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はっけんの水曜日
 
バレンタインデーは肉と酒を贈る日にしよう


「いろんな想い、届けます」というコピーが。あまり届けられた覚えはない。

2/14、バレンタインデー。日本では女性が男性に愛情を込めてチョコレートを贈ることわりになっている。僕にはあまり縁のない日なので毎年苦々しく思っていたのだが、スーパーなどに行くとどうしても目に入ってくるのはチョコレート推しの商品陳列。

僕以外の男へ贈られるチョコになぞ興味はないわ!とささくれながら買い物をしていると、ちょっと面白い光景に出会った。

今回は大体そんな話です。

松本 圭司)



全面的にチョコなエンド陳列。この時期特有ですね。

ふつう、バレンタインデーのスーパーはこんなイメージだ

2月のスーパーといえばチョコだ。とにかくチョコ推し。エンド陳列(商品棚の両側の部分)には何段もチョコが積まれているのが普通だ。

規模の大きいところに行くと、神殿か何かの様な有様になっている事もある。下の写真はイトーヨーカドーで、meiji神殿が建設されていた。色もピンクで大変に可愛らしい。

可愛らしいのだけど、正直チョコには全然興味がないのだ。僕は。


予想を超えるチョコ神殿。
なんでこういう形になったのだろうか。何を象徴してるのだろうか。

 

100g158円のランプ肉。買ったよ!

一方その頃、肉売り場では

妻はチョコが大好きなのでたまにチョコを買って帰るが、僕はあまりチョコに興味がない。この日はまずベルクというスーパーで普通に買い物をしていた。そうそう、チョコより肉だよねー、なんて思いながら肉売り場に行くと、ご覧の有様だった。

なんと、肉がハート型のパックに入っているのだ。

どうしちゃったんだ、ヘヘイベルクー。牛のランプ肉がハートのパックに入って売られていた。しかも結構安い。100g158円だ。

でもって今度はイトーヨーカドーに行ったら牛ヒレ肉が同じようにハート型のパックに入っていた。こちらは大分高くて100g498円。

そのヒレ肉の隣には成形肉が並んでいて、こちらは3枚270円。安いし、なんとハート型に成形されていた。

ご覧のように、バレンタインデーに肉の波が押し寄せていたのだ!


100g498円とやや高めのヒレ肉。パックは可愛いけど買えない。
こっちはヒレ肉と並んでた成形肉。3枚入りで270円。安い。

ポップもバレンタイン仕様で、2/14までのセールとお知らせ。
しかしこれは普通のパックに入っていた。

バレンタイン全然関係無い。

ポップ以外、バレンタインと無関係なのがすごい

ハート型パックに入った肉も驚いたのだが、先に進んで更に驚いた。ステーキ肉が売られていて、100g250円というポップがあった。ポップには「バレンタイン宣言」と書かれていて、2/14までのセールだと書かれていた。でも、そこで売られていた肉は普通の肉でハート型のパックに入ってたりはしないのだ。

バレンタイン関係無い。

その向かいでは加工肉が売られていて、「おうちでバレンタイン」とか「バレンタインフェア」とか書かれていた。でも売られているのはソーセージやハム、フライドチキンなどでそこにバレンタインっぽさは無い

どさくさ紛れである。

「おうちでバレンタイン」というコピーも意味がわからなくて良い。バレンタインとは、どこかでやるクリスマスパーティーの様なイベントだったのだろうか。僕は体育館の裏とか伝説の木の下とか給湯室とか、そういうところで、わりと瞬間的に行われるイベントなのかと思っていた。

 

鮮魚とバレンタインという遠さをものともしない強引さ。

鮮魚コーナーもまさかのバレンタイン推し

イトーヨーカドーは鮮魚コーナーもバレンタインだった。もうお馴染みのハート型パックで売られていたのは、なんと「バレンタインサラダ」。1パック550円で、2パック買うと1000円になる。

内容はレタス、玉子焼き、サーモン、まぐろ、玉葱など。いわゆる海鮮サラダで、柚子味のドレッシングが入っていた。思わず買ってしまったのだが、550円ってよく考えたらちょっと高い。

