島の人たちは生でも食べるらしい。一見おいおい、と思うけど、むやみに土味を隠そうとしてばかりいるのも大人げない事なのかもしれない。苦手な人とあえて裸で向き合う事で、先入観が解けて関係がスムーズにいくことだってあるのだから。
何度も言うけど、ほんとうに咀嚼している間は美味しい。浅漬けにしたことで、よい感じのぬめりと歯ごたえが体感できる。飲み込むまでは。
コレを食べて心に浮かんだ心象風景は、沖縄を通り越してしまった。雨の日に校庭で転んだひょうしに口に泥水が入ってしまった遠い日の放課後だ。
シメは味噌汁だよね。冬瓜に似ているからイケるとおもうんだ。
まったく期待はしていない。色々と信じることを忘れさせてくれる、そんな野菜だと思う。
汁全体に拡散している。ごめん、ワーストだ。 最後まで食べると、ちょっとの事ではビクつかない強靭な精神力が身に付いている。そんな味噌汁だ。
めげずに食べているうちに「慣れ」という克服のしかたを身に付けたようで、初回の衝撃はかなり薄らいだ。もう驚かずに「へちまだな、土味きいてるね」と余裕で食べられる。苦手な物として挙げないわけにはいかないけど、ひとつくらい好き嫌いがあってもよいかな…と負けを認める事にした。 …いや、やっぱり悔しい。いつの日か、リベンジを遂げたい。 どこかの国に「土のスープ」という珍味があるらしい。そう考えれば土風味もスパイスととらえることが出来ないか。出来ないな。