんかちがう。
実をいうと、スプレーした瞬間に何かちがうものを感じた。
青春の記憶よりも、さらに大人びた匂いというか、思っていたよりもおっさん臭い。
むかしのおじさんが使っていた整髪料みたいな匂いがするのだ。
ただ、でも、しかし、悪くない匂いではある。
なんだろう、この記憶との差異は。
けれど、何度かスプレーしているうちに、そういえばこんな感じだったかな、という気になってきた。
香水の、トップノートとかなんとか、そういうことだろうか。

懐かしくて嗅いだ瞬間に青春の記憶がフラッシュバックするほどの体験はできなかったが、でも、なんとなくぼんやりと「あの頃」っぽい感じがした。


こうだったかな、そうかもな

ほかのいい匂いのスプレー

レコードスプレーの匂いも懐かしいが、僕には他にも懐かしくていい匂いのスプレーがある。
ちょっと嗅いでみようか。


スプレーっていい匂いですよね、という話だ

ガラスクリーナー

ガラス「透明」クリーナーって、こっそりすごい名前だ

いい匂いのスプレーで、まず思い浮かんだのがガラスクリーナーだ。

ふだん家事をする人にとっては、もしかしたら日常的な匂いなのかもしれないが、僕は窓ふきなんてしないので(世のひとり暮らし男性はしているのだろうか)、この匂いを嗅ぐと、大晦日の大掃除のお手伝いを思い出す。
実際に窓にスプレーしてみたが、ガラスクリーナー独特の、汚れといっしょになった時の“ほこりっぽいい匂い”が漂ってきて、部屋の中に突如年末ムードがやってきた。
これで餅でもつけばもうあとは紅白歌合戦を待つだけのような状況である。
「窓ふきをすると気分がリフレッシュする」という話を聞いたことがあるけれど、それはこういうことか。

いい匂い:★★★
大晦日っぽさ:★★★

久しぶりに窓を拭く
大晦日の匂い



虫除けスプレー

サラテクト

いい匂いのスプレーで同意がたくさん得られそうだと(個人的に)思うのが、虫除けスプレーだ。
これこそが夏休みの匂いではないだろうか。
虫除けスプレーの匂いを嗅ぐと、アウトドア、ピクニック、冒険、キャンプファイヤー、花火大会、などという言葉が浮かんでくるような、そんな匂いではないだろうか。

そう思って自分に吹きかけてみたところ、最近この匂い、よく嗅いでいることに気づいた。
記事の撮影やポッドキャストの収録などで屋外作業するときに、いつも嗅いでいる匂いだった。

夏休みの匂いが仕事の匂いに変わってしまっている。
それはちょっと複雑だが、でもいい匂いに違いはない。

いい匂い:★★★
いつも嗅いでいる:★★★

アリにも効くとは知らなかった
あ、いつも嗅いでるや


防水スプレー

マルチガード防水スプレー

虫除けスプレーはどちらかというと対象が子供だが(僕は常用しているけれどそれは置いておいて)、防水スプレーは大人なのではないだろうか。
靴の汚れを気にする子供はもう子供ではないと思う。

そんな大人のスプレーとしての防水スプレーは、いい匂いではなかった。
玄関先で扉を開けて換気をしながら靴にスプレーしたのだが、頭がくらくらした。
注意書きに「屋外で」と書いてあるのは伊達ではない。
これは守らなきゃいけない。
匂いも有機系の刺激の強いもので、いい匂いというジャンルには入らないものだった。
これ、NG。

いい匂い:×
危機感:★★★

ジュエルというロゴがかっこいい
急遽マンションの廊下に出た

スプレー洗濯糊

じゃなくて洗剤だった

洗濯の匂いもいい匂いだ。
当サイトのでも大北さんがコインランドリーの匂いについて書いているが(→こちら)、洗濯というのは、家事系いい匂いの王様だと思う。
そんな洗濯行為の中でスプレーが介在しているのが「スプレー糊」である。
アイロンの熱でスプレー糊の香りが広がってとってもいいのよね。

と思って買ってきたスプレーが、実は「頑固な汚れ落とし用」の洗剤だったのである。
まったく気づかずにアイロンまでかけてしまった。
僕はあまりこういう間違えはしない方なのだが、ちょっと紛らわしくないだろうか。

しかし、これはこれでいい匂いであった。
スプレー洗濯糊のようなほんわかした香りではないのだが、清潔感のあるいい匂いではある。

いい匂い:★★
うっかり:★★★

うーむ、糊じゃないのか
アイロン必要なかった



スプレーはいい匂いだけど

最後に無粋な注意書きになるが、スプレーは本来の用途以外での使用は危険なのでしないように。
当たり前のことですが。
ちゃんとした目的で使って漂う香りを嗅ぐのこそが、いい匂いなのです。

そしてこのレコードがいちばん自慢


 
 

 

 
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