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ひらめきの月曜日
 
ラジカセ改造のススメ
シェーバーで音楽する記事です


毎朝使っていたシェーバーが去年の秋に壊れて、新しいのを買った。パナソニックのやつだ。それから数ヶ月、新しいシェーバーは絶賛愛用中だ。

しかし最近になってようやく気づいた。このシェーバー、なんか変なのだ。

(text by 石川 大樹


 

変さを動画で

自分のひげそり風景を動画に撮ってみた。とりあえずこれを見てみてほしい。もし手元にあれば、ヘッドフォンをお使いください。


15秒くらいまでは普通。その先、耳を澄ませてみてください(指を添えるのはただの癖なので気にしないでください)


シェーバーが立てるジーーーというモーター音、そしてひげを剃るシャリシャリという音にくわえて、高いところで別の音が鳴ってるのがわかるだろうか。ウィヨーー↑ミーーーー↓ヨーーみたいな感じで音程がどんどん変化していく。シェーバーの音が口の中で共鳴しているのだ。

ホーミーみたいだ。ホーミーというのはモンゴルの伝統的な唱法。喉を使って、地声と同時に別の高い音を出すことができる。独りで和音が作れるのだ。(本家の音声はこちらを見てください

どおりで最近、ひげを剃るたびに悠久の大地を感じるなー、と思っていたのだ。この冬、無性に遊牧したくなるのはこのシェーバーのせいだったか。


フォルムはモンゴルっぽくない


使っているのはパナソニックのラムダッシュというシリーズで、型番でいうとES-LA54という製品。やってみたい人は同じのを買えば(買わなくても勇気さえあれば店頭でも)すぐにホーミー体験ができる。

本家ホーミーは習得にコツがいる上に、喉に負担の大きい発声法だといわれている。さらには倍音(あの高い音ね)の共鳴が脳に独特の振動を与えて寿命が縮むという噂まで、まことしやかにささやかれている。

しかし現代日本ではそういったコストやリスクを追うことなく、誰でもホーミーができる装置が売られているのだ。そのへんの電気屋で。

 

ここから蛇足です

白状すると、この記事でいいたいことはだいたい片付いてしまった。「シェーバーでホーミーができる」というコネタを紹介(というか自慢)したかっただけなのだ。

ただこれだけでおわるのもなんなので、もう少し問題を深剃りしてみよう。電動ホーミーの可能性を探ってみるのだ。


電動といえばドリル


要はモーター音なのではないか。モーター音に含まれる倍音成分が口の中で共鳴して、ああいった音響を作り出しているのだろう。別のモーター製品でもいける可能性がある。

※先に言っておくと物理のことは何も知りません。「倍音」も音楽用語として使ってるだけです。


歯医者のドリルがこんなでかいのじゃなくて本当によかった


度胸試しにはぴったりのアトラクションだ。高速回転するドリルを口の中に。限界まで奥まで突っ込んだつもりだったが、写真見たら2センチくらいしか入ってなかった。

音のほうは、ちょっとワウーワウーって言ってるんだけど、元々鳴ってる高い音がこもったりこもらなかったり(要はローパスフィルター)で音色が変わってる感じ。シェーバーのときみたいな、今までなかった音が共鳴で出てる感じではない。


これならどうか


ラジコンだ。なんかいろいろ改造を施されてはいるがラジコンとしての機能は保っている。


タイヤの継ぎ目から漏れるモーター音を狙う

形態模写「リンゴ食ってる最中に話しかけられたチンパンジー」


なんでそんなすがるような目なのか

犯人の自宅を張り込み、トランシーバーで状況を報告中、パンチラを発見「あっ」


考えようによっては音響物理に関するわりと知的な実験だと思うのだが、バカの写真集みたいになっていないだろうか。「なっていないだろうか」と思ったときはたいていなっているときだが。

面白くしようと思って顔芸やってるわけじゃなくて、音のよく響くポイントを探すため、口の形をいろいろ変えて試してるから変な顔になるのだ。この点だけ釈明しておきたい。


掃除機。妻が一人暮らしの時から使っている古株


距離の近すぎるスキンシップをするタイプの愛犬家

予定のないデートに備え掃除機を相手にキスの練習をする中学生


アゴが外れているのに珍しい昆虫がいるので目が離せないファーブル

俺のおむすびが穴の中に!


荒々しいモーター音の割には排気口からの風は思いのほかやさしくて、頬をなでるその感触は春のそよ風のようであった。たぶんパックがいっぱいなのだろう。その風は雑菌だらけだぞ。

いくつか試したが全然倍音なんて出ないし、ただの「写真でひとこと」のコーナーみたいになってきた。もうやめていいですよね…。

 

音波だ

編集部の工藤さんからタレコミが寄せられた。電動ハブラシがすごいというのだ。さっそく工藤さん指定の製品、フィリップスのソニケアを注文した。

「記事にも使えるし」という言い訳はすべての金銭感覚を麻痺させる


ソニケアのソニはソニックのソニ。音波式電動ハブラシなのだそうだ。調べてみると、シェーバーのラムダッシュの製品説明にも「音波でヒゲを起こす」みたいなことが書いてあった。電動ホーミーのポイントは音波なのだ。ただのモーター音じゃダメだった。


電動ハブラシの使い方を間違えてる人、みたいだが、音のでかい場所に口を当ててるだけなのでわざとです。(結果的に使い方が間違ってることには変わりないけど)


ちょっと!聴いた?

モーター音がシェーバーより静かなので、倍音が聞き取りやすい。ホワーンワワワワワというやさしい音。ちなみにこの音はハミガキ中にも鳴らすことが可能だ。よだれがダラダラ垂れるが。

 

 

楽器にする

いろいろ試しているうちに、面白いことに気づいた。塩ビパイプにシェーバーを入れると、いい具合に共鳴するのだ。


工作材料の残りで、自宅に各種塩ビパイプが豊富にあまっています


こうやって突っ込むと共鳴!


ホーミーみたいな連続的な変化はないものの、ミーーーーンという倍音が聞こえる。ジーーーという生のモーター音がパイプにこもるので、なおさら倍音が前に出てくる。

これをつかって楽器が作れないだろうか。僕のオリジナル楽器、ラムダッシュ管と名づけよう。


管に突っ込んだ右手にラムダッシュを持ってる。そして左手にプラスチックのコップ


上の写真の姿勢でカップを動かすと、共鳴の具合が変わって、倍音の出方も変わってくる。おもしろい。

音色の変化を追求すべくいろいろ試した結果、管を2本使う形に落ち着いた。2本の継ぎ目の部分にシェーバーが入っている。下のパイプはシェーバーの置き台(足で角度を調整できる)なので、共鳴にはあんまり関係ないかも。


楽しくてついつい長く録ってしまったので、飽きたら切り上げてください


現代音楽に、持続音の微妙な揺らぎを楽しむ「ドローンミュージック」というジャンルがあるのだけど、このラムダッシュ管もかなりいいドローンがでている。雅楽の笙にもちょっとだけ似てるかもしれない。たまにシェーバーがパイプに当たる「ガガガ」という音もいいアクセントになっているように思う。

 

以上、コネタでした

ほんとはラムダッシュを5つくらい買って、同時に鳴らせたら面白いと思うのだ。しかし一台15,000円くらいするので、おもちゃ感覚で大人買いできる値段ではない。

余談がついつい長くなってしまったけど、「ラムダッシュでホーミーができる」というコネタでした!


 
 

 

 
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