思わず買った時点で負けているが、バレンタイン商法侮れない。


しばらく見てたけど買ってるのは僕だけだったよ。
干物コーナーまでピンクで何事かと思ったけどたまたまだったらしい。

なんでもハート型パックに入れればいいと思ってないか。

いちごもハート型パックに入っている

青果はどうかと見てみると、イチゴがハート型パックに入っていた。イチゴにチョコをコーティングするというお手軽手作りチョコがあるのでこの時期イチゴが売れるのだろう。

にしても、なんでもハート型パックに入れすぎだ。今年このハート型パックどれくらい売れたのだろう。


ディズニー、チョコ、パンという鉄板の構成。

山崎パンよ、おまえもか

パンコーナーもバレンタイン風味だった。山崎パンのチョコ&オレンジデニッシュはディズニーのキャラクターが印刷されてハートにチョコでハートマークでバレンタイン風味。

他にもショコラロール、ホワイトチョコクグロフ、とろーりチョコパンなどチョコを全力推し。

勢いに負けて2種類買いました。バレンタイン効果恐るべし。

 

酒までバレンタインに乗じて売ろうとは。

酒もバレンタイン仕様

今度は酒だ。OKストアの酒コーナーがバレンタイン仕様になっていた。主にワインだが、ちょっと可愛いラッピングまでされているのだ。

甘いものが嫌いという男性も多いけど、そういう人は酒好きだったりするので理にかなっている。

僕もその口なのでチリワインを1本買った。


こんなファンシーな酒売り場はそうそう見られない。
この素材集感たっぷりのポップがまた良いじゃないか。

せんべい業界もバレンタインに進出。「友せん」て。

せんべいとかもう意味がわからない

ここまで見てきた中でもよく判らない売り方があったが、せんべいについては更に意味がわからなかった。

「お友達におせんべいを!」と、「友せん」を推すのだ。「愛情を込めて」という部分がハードルが高いのか最近は「友チョコ」として友達にチョコを贈らせようという風潮があるのらしい。同じように、ここでは友達にせんべいを贈れと言っているのだ。

たしかに僕はせんべいを貰えたら嬉しい。でも、「友せん」は一つもバレンタインじゃない。愛の告白でもなければチョコでもない(チョコにしても何か根拠がある訳じゃないけどさ)。

この荒唐無稽さというか、どさくさ紛れ感はちょっとすごい。物を買わせる方法として「人に贈らせろ」というのがあるが、まさにそれをそのまま何のひねりもなくやるとこうなるという例だろう。

 

色々買ってきた

肉や魚、イチゴに酒、パン、せんべい。色んな業界がバレンタインに乗じようとしていると判っていただけただろうか。きっとみんな「チョコ屋はずるいなぁ・・・」なんて思っていたのだろう。

今回はそんな各業界の怨嗟の声に感動したのでそれらを買ってきました。


なんか全体的に赤い。

 

特に肉がハート型になっているわけでもない。パックだけだ。

見れば見るほどどうしたもんかと思う

こうして並べてみると、なんだか全体的に赤いことに気付く。ハートマークの形は心臓を、色は血液を象徴している。肉の赤はそういった意味で非常にバレンタインっぽいとも言える。バレンタイン本来の赤さは肉の赤さなのだ。

バレンタインサラダはサーモンや鮪など赤い魚を使っている辺り気を遣っているのだろう。サーモンは実は白身魚なんだけども。

ワインも、説明書きを読むと「プラムやチョコレートの様なまろやかでやさしい味わい」と書かれていた。実はチョコに引っかけてあったあたり芸が細かい。


どうしてこれがバレンタインなのかはさっぱり判らない。
チョコ&オレンジデニッシュはすごく美味しかったので普段も買いたい。

牛すじはバレンタインワインで煮込むかな。

これらでバレンタインディナーをこさえようと思うのだ

これらを並べておしまい、ってのも何なのでなにか料理を作ってみようと思う。といっても肉とかは単に焼くだけですが。

クックパッドとかは一切見ないで、適当にレッツクッキン!

