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土曜ワイド工場
 
麦茶のポテンシャルを限界まで試す


赤い矢印部分だけが麦茶

近年、手軽に飲めるペットボトル入りの緑茶やウーロン茶などの出現で、麦茶の「身近な飲み物」としてのポジションが、相対的に落ちてきている感じは否めない。

コンビニの売り場を見てみても麦茶はかなり肩身の狭い状態だ。

しかし、麦茶ってそんなに出来ない子だったかなぁ。 いや、もっと出来る子のはずだ。

麦茶のポテンシャルを最大限に引き出してやりたいと思う。

西村まさゆき



ところで、麦茶ってなんだろう

麦茶の潜在性を引き出すにあたり、まず麦茶について考えてみた。 ウィキペディアによると、麦茶は茶葉を使用しないので厳密に言えば「お茶」ではないらしい。さらに麦茶は、カフェインを含まないため、妊婦や幼児の飲み物として最適なのだという。

自らを「お茶」と偽る欺瞞の裏には、妊婦や幼児への優しさが隠されいたのだ。たぶんこの原稿を書くのが1ヶ月ぐらい早ければ伊達直人に例えてたはずだ。

欺瞞に満ちた優しい飲み物・麦茶。あれ、なんかちょっとカッコイイ。

びんぼうくささ

いやいや、しかしながら、麦茶の生活臭は凄まじいものがある。いくら欺瞞とかさからしげな言葉を並べ立てて語ったとしても、麦茶からにじみ出るびんぼうくささは隠しきれない。

そんな麦茶をもうちょっとおしゃれにしてやることは出来ないだろうか?

 

実はおしゃれなあいつに似ているのでは?

ところで、ぼくはコーヒーがあまり好きではない。飲めないこともないのだけど、自ら進んで飲むことはあまりない。昨年、コーヒーを飲んだのは2、3回しかない。

代わりに麦茶は浴びるほど飲んだ。 飲んでいて気づいたのだけど、麦茶の匂がコーヒーの匂いに似ているということだ。 味も、数少ないコーヒー体験の記憶に照らし合わせれば、似ているような気がする。 コーヒーも麦茶も同じように焙煎して作るわけだから、味が似ていてもおかしくはないはず。

麦茶は濃く煮出せばコーヒーにそっくりになるのではないだろうか? あの、びんぼうくさい麦茶を、コーヒーそっくりに濃く煮出せば、もうすこしおしゃれでカッコイイ飲み物としてF1層あたりに人気がでてくるのではないだろうか?

 

麦茶コーヒー作ります

麦茶コーヒー(濃く煮出した麦茶)を作るための材料を買いに、スーパーに向かった。

冬場は肩身が狭い麦茶コーナー…

しかし、コーヒーに近い麦茶はどんなものなのか、皆目見当がつかない。 扱いやすいティーパックの麦茶でつくろうかと思ったのだが、せっかくなので、見た目で一番色が濃かった「はだか麦 麦茶」を買った。よく分からないけど、400円ぐらいしたのでたぶん本格的だ。

視力が悪ければコーヒー豆に見えるかもしれない。

しかし、コーヒー味に一番近い麦茶の濃度っていくらぐらいだろう? 歴史上、そんなことを考えて麦茶を煮出したのは数えるほどしかいないと思う。 この「はだか麦」は1リットル約30グラムで煮出すべしと書いてある。

3倍ぐらいでコーヒーみたいになるんじゃねーの?

まったくの勘で、とりあえず3倍の90グラムぐらいで煮出してみることにした。

 

暗中模索の中、予想以上の出来ばえに震える

やかんに麦茶投入

沸騰したお湯に、麦茶をザラザラーと一気に投入。

麦茶を煮出す
だんだん泡が出てきた!

しばらくすると、あたり一面に香ばしい匂いが立ち込めてきた。 これが、驚くことにコーヒーの匂いそのままなのだ。 言葉でどう上手く伝えたらいいのか、悩むところなのだけど、コーヒーを売ってる店でコーヒーを淹れて貰う時の匂い、そう、その時の匂い。要するに、ほぼコーヒーの匂い。

予想以上の出来ばえ(匂いは)に、ぼくは勝利を確信したのだけども、横で見ていた妻(わりとコーヒー好き)は「麦茶の匂いしかしない」といってきかない。洒落っ気のないやつだ。今に完成させたら飲ませてギャフンと言わせてやる。

吹きこぼれた!

そうこうしているうち、やかんの麦茶が吹きこぼれてしまった。吹きこぼれた汁を見てみると、どうだろう。まさにコーヒーの色。これ、コーヒーだわ! もしかして、これはスゴイ物発明しちゃったんじゃなかろうか? カフェインを含まないコーヒー。麦茶コーヒー。 世の中にあまたある代用コーヒーの頂点を極めることができるかもしれない。まだ味見してないけど。

 

味見で確信が自信へ

匂いと色は完璧なコーヒーとなった麦茶コーヒー。味は一体どうなのか?

色と匂いは完璧にコーヒー。
ズズ……。
あ、コーヒーだ。

あ、コーヒーだこれ。 少なくともぼくの舌ではコーヒーと見分けがつかない。横山光輝三国志の登場人物の顔ぐらい見分けがつかない。かなりいける。 さきほどから、このぼくの発明した麦茶コーヒーの匂いを「濃い麦茶の匂い」といってきかない妻に少し味見させてみた。

終始批判的な態度で味見をする

妻は微妙な顔で「濃い麦茶だとは思うけど、コーヒーとは全然違う」という。 んもう。こいつ、わかってない。コーヒーだと思って飲んでみ? と、もう一度味見させてみると「確かに似てるけど、濃い麦茶だ。コーヒーとは違う」と一歩も譲らない。

わかった、では出るところに出て白黒つけようじゃないか。


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