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ひらめきの月曜日
 
チリンチリンアイス盛り付けギャラリー


 

旅行先でときどき、アイスを販売する移動式ワゴンを見かけることがある。いくつかの県で似たような販売形態のアイスがあるらしく、秋田では「ババヘラ」、高知や沖縄では「アイスクリン」と呼ばれているようだ。

同じようなものが長崎でも「チリンチリンアイス」という名で売られている。かわいい響きのある名前だ。

売り子さんがヘラ状のものでコーンにアイスを盛り付けてくれるのが共通のスタイル。半球状に盛るのが通常だが、変わった盛り付けの仕方をしてくれる売り子さんも多いと聞いた。

どんな違いがあるのだろうか。見かけるたびにアイスを買って、比べてみよう。

小野法師丸



おっさんの心にも届く花のアイスの美しさ

いくつかの地域で見られるワゴン販売のアイスだが、今回訪れたのは長崎県。観光スポットに行くと結構な確率でチリンチリンアイスのワゴンが来ているという。


長崎の観光名所のひとつ、大浦天主堂
その坂の下で発見

まずやってきたのはグラバー園とも近い大浦天主堂。そこに向かう坂の下に、薄黄色のワゴンがあった。

小学校の運動会に来ていたという地元の人 の話を聞いたこともあって、不規則な出現例もあるようだが、やはり観光スポットでは手堅く見つけることができる。


「私が元祖よ!」

早速購入すべく、売り子さんに「変わった形の盛り付けってできますか?」と聞いたところ、「できるよ、バラの形!」と応じてくれた。さらには「私がこの盛り付け始めたのよ。そしたらみんな 、マネし始めてさ」とも。

いきなり変形盛り付けの元祖に当たったのか。ひとつお願いしてみた。


さすが元祖という完成度

驚いたのがアイスをヘラですくうストロークの速さ。大きな缶の中のアイスを少しずつヘラに乗せてコーンに盛っていくのだが、その往復運動が速い。相当手慣れている。

みるみるうちにできたのが上の写真のアイス。これはちょっとした職人芸だ。

味はさっぱりとしたミルク系。程よい甘さで、形を崩すのがもったいないと思いながらも、あっという間に食べてしまった。


すぐそばにあった別ワゴン
バラとは違うスタイルの花

薄黄色のワゴンのすぐ そばには、エメラルドグリーンのワゴンがあった。こちらの売り子さんにも変わった盛りつけができるか聞いたところ、「あんまり上手じゃないけどねえ」と言いながらも花の形に盛ってくれた。

確かに手つきは先ほどの人と比べるとゆっくり。そういう様子も含めて、味わいのある花に見える。

こちらの方も「うちはチリンチリンアイスの元祖なのよ!」と元祖アピール。詳しく聞くと、アイスの販売は4つの会社が行っているそうで、会社によってワゴンの色が違うとのこと。

そして、このエメラルドグリーンのワゴンを出している会社が元祖なのだそうだ。色は黄色でさっきと違うが、味は最初のアイスと大体同じように感じる。でも言われてみれば微妙に違うかも知れない、というか、こっちが元祖の味なのか。

きれいにメガネになってた眼鏡橋
こちらも大人気 

続いては、同じく長崎市内の観光スポットである眼鏡橋。やはりアイスのワゴンが出ていて、かなりの人を集めていた。

ワゴンの色はエメラルドグリーン。2つ目のと同じだが、今回調べているのは味ではなく盛りつけ方。ワゴンの色が同じでも、売り子さんが違うなら盛りつけも違うはず。

ここでは知人親子と同行していたので、自分が食べるのは一回休んで、子供が買ったのを見せてもらうことにしよう。


雪で作った花、という雰囲気

こちらの方もストロークが早く、回数の多いタイプ。花びらがやや直線的で、まだ開ききっていない咲きかけのバラという感じだろうか。じっくり観察してたら、「早く食べたい!」と怒られた。

ここでは自分の分は休みにするのだが、お母さんである知人も自分用のを買っていたので、そちらも見せてもらおう。


あれ、なんか違うぞ
比べてみると差がわかる

なんかお母さん分は、手を抜かれていないだろうか。立体感や花びらの枚数が違う。

でもまあ、逆になっているよりはいいかもしれない。大人用のががっちり本気で子供用のが手抜きだと、子供が釈然としない気持ちになってかわいそうだからだ。大人ならそんな気持ちもなんとなく飲み込めるだろう。

