パンがないならパン粉を食べればいいじゃない
スーパーで品薄になっていたのは、納豆やカップ麺の他にもまだいくつかあった。
上の写真はパン売場。訪れた店には食パンは結構あったし、菓子パンも全くないわけではなかったので、一番品薄だったときよりは状況は改善したのかもしれない。それでも、菓子パンの棚はこの有様。
閉店間際というわけでもない。平時にはちょっと見られない光景だ。
パンの材料となる小麦粉の棚はこのような品揃え。店によってはほとんどなくなっているという話も聞いたが、ここはまだいくつか選択肢があるので、品揃えがよい方なのだと思う。
ただ、それでもいくつかの部分がぽっかり穴を開けているのは通常のスーパーではないこと。程度の差こそあれ、震災の影響は響いているようだ。
しかし、その隣の棚は通常通りに商品で埋め尽くされている。
そこはパン粉売場。パンや小麦粉の入手はままならなくても、パン粉ならばたくさんある。
パンから作った粉であるパン粉。ならば、それを逆転させて、パン粉からパンを作ることもできるのではないだろうか。納豆やスパゲティの記事にあった知性は他の人に任せて、小学生的なとんちで現況にアプローチしてみたい。
材料はパン粉と水、それだけだ。パン粉の袋にある用途例には「パン」とは書いてない。書いてあったら面白いのだが、さすがにメーカーもそれは想定していないようだ。
パンを作ろうと思って、小麦粉ではなくパン粉を買ってくる。パン作りの基本からしてわかってない人がしそうなことだ。しかし今、そんなうっかりに光が当たるのかもしれない。
調理に入ろう。まずはパン粉に水を注ぐ。
普段はあり得ない調理過程ゆえになんだか違和感も感じたが、よく練っているうちになんとなくパン生地っぽくなってきた。うっかり行為も、実際にやってみるとまあまあ様になることもあるものだ。
電子レンジで生地を一旦温めたあと、トースターに入れてしばらく加熱。こうして見ると、さっきまでパン粉だったものもパンに戻りつつあるように見える。
パンをパン粉にして、そのパン粉をまたパンにする。今はその行動の不毛さに気づかないふりをしていよう。
しばらく焼いて、トースターから取り出す。おお、見た目はかなりパンになっている。誰に見せてもパンだと思うものになっているのではないか。
手に持ってみても、違和感はない。表面がカリッとしていて、どこからどう見てもパンだ。
割ってみてもなかなかにパン。いいにおいも漂ってきて、普通においしそうだと思える。
実際に食べてみよう。…表面が固めの仕上がりで、いわゆるハード系のパンと言えるだろうか。中身は普通のパンより水分が保持されている感じで、しっとりタイプ。やってることのアホらしさの割には、まともなものができている。
パンも小麦粉もないならば、パン粉を食べればいい。バカだからこそ気づく盲点だ。この着想で、もう一つ品不足が言われる食品の解決策を模索したい。