デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ひらめきの月曜日
 
デパ地下未体験フード限定ショッピング


 

大体どこでも食品売場になっているデパートの地下。大抵混雑していて、身近にある人気スポットの一つだと思う。

その理由はやはり、普通のスーパーにはない食品がいろいろと並んでいることだろう。確かにちょっとうろうろしただけでも、気になる食べ物が次々と目に入る。

ただ、食べたことがないので本当に気に入るかわからない不安もある。値段の高さもあって、買うまでは至らないことも多いだろう。

そんなモヤモヤが心に残りがちなデパ地下。ならば逆に「食べたことのないものだけしか買ってはいけない」というルールにして訪れてみてはどうだろうか。実際にやってみた。

小野法師丸



気になるあいつに今日こそ手を伸ばせ

食べてみたいなと思いつつも、実際に買うまではいかないものであふれている身近なワクワクゾーン、デパ地下。気になるものがありつつも、いつもの手堅いお気に入り品だけ買って帰ることも多い。

今回はその心残りを解消すべく、未体験フードに限って買っていいというルールでデパ地下にやってきたわけだ。


父だけ妙にりりしく写った写真
目指すは地下の食品フロア

今回の試み、一人でやるより複数で行った方が盛り上がるだろうと思い、実家に帰った機会に両親にも声をかけて一緒にやってきた。特に母の方は「デパ地下行くの!?」と、デパ地下に行くというだけで気分が高揚 。

わかる、その気持ち。私も普段は手を伸ばせない食べ物を買えるということで楽しみだ。


デパ地下特有のワクワク感

天井の低さ、明るさやや控えめの照明。スーパーとは異なるそういうディティールが、デパ地下っぽい雰囲気を演出するのだろう。スーパーのように売れ筋がドカッと並ぶのではなく、棚に一列ずつ 違う商品が並んでいるのもデパ地下らしい。

さあ、未体験フード限定ショッピングというテーマで気になる商品を探してみよう。


父「エスカルゴ食ってみたいんだけど、ダメ?」
個人的にはこれが気になったんだけどなあ

今回は未体験という部分を厳密にし、参加者全員が食べたことのないものだけに限定、というルールで実施。これによって、予想していた以上に商品選びが難航した。

これはどうかな…と手に取ると、誰かが「あ、それ食べたことある」と言い出すものが多かったのだ。上の写真の「抹茶ミルクジャム」は私が選ぼうとしたのだが、母が「それ、橋本さんちで食べたことある!」とのこと。

父はエスカルゴを食べたそうに手にしていたが、それは私がサイゼリヤで食べたことがある。意外といろいろ食べているものなのだ。


未知なる物にあふれたテーブルの上

時間は思った以上にかかったが、「誰かのおみやげで職場のテーブルに乗ってた」とか「道の駅の試食で食べた」などと言い合いながら買い物をするのはなかなか楽しい。

泣く泣く選べなかったものもありつつ、それぞれが気になった物を買って家に帰ってきた。さっそく実食に入ろう。


名前からして確かに気になる
こりゃうまいに決まってるだろ

まずは母セレクトから紹介しよう。一品目は「生姜ぬれふりかけ」なる瓶詰め。「ぬれふりかけ」という部分の語感がなんとも言えない手触りで気持ちにじわっと来る。

実態は、みじん切りの生姜とかつお節が甘じょっぱい汁に漬かっている物、と言えばよいだろうか。不思議なことに生姜の辛さは影を潜め、それほど刺激もなく食べやすい味。

ほぼイメージ通りのおいしさと言っていいだろう。ふりかけと名乗っているだけあって、ご飯との相性は素晴らしい。


微妙に謎の漂うパン
盲点を突かれたような未体験フード

こちらも母がベーカリーコーナーから選んできたもの。「中華パン」なるものらしい。

微妙なところを突かれた感のあるパン。「中華まん」や「中華丼」など、中華と冠した食べ物はいろいろあるが、確かに中華パンは食べたことがない。説明のプレートには、肉まんの具を入れたパンを春巻きの皮でくるんで作ったと書いてある。

食べた感想は、「そういう風に作ったら、こういう感じになるよね」というもの。食べたことがないのに特に新鮮な感じはないのが 、逆に意表を突かれたようにも思える。


意外と全員食べたことなかった
中まで真っ黒け

選ぼうとしても誰かしら食べた経験のあるものが多かった今回の買い物だが、逆に食べたことがありそうでないというものもあった。同じく母チョイスの竹炭饅頭がそうだ。

旅行先の土産物屋などで似たようなものを何度も見た気はするが、全員未食。逆に意外。

切ってみると中まで黒く、ここまで真っ黒な食べ物というのもあまりないな、という印象。中身の黒さはゴマ餡によるもののようだ。炭っぽい味はなく、ゴマのねっとりとした味わいが見た目より安心感のあるものだった。


