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ちしきの金曜日
 
新橋の異常な居酒屋「加賀屋」に潜入

なんでこんな店を始めたのか

飲食業の寿命は短い。巷では奇をてらっただけの居酒屋が、1年や2年で潰れてしまうことも珍しくない。ところが、この加賀屋は営業22年目だそうだ。


マスターが小便小僧をさすりながら出してくれのは特製ドリンクの「宇宙人」。メニュー表には1億円と書いてある(中身は梅酒)

始めからこんな風にやっていて22年続いているのだろうか。それとも、最初は普通にやっていてイヤになってヘンな方向に行ってしまったのか。マスターに聞いてみた。

「今のスタイルとはちょっと違うけれども、最初からヘンだったよ」

そうか、22年、ずっとヘンだったのか。さっきの爆発的なマスターのパフォーマンスを見た後だと、これが長い間ずっと継続されているのが何か奇跡のようだ。なんだか遠い宇宙で光る彗星を見ているような気分になる。


加賀屋のトイレの様子。入った瞬間、画面左の獅子舞と、画面右のサルのオモチャが大騒ぎし始める。騒音が飲食席まで丸聞こえ

そもそも、どうしてこんな居酒屋をやろうと思ったのか。

「そういうこと、外国人のお客さんにはよく聞かれるんだよ。『このアイディアはどこからきたのか?』って。でも全部『道を歩いていたらサンダーに打たれて、しばらく気を失っていたら思いついた』って言ってる。そんなの、うまく答えられないよね」

はぐらかされてしまった。ちなみに、加賀屋には外国人のファンも多い。CNNのサイト(こちら)で紹介されてから一気に増えたそうだ。マスターの「持ってき方」は国別になっているので、モデル国の人に怒られたりしないか、個人的には少し不安である。


これはフランス風の持ってき方。パリジェンヌに扮したマスターが似顔絵を描いてくれる

ちなみに、加賀屋は外見は普通の居酒屋なので、「全く何の予備知識が無い人」が時々入ってくることもあるらしい。

「すぐ近くに出張用のビジネスホテルがあるからね。表の看板に『ほのぼの料理』って書いてあるからさ、それを見た真面目そうな初老のおじさんが一人で来たことがあったよ」

しかしそんな時も、マスターは一歩も引かなかったそうである。

「アンパンマンでオシボリ持って行ったら、固まっちゃってさ。その後、ブラジル風の持ってき方、てことでサンバでビール持っていったけれどね。無反応だったよ。あの時は、やっている方も地獄だったなー」

その情景、簡単に想像がつく。そしてそんな地獄を見てまでも、ヘンテコなスタイルを貫くマスターが、なんだかカッコ良くさえも見えてしまうのだった。

美味しくて楽しい居酒屋です

結局のところ、加賀屋を評するとしたら、こんな風になってしまうのだろうか。それも何か納得がいかない。しかし、他にどう表現したら良いのか分からない。

最後にお会計をしめてもらったら、こんな紙を手渡された。

勝手に中島にされている

取材協力

加賀屋
東京都港区新橋2-15-12花定ビルB1
https://kagayayy.sakura.ne.jp/


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