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ちしきの金曜日
 
メンチカツ地質調査


これが全部肉の重なりだったら…ゴクリ。

以前にもかき揚げだったり天かすだったりと揚げ物系記事を書きましたが、それら天ぷら系と対をなす揚げ物といえばフライ系!ザ・フライと言うと別のものになるアイツ、それ一択!それもトンカツとかエビフライ、コロッケに比べると日陰物、しかし実力者の顔をしたアレが好きだ。それはメンチカツ!以前からその比較をやってみたかったのだけど、普通にやってもなあ…メンチカツの構成とかみっちり感を図式化出来ないだろうか。あの理科の時間に見たアレみたいな感じで。

大坪ケムタ



あの肉の感じを図式化するならば…

トンカツとかエビフライは具材がドスン、と詰まってるけども、挽肉どっさりのメンチカツってどこか「土」っぽい。もちろん味がじゃないですよ!こまかくぎっしり層になってる所が、てことです。ならばメンチカツの違いを表現するために「地質図」を利用してみてはどうだろう。ということで本を借りてきました。


とりあえずこういうので勉強してみる。

そうそう、こういうヤツね。
そうか、こんなにアイテムが必要…ここはいらない。

学生時代は理科系がもっとも苦手だっただけに、今読んでも「うわ〜興味もてねえ」って感じだなあ…。しかしその表層だけでも、ととりあえず読んでみる。肉を記す際にぴったりの地質の描き方…そんなのねえよ。

ともかくふんわりと描き方はわかった!とりあえずメンチカツを買いに行こう、書けばわかるさ。ということでまずは「東京都内で一番行列が出来る」というメンチカツを求めて、東京一住みたい街ベストワンでおなじみの吉祥寺へ。


目指すは矢印の店、でも開店20分でこの行列。うひー。
順番待ちカードを持って並ぶ。30人強。

それから30分後、やっと店先が撮れる距離に。

行列が出来るメンチカツで有名な「吉祥寺さとう」。実際来てみるとすごいですねえ、平日朝11時過ぎというのに。売り場まで来ると10個15個という数を買ってく。すげえなあ…。たしかに「せっかくだから」ヴァイヴに押されていっぱい買いたくなるけども、自分は昼用と夜用で6個。

あまりの匂いについ途中で覗いてしまう。
うひょー、ほっかほかじゃー。曇る!

うおお、待った甲斐はあるぞ、こりゃ。紙袋から立ち上る香りをふんふんかぎながら電車で帰ってさっそく入刀!そして食う!…前に、断面図を見ながら地質図を書くまではおあずけです。

帰ってきてざくり。見えないけど湯気がほわーん。

切断面をひたすら見つめて書く。

うーん、あらためて書くと難しいな。。
うーん、うまくいかん…。

もともと絵は下手&地学嫌いなんだよ!さらに自分でも途中で何を書いているかわからなくなる…。いくつか書いてみて、地質図「風」に完成したのがこちら。

 

吉祥寺・さとう メンチカツ


切断面をじっと観察した上での調査結果。

さとうのメンチカツ、その特徴は野球のボールのようなまん丸さ、そして土に埋まった恐竜の化石のようにゴロゴロと転がっているたまねぎ。さらにあらためて書いてみると気づくのが「つなぎとフライが混ざって美味しそう部」。ここがいい色加減なんですよ!わざわざ別ゾーンにしたくなるくらい。

って説明より実際見たいですよね、メンチカツ?ということで実物はこちら。


肉みっちり、そしてフライ際の黄色い所がいい。

先の地質図で「肉の流れ」みたいなのも気にして書いてるのも見比べていただければ。あれ、でも写真見せてしまえば地質図いらないんじゃ…。気にせず他のも書いてみよう!地質調査続行!

 

地質図というよりは鞭毛虫みたいになってきた

次は全国でおなじみのお総菜コーナーといえば、のこちら。


ごぞんじ西友。自分の記事で5,6回出てる気がする。
そこの「キャベツメンチカツ」。安い!

 

西友 キャベツメンチカツ


教科書体って雰囲気が締まるからいいですね。絵は下手でも。

先のメンチカツに比べるとシンプル、ただし名前どおりのキャベツがやはり随所に。ただ肉とキャベツの色が似てるので正確かどうかは自分でも自信がない。それより問題は、自分で書いておいてどうかと思うが、メンチカツの絵が地質図というよりミドリムシに近く見えてきたことだ。自分でも。実物はこちら。

ミドリムシでもミトコンドリアでもなく美味しいメンチカツ。


同じ理科でも生物より地学っぽく書きたいのに…。あらためて自らの画力の限界にくずおれながらもまだメンチカツ書きますよ!続いては近所の肉屋さんで買った地元系メンチカツです。


ミート系いっぱいの高円寺・亀屋。
見た目はそんな変わらないメンチカツ。

 

高円寺・亀屋 メンチカツ


それをひたすら見つめて書く。

特筆すべきはフライの部分と混ざって美味しそう部の薄さ!そして肉のラインの美しさ。地質図ではそこを強調したつもりだけど…わかりづらいですね。

肉の重層がどこかミルフィーユみたい。

さとうのゴツゴツ感とは対極ともいえる切断面の美しさ!あらためてメンチカツの「美」における幅広さを感じさせます。もちろん味も文句ないです。

さて4つ目のメンチカツ、これは先に地質図を見てもらってどんなカツか想像してもらいましょうか。ヒントはこれまでとはちょっと違う土、いや部位の登場と、微妙な曖昧さがプラスされた部位。

 

クイズです


気になるのは「卵部」の登場。

つなぎの卵が多すぎたのか、そして「美味しそう?部」とは何か…。なぜハテナなのか?そんな謎まみれのこのメンチカツの正体とは!実物はこうでした。

すでにソースかかり済み。さらに卵は…卵とじ?


さらにひくとこちら。チーズもとろり。
チェーン店「かつや」のデミたまチーズメンチカツ丼でした。

既にソースやら卵やらチーズやらがかかってるので、判別不能なのをムリヤリ書くとこういう感じに。デミグラソースがいい溶け具合で美味かったですけど。そう、美味ければいいのだ。身も蓋もない感想。

以上、地質図を書くという目的でまじまじとメンチカツを見まくりましたが、あらためてメンチカツってジューシー加減が素晴らしいですね。トンカツやエビフライの切断面ではこうもニヤニヤ出来ないはず。ずっと見つめていたい揚げ物、それこそが、メンチカツかもしれない…。


箸で切ってこそ華、それがメンチカツ。

途中からデジカメの写真見て書いてました。

素材よりアイデアの揚げ物が好きだ

ちなみに地質図は「たまたま切った切断面」を書いたものであって、そのメンチカツにおけるタマネギや肉質の全体を示すものではないのでご理解くださいませ。

しかし自分はかき揚げやメンチカツといった「混ぜ物系揚げ物」にグッと来るのは何なんだろなー。チープな中のアイデア感が好きなのだろうか。戦後闇市から誕生!みたいなエピソードが匂ってきそうな。


 
 

 

 
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