意外な色の麺類、そしてフィナーレは東京を離れて
ちゃんとしたうどん屋さんの場合、茹でるのに時間がかかるためなのだろう、注文してからしばらく待たされることも多い。今回もそうだったが、それはおいしいうどんとして期待できることにもなると思う。
やってきたのはこれだ。
温かいつけ汁と合わせて食べるタイプのうどん。一目見て気がつくのは、普通と違ううどんの色だ。カメラの設定が悪くてこういう色に写ったわけではない。
この店では「黒うどん」と呼んでいるこの麺。未精製の小麦粉である全粒粉を使っているため、このような色になっているらしい。言われなければ、超極太の日本そばのようでもある。
では食べてみよう。…まず感じたのは、普通のうどんよりもずいぶん固い、ということ。
この店のうどんは、埼玉県や東京の多摩地域などで古くから食べられてきた「武蔵野うどん」を元に作られているらしい。武蔵野うどんの特徴は、喉ごしではなく歯ごたえ。つるつると食べるのではなく、よく噛んで食べるうどんなのだ。
実際、かなりの噛みごたえ。一口ずつまじめに噛んで食べていると、相当あごの力が付くのではないだろうか。
色も味も濃い目のつゆに付けて食べる。歯ごたえがあるためしっかり噛まなくてはならず、その分うどんそのものの風味をじっくりと味わえた気がする。
メニューには1キロもあるという「バカ盛り」というのもあったが、今回食べたのは普通盛り。それでも普通の店よりはボリュームがずっとあり、食べ応えの面でも満足だった。
さて、「東京○○」巡りの最後は、工場直売を訪れてみたい。お菓子やドッグ、牛丼にうどんときて、ラストはこれだ。
「東京ウインナー」である。東京という世界的な大都市がウインナーと合体。字面としても、読んだときの響きとしても、そのバランスに味わいを感じるのは私の個人的な感覚だろうか。
約50年の歴史がある、この東京ウインナー株式会社。古くから掲げられているであろう、木製の看板も味わいがある。
しかしよくよく見ると、その隣にある小さなのぼりには「近いがうまい 埼玉産」との文字が。そう、この東京ウインナーがあるのは、埼玉県川口市なのだ。
東京で創業したのち、埼玉に工場を建てて今に至るというこの東京ウインナー。会社のサイトにも東京生まれで埼玉育ちと書いてある。個人的なことながら、これは筆者と同じ。もともとのウインナー好きと合わせて、急に親近感を覚える。
直売はいつも行っているわけではなく、曜日が限られているので注意する必要がある。その分、かなりのお買い得度で私たちを迎えてくれるのだ。
自分の好物であることもあって、普段スーパーやデパートなどで売られているウインナーの相場は大体把握しているつもりだが、この直売所はさすがに安い。これもおいしそう、あれもかわいい、と思っているうちに、ずいぶんな量をカゴに入れてしまった。
ああ、もう自分の中で「東京○○」とか関係なくなっている。おいしそうなウインナーをお買い得に買える、夢のような時間。ありがとう、東京ウインナー。
あまりなじみのない「東京○○」探し。見つけたものはどれも「東京」という大都市名を冠しているだけあってか、工夫や気概を感じられるものだった。冠にするにはそれなりに気合いの入る言葉なのだと思う。
上の写真は東京ウインナーでもらった、ハムやソーセージのカレンダー。早速部屋の目につくところに貼ってみる。2011年も豊かな気持ちで過ごすことができそうだ。