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はっけんの水曜日
 
日本一きれいな川ときたない川飲みくらべ


きれいな川の水はうまいのか

国土交通省が毎年、一級河川の水質を「河川ランキング」として発表している。(→こちら
水質のいい川の一位は同率で8河川あり、そのうち4つが北海道の川だ。
逆にワースト一位だったのが東京と埼玉を流れる綾瀬川である。
その一位の川とビリの川の水は、飲み比べると違いがでるのだろうか。

工藤 考浩



平均水質(BOD値)ランキング

国交省が発表しているのは「BOD」という数値をもとにした水質のランキングで、BODというのは「生物化学的酸素要求量」のことらしいのだが、詳しい話は僕にはわからないので、「きれいな水」だと考えることにしよう。


日本一きれいな水の川のうちのひとつ、 北海道の尻別川

このきれいな河川日本一の水は、ワーストになった綾瀬川にに比べて、やっぱりおいしいのだろうか、どれくらい味の差があるものなのか、飲み比べてみたいと思った。


この付近が水質調査対象地点
河川敷も広々している


父が取水

ワースト一位の川は僕が住む東京都内なのですぐに入手可能だが、きれいな川はどれも遠くにあるので、くみに行くのは大変だ。
ちょっと味見するために飛行機に乗るわけにもいかない。

しかし幸いなことに、日本一きれいな川のうちの「尻別川」が僕の実家の比較的ちかくにあるので、父に電話してちょっとくんできてもらった。
ちかくといっても車で片道数時間かかるのですが。


ちょっとくんできて


数日後、ペットボトルに入った水がクール便で、採取時の写真がメールで届いた。
写真には父のコメントが付いてきたので、そのまま掲載しよう(斜体の文字は工藤註)。

父からのレポート

◎ 採取日の状況

採取日前日の夕方から後志をはじめ道南西部は竜巻注意報が発表されたほど不安定な天候だった、蘭越(地名:らんこし)では午後8時以降だけで20o近くの降雨があった。

このため、前日に比べ水位が10cm程高く、濁りも強かった。水質比較にはあまり向いていなかった??

※雨量・水位は国土交通省 水文水質デーダベースを参照した。

◎ 採取場所

「全国一級河川の水質状況」として発表される尻別の環境基準地点「名駒」付近の宝橋の100m程上流(「ペンケ目国内川」と「目名川」とが合流する地点の下流)で表流水を川岸から直接ペットボトルに採取した。

(川岸直下から水深が有る様で底は見えなかった、流れも速くウエーダー(胴長靴)を持っていたが立ち込めないと判断して10cm程水をかぶっている柳の根元を足場にしてなんとか採取。 河畔は雑草が前日の雨でまだ濡れていて、ウエーダーは母さんがはいてヤブコギ(藪の中に分け入ること)をしてカメラマンをしてくれた。)

◎ その他 

・目名川

国道5号線から道道267号線で宝橋へ向かう途中、目名川に架かる目名川橋で鮭の捕獲作業をしていた、水を採った帰りに写真を取らせてもらったが、丁度お昼休みで作業はしていなかった、水中の生簀の中では婚姻色をした鮭がバシャバシャ音を立てて暴れまくっていた、獲った鮭は孵化場に運ばれて採卵・受精されるとのことです。  因みに目名川は周年ヤマメが禁漁の川。

・京極のふき出し湧水

帰りがけに京極町ふき出し公園に寄って噴出し湧水を汲んできた、容器はセイコーマート(北海道を地盤とするコンビニエンスストア)が販売している「京極の名水」の空ボトルを使った。(ボトルには衛生的に処理されていない京極の名水が入っている。)尻別川の水と違ってそのまま飲めますので一緒に送ります。おいしいです。
噴出した湧水は小川(噴き出しの川)となって数百メートル下って尻別川に合流する、その意味では尻別川の源流のひとつと言えるかな?

写真は何回かに分けて送ります

工藤幸雄


鮭の採取施設
川には鮭の姿が

わざわざ国土交通省が調査した地点を調べて、そこまで採取にいってくれたようだ。
そして宅配便の箱には母が作ったイカめしとイクラ漬けが一緒に入っていた。

カーソルをのせると説明がでます


ワーストの綾瀬川を

父が車を走らせて日本一の清流の水をくんできてくれたので、僕もはりきってワーストの水をくみに足立区の綾瀬川へと向かった。
駅に近いところで取水してさっさと帰ろうと思ったら、護岸の塀が高くて無理だったので、橋のあるところまで歩いた。