読み方すらおぼつかないパッケージ
説明を聞いても今ひとつイメージしづらい

あまり買い物に興味のない父が選んだのは一品。「節香蓮(ふしこうれん)」なるものだ。アルミパックにシールを貼っただけというパッケージがマイナー食品ならではの魅力を放つ。

説明によると、レンコンの節の部分を乾燥させて粉末にしたものであるようだ。具体的にどういう食品なのか、説明を聞いてもよくわからない。


言われるままにしてみた
「エスカルゴってどんな味なの?」

食品表示の名称欄には「粉末飲料」とあるように、基本的にはお湯で溶いて飲むものらしい。今回はパッケージの説明にあるように、醤油を加えて飲んでみよう。

…うーん。おいしいかおいしくないかと聞かれたら、明確においしい方に分類される味。ただ、似た味の他の物が全く思い浮かばず、説明しようとすると言葉に窮する。独特のコクのようなものがいい味を出しているのだ。

父は「うん、なかなかおいしいねえ。ところでエスカルゴってうまいの?」と、未だエスカルゴのことを引きずっている様子。その気持ちはよくわかる、私もまだ抹茶ミルクジャムのことが心残りだからだ。


商品名が気になった
ゲイシャって、あの芸者か

続いては私が選んだもの。「Geisha」と書かれたチョコレートのお菓子。ゲイシャ、つまりは芸者というわけだ。

どうやらフィンランド製であるらしい。売り場の説明書きによると、かの地において芸者とは美貌と教養を備えた日本文化として捉えられているとのこと。そのイメージをこのチョコに重ねてネーミングしたようだ。


中に入ってるのはヘーゼルナッツ

個人的な評価だが、日本のチョコはスーパーで特売になっているようなものでも相当おいしくて、かなりレベルが高いと思っている。外国のチョコはなんとなく独特の風合いがあって、食べ慣れないこともあるのかそれほどおいしく感じないことも多い。

しかし食べてみたところ、参加者全員かなりの高評価。なめらかで甘すぎず、さらにはチョコとの組み合わせとして間違いのないナッツの歯ごたえと風味もいい。人気を集めてどんどん数が減っていった。


デザート系にも見えるこの色合い

もう一つ、私が選んだのはこのサンドイッチ。デパ地下内にあったサンドイッチの専門店で見つけたものだ。びっしりと詰まったオレンジ色がまぶしい。


見た人が引くことを先読みした売り文句
すごい密度で迫ってくる

このサンドイッチ、商品名は「にんじんサラダ」というもの。いろんな具材が挟まるラインナップが並ぶ中、シンプルにニンジンしか入っていないというのが意外。

参加者全員で順番に食べてみる。ショリ、ショリ…という音とともに、しばらく無言。

言葉にならないのは、おいしくないからというわけではない。評価を定めるのに少し時間がかかる、と言えばいいだろうか。刺身のつまが入ったサンドイッチ、と書くとあんまりおいしくなさそうに響くかもしれないが、そんなことはない。噛むほどにニンジンの味が出てくる。パンとの食感の対比も面白い。


一番人気だったスープ

どれも基本的においしいものばかりだったのだが、中でも最も好評だったのがこのスープ。撮影係として参加した妻が、「私も買いたい」と選んだものだ。


「幻のスープ」という部分が気になったらしい
飲んだ瞬間、目がパチッと開いた

志摩観光ホテル製の「ゆりねのクリームスープ」。小さな缶で840円もする高級品だ。

それだけの価格を裏切ることなく、ものすごくおいしい。基本的にはクリームポタージュの味なのだが、コクの深さが普通じゃない。最初に飲んだ母は、「これおいしい!これ、おいしいよ!」と興奮しながらみんなに勧めてきた。

とてもおいしいということと合わせて、全員共通で挙げた感想は「百合根って言われてもよくわかんないね」というもの。まあこれは私たちの舌の肥え具合が足りないのだと思う。

そういうわけで、「材料のことはともかく、とびきりおいしいスープ」という評価。4人で分けたのでちょっとずつになってしまい、おいしかった分だけひもじい切なさも漂った。

妻チョイスのこれもうまかった

デパ地下で気になっていた未体験フードは、どれもおいしいものばかりだった。やはりデパートだけあって、それを売っているという時点でプロのおいしさフィルターを通過してきたものなのだと思う。

ちょっとぜいたくをしたような楽しさもありつつ、みんな遠慮してなのか、あまり高い物を選ばなかったのが慎ましい。そして今度父をサイゼリヤに連れて行って、エスカルゴを注文したいと思う。


 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.