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ロマンの木曜日
 
琵琶湖疏水を巡る、産業観光モニターツアーに参加した


琵琶湖疏水のツアーとは、なかなかお目が高いですな

先日、一通のメールが私宛に届いた。

「観光庁の産業観光モニターツアーとして、琵琶湖疏水(びわこそすい)のツアーを実施するのですが、木村さんも参加してみませんか?」

産業観光モニターツアー?はて、聞きなれない言葉であるが、それはどのようなものだろう。産業とか、モニターなどという言葉が付いている分、普通の観光ツアーとは違うのだろうが、一体、何が違うのだろうか。

折りしも、このツアーの主題である琵琶湖疏水には、少なからずの思い入れがある。折角のお誘いでもある事だし、私は二つ返事でその琵琶湖疏水ツアーに参加してみることにした。

木村 岳人



観光庁の新たな試み、産業観光

この琵琶湖疏水ツアーのお話をいただいたのは、今回のツアーの企画、実施を担当されている、株式会社ティー・ゲートの冨澤さんという方からだった。

私は以前、当サイトで「琵琶湖疏水をたどって京都まで」という記事を書かせていただいた。この記事はそのタイトル通り、明治時代に作られた琵琶湖と京都を結ぶ水路、琵琶湖疏水の取水口から京都府の鴨川との合流点までを延々たどって歩く、という内容である。

この記事が冨澤さんの目に留まり、今回のお話を頂く事に相成ったワケだ。


琵琶湖疏水ツアーを担当されている、冨澤さん

今回、琵琶湖疏水ツアーに参加させていただくに先立ち、まずはその謎のキーワードである「産業観光モニターツアー」について、冨澤さんに少々お話を伺ってみた。

――ズバリ、産業観光モニターツアーというのは何でしょう?

「比較的新しい観光の分野である、産業施設や遺構を観光活用することを目的に、観光素材として有効かどうかを測るテストツアーです」

――産業観光、ですか?

「はい、今回は日本の産業近代化の礎である琵琶湖疏水と、最先端産業の拠点である横須賀の二つをテーマに、若い人にどれだけフックするかを調査いたします」


冨澤さんからいただいた今回のモニターツアーのパンフレット

――メインターゲットは若い人なんですか?

「ええ、近年の観光業界では、いかに若い世代に参加いたただくかが課題となっております。そこで、琵琶湖疏水のような近代化遺産や土木遺産などを、サブカルチャー的な視点から楽しむという、新しい手法の観光開発が必要なのです」

――あー、確かに、最近は若い人の旅離れとか、そういう話も結構聞きますね

「近頃は、かつてのような旅コンテンツではフックできず、観光用ではないコンテンツを使った観光振興が重要なのです。特に若い世代は、ある種マニアックな視点から産業遺産に興味をもたれる方も多いので、このようなアプローチとなりました」

――なるほど、納得です。ちなみに、これまでは、どのような産業観光モニターツアーを行ったのでしょうか?

「いえ、琵琶湖疏水や横須賀の最先端産業施設を活用するのは今回が初めて試みなんですよ」

――そうなんですか!それでは、今回のツアーを契機に、観光業界がどのように動いていくのか、楽しみにしてみます。ちなみに、今回のツアー、参加者の傾向はどんな感じですか?

「今回はサブカルチャー的な魅せ方を強調していませんでしたから、一般的なツアーという印象になり、やや年配の方の比率が高いですね。ただ、若い世代からは木村さんの告知(※注)を見て、参加されたという方もいらっしゃいましたよ」

――それは良かったです。

(※注)先月の私の記事「京都では学校建築を見るべきだ」の終わりで、この琵琶湖疏水ツアーの告知をしました。

なるほど、この産業観光モニターツアーは、いわばこれからの観光の在り方にも関係してくるような、そのような意義のあるツアーだったのだ。うん、これは琵琶湖疏水のツアーというだけでなく、モニターツアーという視点で参加しても面白そうだぞ。

 

ツアー当日、その本気な内容に驚かされた

さて、今回の琵琶湖疏水ツアーは、琵琶湖疏水の要所要所をバスと徒歩で移動しながら、ガイドさんと共に巡るというものだ。その始点は取水口のある滋賀県大津市。

当日、集合場所である浜大津駅に行くと、そこには既に冨澤さんを初めとする主催者の方々や、ツアーの参加者が集まっていた。ほぉー、結構な人数じゃないですか。


笑顔で出迎えてくださったのは、株式会社ティー・ゲートの村山さん

程なくして出発の時間になると、まずはティー・ゲートの冨澤さん、村山さんによるツアーの案内と、ガイドさんの紹介。それと、参加者のグループ分けが行われた。

今回のツアーは人数が多い為、A班、B班と、二手に分かれて行動する事になるそうだ。それぞれのグループにガイドさんが付き、疏水の解説を行ってくれるらしい。

この大津では、A班は疏水の取水口から始まり、三井寺近くの第一隧道の洞門まで下る。B班は逆に三井寺からスタートして、取水口まで下るという流れである。


まずはツアーの説明と、グループ分け
私は、B班になった

立派な観光バスがどどんと登場
なんと、バスガイドさんもいらっしゃる

集合場所に集まっていた人数にもいささか驚かされたが、この立派な観光バスの登場には度肝を抜かされた。

バスで移動するとは聞いていたものの、私は失礼ながら、せいぜいマイクロバス程度のものかと想像していたのだ。それが、こんなに立派な観光バスで、しかもベテランの風格漂うバスガイドさんまで付いてらっしゃるとは。

想像以上に本気だぞ、この産業観光モニターツアー。


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