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土曜ワイド工場
 
カラオケの採点に歌詞は関係するのか


もう引き返せない感じ

今回はタイトルの通り、「カラオケの採点に歌詞は関係するのか」を検証してきた。

そしてサブテーマとして、「人前で何度も同じ曲を歌うのは辛い」という事をお伝えしたいと思う。

小堺丸子



やろうと思ったきっかけ

私は普段大人しい方で、声が小さい。
声が小さい人というのは口の筋肉をあまり使っていないから口の動きが固い。だからいざちゃんと喋ろうとするとうまく口が回らず言い間違えをしてしまう事がしばしば。


普段は大人しい私

カラオケなんかでもそうだ。
マイクという拡声器があるものの、口を大きく開ける必要がある。そこでさらにテンポの速い曲や英語なんぞ交じってるような曲を選らんだ時にはまず100%歌詞を言い間違えるんだ。

そんな時はまあ、ゴニョゴニョ誤魔化してエヘヘと笑って流せばいい。


間違えちゃったエヘヘ

でも先日、カラオケで「採点機能」を見ていて思った。このゴニョゴニョって点数に関係するのだろうか?ちょっとしたゴニョゴニョくらいならあまり関係なさそうだけど・・・たくさんゴニョゴニョしちゃったら点数減っちゃうの?

 

検証手順と選曲

という訳で今回はカラオケに行って、果たして歌詞は採点に関係しているのかを検証する事に。検証手順は次のようにした。


(1)普通に歌って採点

(2)「ラ」だけで歌って採点
→単純な発声だけでどの位変わるのか知りたいから

(3)替え歌で採点
→まるきり違う歌詞で歌ったらどの位変わるのか知りたいから


ところで検証する為の曲は何にしたらいいのだろうか。どうせなら誰もが聞いた事のある有名な曲が良い。そして歌詞を書くとなったら短い方が良い。さらに、歌うのは得意でないので難しい歌は駄目だ、単純なものが良い。

イグザイルなのかエグザイルなのか未だに分からない程に音楽に疎い私は、まずここで頭を悩ませた。


切ない曲代表「木綿のハンカチーフ」

10分くらい考えた末、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」にした。(前にケンコバのコントで聞いた事あったから)


作詞します

遠く離れた恋人が、都会の色に徐々に染まっていく寂しさを歌ったこの名曲。多くの人がたやすく想像でき、心に残る素晴らしい歌詞だ。

勿論私はそれに対抗する程の感性も経験も持ち合わせていないし、ましてや今回の企画に詩の内容は関係していないから、あまり考えず作詞することにした。それがこれ。


作詞と言うのさえ憚られる出来(一応クリックで全体見えます)

ハンカチーフと高野豆腐の語感が似ているという理由だけで書き進めたら、最終的には若い部下を相手に愚痴る気弱なサラリーマンの歌になっていた。なんだかんだ(1)時間くらいかかった。

 

準備できたけど・・・1人で行くのか誰か誘うか

よし、後はカラオケに行って3回歌って検証すれば良いだけだ。

いや「だけ」なのだが、ここでまた頭を悩ませた。カラオケに1人で行って自分の作詞した歌を歌うって寂しさ度がかなり高くないだろうか。

かと言って自分の都合上、友人に頼む時間が無かった。半日くらい悩んだ末、ちょうどその日にあった企画会議の後に編集部の方もしくはライターの方に付き合ってもらう事にした。


大森駅にある「バナナパンチ」というカラオケへ

しかし企画会議の最中でさえ「やっぱり1人で行った方が気が楽か」「でも人がいた方が写真も撮って貰えるし記事にしやすいかも」という葛藤で頭がいっぱいだった。こんなに悩む事になるなんて思ってなかった。

結局は自分の想定の倍の人数、(自分入れて)6人で行く事となった。こんなに付き合ってもらったら・・・もう後には戻れない。


つき合ってくれたのは安藤さん、べつやくさん、西村さん(初めてお会いした)、写真にうつってないけど林さん、工藤さん

狭い部屋に通され、本当に歌うんだという実感がわいてきた。この時正直、本来の目的である検証よりも上手く歌えるのだろうかという気持ちが大きく占めてきていた。

まずはその緊張をほぐす意味でも上の写真のお三方に歌って貰った。言葉は悪いけど噛ませ犬的な感じで。


気持ち良さげに「タイガー&ドラゴン」を歌う安藤さん
カラオケ楽しいですねと余裕の西村さん「そして、神戸」

皆さん5年ぶり位に来たというカラオケのシステムに不慣れながらも、上手に楽しみながら歌っていた。

私はその歌を片方の脳で聞いて「皆さんうまいなあ」とか適当な事を言って場に合わせつつ、もう片方の脳で「やっぱりやめてもいいですか」と言ったらどうなるのかを考えていた。


半分聞いてるけど半分葛藤している時の顔(普通に上手いべつやくさんは「津軽海峡・冬景色」)

 

やめられる訳ないよね・・(1)普通に歌って採点

お酒を飲めばまだ良かっただろうか。
引きつった表情で、声を震わせつつまずは普通の歌詞で歌う。


「こっいーびとーよー」(緊張気味に)

心こめて歌うとか、ビブラートきかす(よく知らないけど)とかそんな事する余裕はない。

ケンコバのコントだけじゃなくてちゃんと太田裕美さんが歌っている曲を聴いて練習しておけば良かったと思いながら歌った。


86点。まあまあか?

