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はっけんの水曜日
 
マグロ釣りごっこ


これで60キロの大物を釣ります。

釣りをやる人間として、漫画で読んだ釣りキチ三平やテレビで見た松方弘樹みたいに、何十キロもあるマグロなどの大物を釣ってみたいという欲望が当然のようにある。

しかし、実際に釣るとなると、技術的にも金銭的にも難しい。たぶん一生釣らずに終わることだろう。ならばせめてその気分だけでも味わいたい。

そんな切なる思いを叶えるソリューションを考えてみた。

玉置 豊



本当にマグロを釣った人の話から

私が考えたマグロ釣り気分を味わうためのソリューション(ごっこ遊びともいう)は一旦置いておいて、先日行った釣りで同行者が本物のマグロを釣りあげたので、その話から。

ちなみに同行者とは、以前「突撃!ブログの晩ごはん」という記事でお邪魔したあぶかもさん家の旦那さんだ。

あのときカツオを釣る約束をして、それを本当に実行したのだが、残念ながら海にはカツオが全く泳いでおらず、かわりにマグロがバシャバシャと跳ねていた。


鳥山でアキラ、じゃなくてマグロが跳ねているのが肉眼ではっきり見えて大興奮。Photo:坂 祐次

幸運にもマグロが船めがけて突っ込んできたところで見事フィッシュオン。宝くじの三等くらいの幸運。ここから格闘すること一時間。

その間、他の人は釣りの邪魔をしないように見ているだけ。ヒマだわよ。

巻き上げては引っ張られてを繰り返し、どうにか水面まで引き上げた。このピンと張った糸をプチンと切ったらさぞや気持ちいいことだろう、とか考えてはいけない。

魚が大きすぎてネットだけでは上がらず、ギャフで支えながら引き上げる。このギャフを持っているのは私なのだが、こんな経験は初めてなのでハラハラする。

釣れたのは推定35キロのキハダマグロ。「私が釣らせました」みたいな顔。

という感じで、一時間もマグロと引っ張り合いをして大変そうではあったが、その分楽しそうだった。正直大変うらやましい。

この日は4人でいって釣れた魚がこのマグロ一匹だったので、余計にうらやましかった。うらやましさを通り越して腹が立ったが、釣れたマグロを四分の一もらったから笑って許そう。みんなで釣ったマグロみたいなものだよね。

あーちくしょう。

マグロ釣り体験のソリューション

はい、ここからが本題です。

こんなふうにマグロという名の幸運が私の釣り針に掛ることは生涯ないと思うので(あっても逃がす自信がある)、知恵と勇気でマグロ釣りバーチャル体験ゲームを考えた。


これでマグロ釣り気分を味わうぜ。

必要な道具は竿とリールとルアーがわりのハンガー。

あとマグロの役をやってくれる人。


マグロ役は「 つり」担当者の山田さん。

ここまで書けば賢明な読者はもうわかってしまったかもしれないが、糸の先についたハンガーを持って泳いでもらい、マグロ釣り気分を味わおうという魂胆だ。

金太郎でいうところの「クマにまがたりお馬の稽古」みたいなソリューションである。マリーのアンちゃんだったら「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」っていうやつですか。

このマグロ役をやらされているニフティ社員の山田さんは私も参加している「 つり」の担当者で、当サイトとは無関係だが水産大学出身で魚に詳しいので適任だ。

「シュノーケルでもやりましょう」といって呼びだしたのだが、来る途中にバイクのバッテリーがあがってしまい、250キロもあるバイクを近くのイエローハットまで押してきたそうで、釣られる前から水面まで上がってきた深海魚みたいにぐったりしていた。

予定調和のフィッシュオン

まず山田さんにマグロになった気分で適当に泳いでもらう。しばらくじっと睨んでいると、存在しないはずのナブラと鳥山がだんだんと見えてくるので、山田さんはもうマグロだ。

泳いでいる山田さんだって、もうすっかりマグロだろう。たぶん口の中はイワシでいっぱい。


あ、マグロだ!って思えるまで竿を投げるのを我慢するのが最大のコツ。

特大ルアーをマグロの鼻先めがけて投げ飛ばす。なんか偽造UFOの撮影風景みたいだな。

フィッシュオン!この瞬間が一番興奮するぜ。

反転して沖へと全力で走るマグロとの力比べだ。

リールからどんどんと糸が引き出されていく。

本当のマグロだったらこのまま何十分もお互いのプライドをかけた戦いをする訳だが、お疲れ気味の山田さんはすぐに飽きてしまったらしい。さっさとこの茶番を終わらすべく、自らこっちへと近づいてきてしまった。


どうにかここまで寄せてきたが、ここからが本当の勝負だ。まだマグロにはたっぷりと余力が残っているはず!そうだよね!

私はまだマグロ釣りごっこをやめたくないので、「マグロはこんなもんじゃないだろ!」と山田マグロに目でプレッシャーを掛ける。パワハラってこういうことなのだろうな。


おおお、やはりまだ余力があったか!

そして最後は無事にハンドランディング。推定60キロの大物だ。

釣られた魚役だけに、まさに死んだ魚みたいな目になってしまった。

ごめんね山田さん。

マグロはおいしい

こんなマグロ釣りごっこだが、このときはまだ本物のマグロ釣りをみたことがなかったこともあり、かなり満足度は高かった。これも山田さんの体を張った演技のおかげだ。

たぶんわざわざ海にいかずに、その辺の公園で同じことをやっても、私は楽しいのだろうなと思う。じいさんになったら孫と一緒に実際やっていると思う。

なんだか泣けてきた。

もらってきた生のキハダマグロで作った鉄火丼が最高だった。

つり:ゆるゆる釣り部
このコーナーで初心者向けの釣り記事を書いていますので、
よろしければあわせてお読みください。
連載が終わったら、「これが原因か!」と思ってください。


 
 

 

 
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