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はっけんの水曜日
 
日本一の橋を渡る路線バス


日本一の橋を渡る路線バス

東京湾アクアラインの扱いが良くないと思う。
場合によっては「無駄遣いの象徴」みたいな扱いをされているが、海底トンネルと橋を組み合わせた巨大構造物は、僕たちの誇りでありヒーローではないか。

そんなアクアラインを路線バスが頻繁に走っているのだ。

工藤 考浩



東京湾をまたぐんだぞ

日常的にアクアラインを走るバスを利用している人にはなんてことない話かもしれないが、東京湾をまたいで路線バスが運行しているというのは、すごい話だと思う。
明治時代、いや昭和の前半くらいの人だって、この話を聞いても、きっと信じないだろう。


品川駅前のバス停

それが、東京都内や横浜川崎と木更津、鴨川を結ぶ路線バスが日に何十本も往来しているのだ。
この路線は、特に千葉方面から東京、神奈川に通勤する人の重要な交通機関となっている。
海を渡って通勤なんて聞くとワクワクしてくる。


ごく普通のバス時刻表なのに日本一を渡る
普通のバスじゃない面もちらり


でも路線バスです

僕がこれから乗るのは品川から木更津にむかう便だ。
平日の夕方で、きっと利用客は少ないんじゃないかと思ったら、僕も含めて10人くらい乗ってきた。


三菱ふそうエアロバスがやってきた


買い物客とおぼしき女性に会社員風の中年男性、そして若いカップルと客層も様々だ。


路線バスと表示されている(路線バスと観光バスでは高速道路料金が違うらしい)
けっこう乗客はいる

アクアアクア

バスは動きだした。
海を渡って通勤といえば、むかし明石家さんまさんと大竹しのぶさんが出ていたドラマでそういう設定があった。
あの頃はフェリーだったけど、いまは海底トンネルだ。
やはり時代は進んでいる。
僕はあの頃の未来に住んでいるんだ。


品川駅前を出発
BGMはもちろん「男女七人」で使われていたシャカタクだ
よく記事用の買い物をするホームセンター前を通り
よく記事に出てくる公園を通り過ぎ


トンネルに入る

バスは都内の一般道路から首都高に入る。
バスに乗って料金所を通過すると、僕はいつも「お金」のことを心配してしまう。
もちろん高速代を今乗っている客で割り勘ということはないだろうが、今日みたいに乗客が少人数だと、バス会社に申し訳ない気持ちになる。



料金所を通過し
アクアトンネルへ

最近でこそアクアラインの通行料金は値下げされているが、いまだに僕の中では「高級道路」というイメージが強い。
その高級道路をバスで行くという興奮がみなさんに伝わるか不安だが、僕は大変にエキサイティングな思いでただ今乗車している。


びゅわーっと海底トンネルを走る路線バスにエキサイト
トンネルを出てアクアブリッジへ

通勤拠点のバスターミナル

僕は終点の木更津まで行かずに、品川から45分ほどの袖ヶ浦バスターミナルというところで途中下車した。
ここが千葉からの通勤する方々の文字通りターミナルなのだ。


料金は1200円だった
袖ヶ浦市のマスコット「ガウラ」がお出迎え

袖ヶ浦バスターミナルの周辺には、市営や民間の駐車場がたくさんある。
自宅から自家用車でここまできて、バスに乗り換えて通勤しているという人が多いのだ。
勤務先が品川とか東京駅付近とか、バス停に近かったら、満員電車に乗らずに通勤できるとうことになる。

僕の知り合いにも、ここへ車を止めて丸の内に通勤している人がいる。
その人はアクアライン通勤が「ものすごく楽」だと言っていた。
天候が悪いとアクアラインが通行止めになるが、その時はどうするのか聞いたら「そんなの年に何回かだから気にしない」そうである。
そういう思考回路を身につけたらこっちのもんだろうな、と思った。


市営駐車場は満車
月極駐車場がたくさんある(月4、5千円くらいみたい)

海ほたる行きのバス

さて、品川から千葉側にアクアラインを渡ってきたが、僕は袖ヶ浦に特に用事があるわけではない。
このまま東京に帰ってもいいのだが、アクアラインを走る路線バスには、東京湾に浮かぶ人工島「海ほたる」に停車する路線もある。
せっかくだからそれに乗ってみよう。


川崎−木更津便のうち
日中の便は海ほたるに停車する

バスでSA・PA

以前当サイトでも、部類のサービスエリア好きのライター古賀さんがバスで談合坂サービスエリアに行っていたが(→こちら)、海ほたるもバスで行くことができるのだ(海ほたるはパーキングエリアだけれど)。


ただバスに乗ってるだけでうれしいのに、さらにPAにいけるなんて


袖ヶ浦バスターミナルから海ほたるまでは10分弱の道のりだ。料金は500円である。
ちなみに川崎駅からだと1050円で時間は40分弱となる。


また海の上を走り
海ほたるに到着

ビバ・パーキングエリア

人工島である海ほたるは、他にはない独特の雰囲気がある。
風の感じとか、潮の匂いとか、人工島ゆえの構造なんかが絡み合って、海ほたる特有の浮かれっぷりが感じられる。


パーキングエリアに来た、という感じ
海上で回転寿司というのはすばらしい

天気がよくなくて残念だ

できてからもう十数年経つ海ほたるだが、やっぱりここは楽しい。
海の上の巨大建造物というのがまずすごいし、ぐるっと見渡すかぎり海という景色もすごい。
それを橋とトンネルで陸続きにしてあるというのがこれまたすごい。
こんなすごいところにバスで来られるんだから、もっとみんなありがたがらなきゃいけないんじゃないかと思う。

地球儀を設置したくなる気持ちはよくわかる
そして海ほたる名物、なぞのオブジェ
もしカップルでドライブに来てケンカしたとしても
土日なら夜7時すぎまでならバスで帰れる

海ほたる満喫

ちょうど最終のバスが出る20分前くらいに、館内にそれを知らせるアナウンスが流れた。
これを逃すと明日の朝までここにいなければいけない。
乗り遅れると大変だから、この案内はありがたい。


観光客がいるなかで精一杯がんばっておもしろポーズをしたのに、
なぜか明るすぎになって失敗した写真

時間の少し前にバス停にもどり、最終バスが来るのを待っていたが、ここから乗る乗客は僕一人だった。
僕のためにあの館内アナウンスは流れていたのか。


せっかくなのでイカを食った
バスに乗ったらもう夕暮れでした

生活道路としてのアクアライン

東京や神奈川に住んでいる人にとっては、ともするとアクアラインはゴルフ場に行く道か、潮干狩りに行く道としかとらえていないかもしれないが、れっきとした生活道路なのだ。
そして生活道路なのだけれども、日本一の長さを誇る橋で海の上を渡り、トンネルで海底を通っているのだからかっこいい。
そんなかっこいい道路を走る路線バスは、ただバスというだけでかっこいいのに、かっこよさが何乗にもなっていて、乗っていると悶絶しそうになってしまう。

海ほたるにもまたきてね


 
 

 

 
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