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ひらめきの月曜日
 
井の頭公園に店を出す


こんな感じの物を売っています。

吉祥寺にある井の頭公園では、毎週末にアートマーケッツ(ART*MRT)というイベントが開催されています。登録された出展者(アートキャスト)が自ら製作したアート作品の販売を行ったり、様々なパフォーマンスをしたりするイベントです。

普段は走ったり料理したり酒飲んでばかりいる私ですが、バーナーワークなるものもやっています。そのバーナーワークでちょっとしたアクセサリーを作っていまして、おこがましくもアートマーケッツに時々出品しているのです。

今回はその様子をレポートします。

馬場吉成



アートマーケッツとは

アートマーケッツは、市民、関係団体、行政が参加して設置された「井の頭恩賜公園100年実行委員会」が平成19年から実施しているイベントです。

イベントが実施される以前は、演奏等のパフォーマンス、露天販売などが公園内で管理されずに行われていました。それを楽しみに来るお客さんも多かったのですが、近隣住民からの苦情も多かったそうです。その為、出展が登録制となり、出展できる物も絵や写真、工芸品などの手づくりのアート作品、音楽や大道芸などのパフォーマンスに限定することで適正化と公園の賑わいを図ったそうです。


週末の公園は大勢の人で賑わう。紅葉もまだ少し残っていました。
こんな感じで店が並んでいます。大道芸などの人は別エリア。

アートマーケッツの開催は毎週土日(4月の桜のシーズンを除く)。朝9時から日没まで。


この看板のある範囲でしか出店出来ない。

出店エリアはこの看板により示されていて、この矢印の範囲内でしか店を出す事が出来ません。


必要書類や作品の写真などを出して審査を通り、参加費を払えば貰えます。

出展者は店の前、パフォーマンスをしている場所の目に付く所にこの出店許可書を掲示する必要があります。あと、主宰者から発行される写真付きの許可書があって、それを首からかけてなくてはいけません。店のサイズにも制限があります。


こんな感じで店を出しています。作品少なっ!

色々制約はありますが、公共の場所なので最低限のルールと言ったところです。それほど難しい内容ではありません。


隣で出展されていた犬の服。同じデザインで10ぐらいのサイズを作るらしい。売れていました。
こちらも隣のお店。手書きのイラストの絵葉書など。凄く緻密で鮮やかな色使いでした。

顔面紙芝居の方。子供に大人気。「妖怪の館」というお話でした。
マンガを紙芝居風に朗読してくれる方。この時は北斗の拳を朗読していたようです。

 

ところで、バーナーワークって何?

こんな感じで色々な作品の販売やパフォーマンスが行われるアートマーケッツ。そこに私もバーナーワークの作品を出しているわけですが、そもそもバーナーワークとは何?という方も多いでしょう。

簡単に言えば、小型のバーナーでガラスを融かして様々な形を作るガラス工芸です。


道具はバーナー、各種ピンセット、コテ、石板、水入れ、除冷灰入れ、ガラス切りなど。より本格的にやる場合は、エアーを送り込んで火力を増すことが出来るバーナーを使います。

バーナーワークで使う道具はバーナー、各種ピンセット、コテ、石版、水入れ、除冷灰入れ、ガラス切りなど。それほど多くはありません。バーナーも、とりあえずキャンプなどで使う小型のバーナーで事足ります。


ガラス棒。透明、不透明、融点の違う物など各種あります。

こちらが、材料となるガラス棒。これをバーナーで加熱して融かして様々な形を作ります。今回は芯棒に巻きつけて作るトンボ球の作り方を紹介。


粘土とか各種粉を混ぜ合わせて作る離型剤。これを芯棒につけないと、ガラスが芯棒に貼り付いて抜けなくなる。

トンボ玉作りではまず鉄の細い棒に離型剤をつけて乾燥させます離型剤は粘土などの粉を混ぜて水で溶いたペースト状の物です。


ガラスを溶かす。いきなりガラスを火に突っ込むと割れるので、少しずつ火に近づけていく。
ある程度の大きさになるまで融かしたら、一度離型剤を加熱して巻きつける。火の根元に近づけると玉にススが入るのでなるべく先端で作業。

芯棒の離型剤が乾いたらガラス棒を融かして離型剤の上に巻きつけます。


玉になってきたら、予め融かして細く延ばしておいたガラス棒で模様をつける。最後に全体を加熱して形を整える。
出来上がった玉は徐冷灰の中でゆっくりと冷却。通常は藁灰を使うが、無い場合は園芸用のバーミキュライトでもいい。

巻きつけたガラスが玉状になってきたら各種模様をつけます。ここでは融かして細く引いたガラス棒を巻きつけてみます。出来たトンボ玉がこちら。


線の幅が歪むのは単に私がヘタだから。手作りの味わいと思ってください。

模様のつけ方には色々あります。予め作っておいた様々な模様のガラスパーツを乗せる、コテやピンセットで摘まんで形をつけるなど。色々な手法を組み合わせることでより複雑で綺麗な模様を作り出せます。


点を打って先の尖った棒で引っ張るとこんな花柄に。
平たく延ばして捻って輪にしたもの。

ピンセットとコテを使って波立たせたもの。
別の色を少し混ぜた物を勾玉状にした物。

 

それで、お店はどんな状況?

バーナーワーク作品がどんな物かわかって頂いたところで、アートマーケッツに戻りましょう。

先日出店した時はこの季節にしては暖かい晴れた土曜日。公園は人通りも多く、足を止めて気になった作品を見たり、お店の人と会話を交わしたり。どこのお店もとても賑わっていました。


こちらは苔玉屋。園芸アート作品。
手編みのぬいぐるみでしょうか。手編みのお面はありませんでした。

こちらは革製品。ちょっと欲しい。
こちらは帽子屋。ランニング用の帽子ぐらいしか被らない私には縁遠いか。

それで私の出店した店はといいますと。


長いこと作品を眺めていった方。アートマーケッツへの出店を考えてリサーチ中だったようです。
親子で作品を吟味。外国の人に贈りたいのでもっと和風の柄は無いのか聞かれたが、残念ながら今回はなかった。次回の課題にします。

足を止めてみてくれる方。どうやって作るのか聞いてくる方。実際に手に取って自分に当ててみる方。まあまあの客足。

しかし、私1人で店番をしていると・・・


客、こねーなー

天気いいなー。そこのお姉さん!見て行きません〜って、行っちゃった・・・

お店を出すのは楽しい

ということで、時々アートマーケッツにお店を出しています。そして、さも私が作品を作っているかの如く書きましたが、作品の大半は妻の作品。一応私のもあります。しかし、ここしばらくバーナーワークはお休みしていまして、全く作品作っていません。近く、復活させたいなーという気持ちを込めて書いてみました。

こういう形のお店は、お客さんの声が直に聞けて色々勉強になります。また、隣近所のお店の人からの店つくりのアドバイスがあったり、色々助けてもらったり。作品が売れればそれはそれで楽しいですが、そういったお客さんや他のお店の人との交流も実に楽しい体験です。

もし、皆さんの中でもやってみたい方がいたらチャレンジしてみてはどうでしょう。楽しいですよ。

バーナーワークを作る際には、時々ガラスが弾けて飛ぶことがあるのでゴーグルをしておくのがいい。これは家にあった溶接用メガネ。バーナーワークにはあまり向かない。鉄向き。

 
 

 

 
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