ここじゃちょっと取水できないので面倒だが歩いた(ちなみに遠くにスカイツリーが見える)
「きれいに美しく」と書かれている
川をまたぐ橋の上に来た。ここが国土交通省の観測地点でもある
水は濁っていて、底からあぶくがあがっている

ややよどんだ匂い

この記事のタイトルは便宜上「日本一きたない川」としたが、綾瀬川がワーストなのはBOD値であって、「きれい・きたない」にはいろいろな判断基準があるが、じっさいに綾瀬川の上に立ってみると、やはり「きたない」という感想を持つ。
水はかなり濁っていて、流れも少なく、よどんでいる水の匂いを感じる。
それでも、ここ10年のBOD値の改善幅が最も大きいのが綾瀬川だそうである。
それなのにワーストって、どんだけきたなかったのか。


手頃な重石がなかったので、机の上にあった蛇口を使用
紐にレジ袋をぶらさげて取水
たぷんたぷんにくめました
綾瀬川の水をゲット

比較対象として神田川

北海道の大地を流れる日本一きれいな川と、綾瀬川ではあまりに差があるので、僕が以前「東京の川飲み比べ」をした時に(嫌な思い出のある記事なのであまりリンクしたくないのだが→こちら)、最もおいしかった神田川の水を採取して、参考に飲んでみようと思う。


神田川(写真が暗いのは夜だからです)

何も写っていませんが、ちゃんとくんだ


飲みくらべ

さて、ひととおり水が揃ったので、飲み比べてみよう。


左から尻別川、綾瀬川、神田川

写真ではわかりにくいが、神田川の水が最も透明だ。
しかし、浮遊物が多い。
取水地点の水深や水量など、透明度には他の要素も絡むようだが、味との関連性はどうだろうか。


尻別川の水は天候の影響でやや濁っている
綾瀬川の水はなんの影響かわからないが濁っている
神田川の水はあまり濁ってはいないが…
ムシが死んでいた

濾過装置

もちろんゴクゴクと川の水を飲む勇気はない。
特に北海道の川には「エキノコックス」という恐ろしい寄生虫(→Wikipedia)がいるので、絶対にそのまま飲んではいけない。
そこで、濾過装置を用意した。


非常時に役立つ濾過装置
ちょっと不安になる

濾過器には魚がいないような川の水は濾過しても飲んじゃいけないと書いてあり、やや不安なので当サイトの釣り名人ライター玉置さんに電話して聞いたところ、綾瀬川にはウナギがいるとのこと。安心して味見ができる。


チューッと濾過して紙コップへ
見た目はどれも澄んでいる


尻別川のお味見


濾過する前からまったく無臭

濾過をすると味がなくなってどれも同じになるとお思いかもしれないが、これがけっこうちがうのだ。

尻別川の水は、口当たりがやわらかく、まろやかな印象だ。
ふつうのミネラルウォーターといわれてもわからないおいしい水だ。


安心して飲める感じ
まろやかでうまい

綾瀬川のお味見

濾過前には水を換えていない金魚鉢に灯油を流してしまったような臭いがしていたが、濾過後にもその風味が残っていて、これはちょっと飲み込めなかった。
ケミカルな香りが舌の上に残ってしまう感じだ。
これは飲んじゃダメですわ。


これ飲むの!? という臭い
ダメ、絶対

神田川のお味見

濾過前の神田川の水は、ケミカルな臭いはないものの、それでもよどんだ水独特の臭いがあって、前に飲んだ時よりもおいしくないんじゃないかと思ったが、濾過してみると、尻別川ほどではないが、かなりいい線をいっていた。


ちょっとドブ臭いけど
濾過すると結構いける

味のまとめ

尻別川:さすが日本一位だけあってまろやかでおいしい。なんの不安もなく飲める。

綾瀬川:さすが日本ワースト一位だけあって、はげしくまずい。こう評価すると流域にお住まいの方に申し訳ない気もするが、なんのお世辞の言いようもなくまずい。

神田川:さすが四畳半フォークだけあって、とても健闘している。喫茶店などで冷やして出されたら、なんの疑いもなく飲むと思う。


やっぱ清流がいいね!

たまには実家に帰ろう

綾瀬川のBOD値が日本ワーストワンではるが、順位付けをする以上どこかの河川がビリになるのは仕方がないことだ。
いずれ綾瀬川を含めた日本中の河川の水質が改善し、このようなランキングを発表する必用がなくなる日がやって来るといいな、という宿題で書かされる感想文みたいなまとめで記事を終えよう。

それから、実家から水と一緒に届いたイカめしとイクラ漬けはおいしかった。
たまには帰らんとな、と思う。

母さん、イカめしごちそうさまでした


 
 

 

 
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