カラオケの点数の平均値がどの位なのか分からないけど85点以上取れればまあ良い方なんじゃないか、と私は思っている。

なので少しホッとしたのだが、皆が口を揃えて言った「この曲難しいですね」という言葉でけして上手く歌えていなかった事が分かる。緊張はほぐれなかった。あと2回歌う必要があるのに。他の曲で挽回する事もできないのに。帰りたい。

 

(2)「ラ」だけで歌って採点

また噛ませ犬としてべつやくさんに一曲(二人静 -「天河伝説殺人事件」より)歌って貰ったあと今度は「ラ」のみで歌う。「ラ」のみで歌って改めて思ったが、この曲同じ曲調が4回繰り返されるので非常にしつこい事になっていた。

もしかしたら私が知らないだけで歌い方を変えるヤマ場とかあったのかもしれないがちゃんと知らないので同じ音程を繰り返すしかない。


「ラッラーララーラー」(ヤケ気味)

途中でいま何番目を歌っているのか分からない状態になる。そして「ラ」ばかりは舌が疲れる。

周りの皆さんは声が邪魔にならないように気を遣っていてくれるのか、先ほど同様に静かだ。全ての要素が憎い状況の中、早く終われと思いながら歌った。

果たして結果は?


3点上がった。

結果は落ちるどころか3点上がっていた。太田裕美さんが私を哀れと思い乗り移ったのだろうか。いや違う。上がった理由としては皆の「立った方が歌いやすい」という助言と、歌詞を気にしなくていいという安心感が反映したかな。

・・・という冷めた感想で、本題である「歌詞は採点に関係するか」は割とどうでも良くなっている事にお気づきか。


それよりもう一曲歌う事の心配

実は会議の時点で林さんが「採点に歌詞は関係ないらしい」とホボ答えを出していたのだ。でもやってみないと分からないね、って事で私は再確認としてこんな恥ずかしい思いをしているのだ。だから少し位上がった所で「ああやっぱり」と感動は小さかった。

 

それでもつきあってもらってるのでやりますよ・・
(3)替え歌で採点


操作ミスで「木綿のハンカチーフ」を歌う工藤さん

また噛ませで工藤さんに歌ってもらった後、おもむろに自分が書いた寂しいサラリーマンの歌詞カードを出す。ああもうこれで終われるという気持ちの一方で、このサラリーマンソングに一体どんな反応が来るのかという新たな心配が頭をよぎる。


やっとこれで終わる

いや別に、何の反応もなくたっていいんだ。反応が欲しくて書いた詩じゃない。検証のために書いた詩だもの。でももう少し時間をかけてちゃんと書けば良かっただろうか。

そんな後悔をしながら歌いだした。


「とっりーあえずー」(反応を気にしながら)

カラオケルームで画面を見ずに自分の詩を歌う時が来るとは。

でもこれ、緊張しながらもチョビっと楽しかった。頭の中で何となく音に乗せて書いた詩が、ぶっつけ本番ながら意外とスムーズに歌える。自分の想いを詩に託して歌う歌手の気持ちがほんのちょっと分かった。


あ、笑ってくれてた!

とはいえ総じてテンパってたからよく分からなかったけど、べつやくさんと西村さんに笑顔があった。良い人たちだ。好き。


その隣は遠い目してた

写真を見返すと遠い目をする安藤さんがいてビックリしたが、この自作の詩を歌った時は前の2曲より皆の反応がよくて良かった。ほんのちょっと救われた。

初めて詩を口に出したので途中ゴニョゴニョしちゃったけど、なんとか歌いきる。
さて得点は?


88点

結果は「ラ」だけの時と(1)点しか変わらない88点だった。へー・・・(聞いてた通り)歌詞は関係ないみたい。

 

最後にもう一度普通に歌う

こうして3回歌った結果、普通に歌った時が一番点数が悪いことに。もしかしたら立って歌った事が関係しているのかもね、という安藤さんの一言で最後もう一度歌う事になった。


4回目。なんども聞かせてスミマセン・・・

結果は88点

<結論>
・(林さんが言っていたとおり)歌詞が変わっても音程が合っていれば採点に影響しない
・という事は英語の歌とか適当で大丈夫
・でも「ラ」とかだけだと舌が疲れるし、聞き手もつまらなそう
・立って歌うと点数上がる
・緊張しつつも替え歌はちょっと楽しい
・同じ歌を人前で何度も歌うという状況は精神的ダメージが大きくて帰りの電車乗り間違える。やめた方がいい。
・この時の事は早く忘れたいが、歌いすぎて曲が頭から離れなくなった。

こんなに盛り上がりに欠けるグラフなかなか無い

以上、緊張と後悔だらけのカラオケレポート終わり。

涙と汗拭くハンカチーフください

5人を前に同じ曲、しかもリフレーン4回の曲を何度も聞かせ、自分が作った詩を聞かせ、左右から写真を撮ってもらうという状況。

何これ。この企画ってこんなナルシストっぽいジャイアン企画だったんだ。恥ずかしさで頭の中は早く終わってくれとその事ばかり考えて歌っていた。できる事なら時間を巻き戻して無かった事にしたい。

ちなみに今回私が歌った4回のほかに操作ミスで2回ほど「ハンカチ」を送信、また工藤さんも途中で1曲ハンカチを歌ったので計7回の履歴が残っている。次の客が見たらどう思うだろうか。

早く忘れたい。早く忘れてほしい。

 
 

 

 
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