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ひらめきの月曜日
 
カオス&フリーダム 実食グローバル寿司

日本国内でもフリーダム

グローバル寿司の奔放さには目を惹かれがちだが、よくよく考えてみると日本の寿司にも自由なムードは浸透してきているのではないか。


もはや違和感なしかも
総菜コーナーにあるこのくらいのも普通

海外生まれであるスパムミートの缶には当たり前のように寿司が描かれている。そういえば初めてスパム寿司を知ったときには違和感を感じたものだが、もうそんな風には感じられなくなっているようにも思う。

右の写真はスーパーの総菜売り場で見かけた、サーモンとタマネギと大葉を巻いた寿司。こちらももう、普通においしそうといったくらいの感覚だろうか。

伝統的な寿司からはかけ離れていても、これくらいは割と普通に思えてくる。それくらい海外の寿司感覚は浸透しているのではないだろうか。逆に新鮮なのは、もっとシンプルなものだ。


楽しいあいつがやってきた
ありし日の雄姿

以前入った回転寿司で見かけたウインナー寿司。料理人が考案したというのではなく、人気者を自由な気持ちで合体させたというカジュアルさが逆に新鮮。

ところがこの寿司屋に最近再び行ったところ、メニューからウインナー寿司が消えているのを発見。世間は彼を受け入れなかったということか。

考えようによってはドイツ寿司とも言えるが、ウインナーにも挫折はある。そう言えば以前見かけたときも、人目を集めつつも取られることはなくレーンをぐるぐる回っていた気がする。「お子様に大人気!」とあるが、お子様たちも「ちょっと違うな…」と察したのだろう。


ここまでは納得

こちらは回転寿司チェーンを調べていて見つけた期間限定メニュー。「秋旬味」というテーマであるらしい。そこにサンマがあるのはよくわかる。

それは違うだろ

ただ、その下にハンバーグ寿司があるのはどうなのか。何食わぬ顔でそこにいるつもりかもしれないが、「秋旬味」というテーマにはそぐわないだろう。

何かをごまかしながらたたずむハンバーグ。そこはお前の居場所じゃないだろう。というより「お前の旬は一年中だろ」と抱き寄せてやりたい。

さて、私が寿司について調べていると、妻から新たな情報が寄せられた。「そう言えば私、回転寿司でクロワッサン寿司っていうの食べたことある」とのこと。なんだそれは。


ずばりこのクロワッサン
記憶をたどりながら調理

クロワッサンというのは何か例えて言っているのではなく、ずばりパンのクロワッサンを使った寿司とのこと。頭の中でイメージしてみても、どうにも相容れないパン生地と酢飯。おかしいだろう、それ。

かなり前のことらしいので記憶があいまいらしいが、再現してみたい。そう話すと、「確かこうだったような…」と包丁を手に取った。

そしてパンの中心に切れ目を入れる。ここまではいい。だができあがったのはこんなものだった。


記憶の中のクロワッサン寿司

クロワッサンをやきそばパンのようにカットして、その切れ目にご飯を入れる。これが曖昧な記憶の森の中から引き出してきたクロワッサン寿司だ。

何度も「これほんとなの?」と念を押して聞くのだが、「確かこうだったような…」との答え。「他に具とか入ってなかったの?」と聞いても、「確かこうだったような…」と同様の返事。

雑すぎないか、これ。


食べてはみるけど…
まあこういう感じになるわな

バター風味のクロワッサン生地とご飯とが、口の中でいつまで経っても平行線。噛めば噛むほどに、別々に食べたいという思いがどんどん強くなっていく。

私が無言で食べていると、「だんだん自信なくなってきた…」と妻。意外とおいしかったグローバル寿司の最後は、こうしてフェードアウトしていく。

常識とおいしさが口の中で戦い中

最後のクロワッサン寿司はともかく、それ以外はどれもおいしかったグローバル寿司。決して奇をてらったものではなく、ちゃんとした料理として成立している。素直にまた食べたいと思えるものばかりだった。

問題のクロワッサン寿司、調べてみたらちゃんとしたのを出す店が熊本にあるのを発見(こちらの下の方)。単なるまぼろしではないのかもしれない。


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