エマニエルなき国際線ターミナル
長いトンネルをくぐってやってきたのは、2010年秋に新しく開業した国際線ターミナル。0時以降の真夜中でも離発着があり、間違いなく24時間開いている。
ただ、真夜中の離発着があるとは言え便数はまだ少なく、人の姿はない。空港と言えば普段は人でごった返しているというイメージが強いので、がらんどうになっている様子はなんだか不思議に感じられた。
人のざわめきがなく、静かな空港。普段利用するときは、人波を縫うように歩いたり、早く順番が来ないかなと列に並んだりするわけだが、用もなく人のいない空港にいると、その空間の様相そのものをじっくり味わうことができる。
色の基調は白と青系とでさわやかな組み合わせ。主に直線で構成されているところに、屋根の膨らんだ曲線が組み合わせられているのも面白い。
ときどきいる人影として目についたのは警察官の姿。真夜中でも結構な人数が警備に当たっていて、さすがにここは国際空港なんだなと思わされた。
ただ、一般の人が全くいないというわけではない。
そこかしこにある椅子には寝てる人の姿が。腕を組んでコクリコクリ、というのでなく、思いっきり横になって寝ている。
時間は真夜中、公共の交通機関はほぼ止まっているので、こうして次の動きが取れるまで待っているのだろう。外は寒かったが、中にいる限りはほどほどに空調も効いていて、それなりに快適に過ごせるんじゃないかと思う。
さて、旅行以外の目的で空港に来て、行きたくなるところの一つは展望デッキ。ここ国際線の展望デッキは24時間開放されているので行ってみよう。
デッキには珍しく寝ていない人の姿があった。すごい長さのレンズをつけたカメラを持っている。航空ファンなのだろう、深夜の発着便をじっくり撮影しているようだった。きっととても楽しいひとときなのだろうと思う。
ただ私の場合、飛行機は普通にかっこいいなくらいには思うが、どちらかというと寒風がつらいという方向に気持ちをもっていかれがち。様子がわかったところですばやく屋内に戻りたい。
展望デッキのある5階は、さまざまなお店が並ぶゾーンもあるのだが、すでに店舗は閉まっていて、こちらもシーンとしている。閉店時刻を過ぎたショッピングモールに取り残されてしまったようにも感じられて、なんだか少々落ち着かない。
それでも、右の写真に脚が見えるように、ここでも寝ている人を発見。なんだかほっとさせられる。
きっと日中はにぎやかであろうこのゾーン。すでに店は閉まっていても、どんな物が売られているかはガラス越しに見ることができる。
写真の店はちょっと気の利いたおみやげなどを取り扱っているようで、羽田空港限定のガチャガチャがあった。外国人向けでもあるのか、いかにも日本といったモチーフが並ぶ中、気になったのはすき焼きのフィギュア。
これ、外国人的には大受けだったりするのだろうか。日本人である自分も欲しくなったが、残念ながら深夜なのでやってみることができない。
ひっそりと静まりかえる中、ひとつだけまだ開いている店があった。「R BURBER」というハンバーガーのお店だ。ちょうど小腹が空いてきたところだ、入ってみよう。