こちらも有名な平和公園
まだ見ぬ色のワゴン発見

続いてワゴンを発見したのは平和公園。薄黄色、エメラルドグリーンに続いて、こちらはブルーのワゴン。4色あるという話を聞いたので、これでそのうちの3つを見つけたことになる。

そして印象的なのは、どのワゴンにもお客さんがちゃんとやってきていること。晴天とは言え10月だったので、暑さはそれほどでもないのだが、しっかり売れているようだ。

「変わった盛りつけできますか?」と聞いたところ、「できるけど、今ちょっと忙しくなってきちゃったからね」と言いつつも、ペタペタと盛り始めてくれた。


これまたちゃんとバラに見える

手を急かしながら作ってくれたのは、やっぱりバラに見えるアイス。花びらも多くはなく、これまでのバラと作風は違うが、バラだということはしっかりわかる。

最初にアイスが写実的なバラだとしたら、こちらはやや崩して油絵の具で描いたバラという感じだろうか。

平和公園のおばちゃんに聞いてやってきた
確かにいた!

平和公園の売り子さんに、他にアイスのワゴンが出ている場所はないかと聞いたところ、公園の近くにある長崎原爆資料館を教えてくれた。

行ってみると情報通りワゴンが存在。しかしこちらは薄黄色のワゴンで、平和公園のブルーとは違う会社のもの。そう言えば平和公園のおばちゃん、なんとなく渋々教えてるようにも聞こえたのはこういうことだったか。それでもちゃんと教えてくれてうれしい。


こういうバラもあったかも

「はい、バラだよ」と盛りつけてくれたのはこんな感じ。こちらもまたこれまでと違うたたずまい。

確かバラって、相当いろいろな種類があったような気がする。何かの機会にバラ園を見物したことがあるけれど、言われてみればこんなバラもあったかな…という感じだろうか。

一つアイスを買ったあと、「他の盛りつけもありますか?」と聞いたところ、「チューリップもあるよ」とのこと。それは新種だ、もう一つ頼んでみた。


ベストアングルより
回すと角度によってはこうなる

左の写真、「何の花かと聞かれたらチューリップだね」というくらいには思えるものになってると思う。しかし、手渡されて最初に抱いた感想は「…?」というもの。このアイスが不思議なのは、見る角度によってずいぶん違うからだ。

回転して別の角度から撮ったのが右の写真。「これは少し食べたあとだろう」と思われるかもしれないが、そういうわけではない。これが買ったままの状態なのだ。

だまし絵のようなアイスと言えるだろうか。今回の不思議賞を贈呈したい。


いよいよファイナルチリンチリン

資料館の前には、同じく薄黄色のワゴンがもう一台来ていた。違う会社同士が同じ場所で競うのはわかる気がするが、一つの会社同士でもこういうことはあるらしい。

ひとつください、と言うと、無言でアイスを盛りつけ始めた売り子さん。大抵の売り子さんはおしゃべり好きだったのだが、こちらの方は最も無口だった。手際よく、とても集中して盛りつけている様子。そして出てきたアイスがこれだ。


これはすごい!

受け取った瞬間、思わず「おおっ!」と声が出た。これまでのアイスもそれぞれよかったのだが、こちらは頭ひとつ以上抜き出ている出来映え。

花びらの絡み具合やそれぞれの縁の丸さがとてもリアル。そして全体的なバランスも素晴らしく、誰がどう見ても「ザ・バラ」。

これはすごい。この日最後に買ったアイスで一番すごいのが出てきた。味そのものはもちろん変わらないのだが、食べるのがもったいないと思わせる分、なんとなく感慨深く口にした。

旅先でのアイスはおっさんをニヒルにさせる

思った以上に個性があったチリンチリンアイスの盛りつけ比べ。そして印象的だったのは、買うのが一回きりの観光客である私にも、いろいろと話を聞かせてくれる売り子さんが多かったことだ。

そういう部分も含めて、楽しくおいしいチリンチリンアイス。1日にいくつか食べても飽きないあっさり味と食感なので、はしごすると発見がありそうです。


 
 

 

 
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