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ちしきの金曜日
 
「ういろう」は全国的なものだった


ういろう食べながら原稿書いています。

みなさんは「ういろう」のことをどのくらいご存知だろうか。

愛知で生まれ育った人間にとって特別な食べ物である「ういろう」。かくいうわたしも子供の頃から食べて育ってきたわけだけれど、改めて考えてみるとういろうについて詳しいことを何も知らないのだ。

今思えばあのなんだかわからない食べ物はなんだったのだろうか。

安藤 昌教



再会はなぜか宮崎土産

あたかも「ういろう」を懐かしんで探し求めたかのような書き出しだが、正直僕は高校を卒業して愛知を出てからというもの、その存在すら忘れていた。

それが先日、たまたま訪れた新宿にある宮崎物産館で見つけて思い出したのだ、ういろうを。


たまたま訪れた、と金柑の「たまたま」がかかっているのは内緒。

宮崎館、まじおすすめ

ういろうの前に紹介したいのだけれど、ここ新宿の宮崎館では宮崎の名産品を使った食事も食べられるのだ、しかも安い。


釜揚げしらす丼定食(600円)。

どれを食べても驚くほどうまいので絶対行ったほうがいい。宮崎と新宿とを比べて近いほうに、今すぐ行ったほうがいい。

そんな宮崎物産館に、ういろうが売られている。


はじめは目を疑った。

三松のういろう。箱が南国風の鮮やかな色使いでおしゃれだ。名古屋のういろうはもっと土みたいな畑みたいな色使いだった。

ういろうといえば、僕は愛知にしかない不思議たべものだと思っていた(名古屋の人って自分たちがへんなもの食べてるってちゃんと自覚があるんですよ、やめないだけで)。

いちおう説明しておくと、ういろうというのは米の粉と砂糖を練って蒸したお菓子で、その独特の美味しさと、ベトベト加減、未完成っぽさなどがうけて愛知では贈答品として重宝されているものだ。

宮崎にもあったんだ。


しっかりと「ういろう」と書かれている。

品名も「ういろう」。原材料は米粉と砂糖のみ。ういろうだ、ほんとうにういろうなんだ!

しかも全国にあるらしい

ここ宮崎館でういろうを見つけて以来、まさかと思って調べてみたら驚いた。

全国各地にあるのだ、ういろうって。

しかもそのまま「ういろう」という名前で売られているらしい。AKBが流行ったからうちはSKE、みたいな話ではなく、いろんなところにいろんな「ういろう」があるのだ。

人気なのか?ほんとうに?あんな材料みたいな食べ物が?


宮崎のういろうは、真空パックをあけるとこの状態で出てくる。どうやって食べたらいいのかまったくわからない。

どうやって皮をはがしたらいいのか、はがしたらちぎって食べるのか、かじるのか、切るのか、さっぱりわからない。そしていろいろいじっているうちに手がべとべとになる。

ホットボンドみたいな物体、これがういろう。味は愛知のういろうとほとんど同じでした。ほどよい甘さ、ほどよいベトベト具合。

宮崎のういろうは愛知のういろうと非常に似ていて、食べていて冗談抜きに実家を思い出してしまった。実家の父はういろうのインゴットをまるかじりするほどのういろう好きだった。

さんざんベトベトだとか不思議食べ物だとか言ってきたが、食べてみると確かにうまい。米の粉のシンプルなうまさは現代のお菓子の忘れてしまった素材の味を教えてくれる。

これは各地のういろうも食べてみたくなるだろう。


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