 

すじ肉をワインで煮込めばいいのだろうか。

ワイン煮とハート焼き

バレンタインワインは牛すじ肉を煮込むのに使った。いわゆるワイン煮というやつだが、レシピについてはよくわからないし調べる気もなかったので、水とワインと牛すじを鍋に入れて単に煮た。味付けは塩胡椒と旨味調味料。旨味調味料を入れれば大抵うまくなるので大丈夫だろう。

ハートパックに入ったバレンタイン肉は、焼いていたらハート型になった。2枚あるうちの1枚だけがハート型になったので偶然だろう。ハート型の方は妻にあげた。

なんでかというと、肉の厚みが違ってて、ハート型の方は薄かったのだ。僕は厚くてハート型じゃない方をいただいた。


バレンタイン肉、美味しそう。
焼いたらなぜかハート型に。なんにせよ、うまそう

 

じゃーん、完成 バレンタインディナーだ!

最近ルクルーゼという鍋を使っているが、これが短時間でなんでも柔らかく煮込めてしまって重宝している。牛すじ肉もあっという間に柔らかくなって、バレンタインディナーが出来上がった。

以下、お昼休みにコンビニ弁当を食べながら読んでる読者をうらやましがらせるコーナーです。


この中で一番高いのは右上のバレンタインサラダ(550円)。

バレンタインステーキ!ソースはフライパンの焦げをバレンタインワインで浮かせた物でございます。酸っぱくて美味しいよ。

適度に赤さを残しました。肉は半生が美味しいですよね。

バレンタインサラダは、寿司屋の賄いみたいな見た目。大体想像通りの味です。

牛すじのバレンタインワイン煮。適当に作ったわりにちゃんと美味しい。誰が偉かったかって言うと、ルクルーゼが偉かったのだ。

うまい!申し訳無いくらいうまい。でもこれはバレンタインではない。

チョコよりもこっちの方がいい

バレンタインステーキは肉の旨味たっぷり、ワインソースとの相性もよくうまかった。

バレンタインサラダは適当な味で美味かった。

牛すじ肉のバレンタインワイン煮はプルプルトロトロで美味かった。

バレンタインワイン自体も良い香りに程よい酸味で美味かった。

つまり、全体として美味しかったし、チョコよりも僕は断然こういうのが好きだし嬉しい。でも肉にしろバレンタインサラダにしろ、そこにバレンタインっぽさは感じられないような気がする。なぜだろう。

ハートのパックに入れればバレンタインっぽいのか?

さて、スーパーでバレンタインに対する浮かれっぷりを鑑賞し、それらを買ってバレンタインディナーを作った食べた。ここで終わってもいいのだが、ついでなのでもう一展開。

肉やサラダをハート型のパックに入れるとバレンタインになるなら、海苔弁を入れてみたらどうだろう。海苔弁もバレンタインっぽくなるのだろうか。

ちょうど山に行く予定があったので、海苔弁を作って山に持って行ってみました。


パックに残るシールの剥がし跡。どうしても剥がれなかったのだけど、剥がし跡のせいで非常なゴミっぽさを醸してます。

蓋に海苔がつくダメっぽさ。

これはちがうね

ハート型のパックは、ザックの中でちょっと潰れていたし、蓋を開けたら蓋に海苔がついていたし、朝慌てて作ったからなんか色々雑だし、一つもバレンタインを感じられなかった。

思うに、バレンタイン感というのは、それを作った人の愛情や気持ちから生まれるのだ。山登りの朝にあわてて作った海苔弁をハート型の容器に入れたからってバレンタイン感が出るはずもない。そこに愛情はないのだから。

でも、海苔弁自体はバレンタイン関係無く美味でした。美味ければなんでもいいか(ひどい結論)。


どう見てもこれはバレンタインではない。
味としては美味しかったけどさ。お腹減ってたから。

凍った滝の前で食べました。 

来年からはバレンタインには肉と酒を

以上の様に、バレンタインデーはもうチョコレート業界だけのブルーオーシャンではなく、肉、鮮魚、せんべい、青果、酒、パンなどあらゆる業界が参入しているレッドオーシャンなのだ。

来年はスナック菓子やラーメン、揚げ物などの業界もバレンタイン戦争に加わると面白いと思うので今後も注目していきたいと思います。僕個人としてはバレンタインコロッケとか食べたいな。チョコとか入れなくていいですから。


 
 

 

 
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