おそらく日本語を使う人ほぼ全員に経験があると僕は思うのだが、どうしても「相模」と「相撲」を見間違えてしまう。 いつまでたっても見違え続けてしまうので、そろそろ白黒はっきり付けたい。 「相模」と「相撲」をはっきり見きわめられる、違いがわかる男になりたい。
(工藤 考浩)
なので旅に出ます
僕は今、電車に乗っている。 なぜなら相模と相撲の区別がつかないからだ。 このあいまいな日々に別れを告げるために、電車に飛び乗った。
サガミかスモウか
相模と相撲の区別がつかないということに気づいたのは、たぶん小学生の頃だと思う。 通学途中に止まっていた大型トレーラーのナンバープレートが「相模ナンバー」だった。 それを見て「え! 相撲? おすもうさんが乗っているの?」と思った記憶がある。 その後、成長と共に学習をし、相模と相撲の区別がつくようになっていったかに思えた。 しかしこの春、異変が起こった。
春の高校野球で優勝したのが「東海大相模」という学校だ。 これを見て多くの国民が「大相撲」だと思ったに違いない。 僕も真っ先にそう思った。 これはまぎらわしい。 ちなみに東海大相模に相撲部は無いようだ。
やっぱり区別ができていないのではないか
相模と相撲の区別について、ぼんやりとした不安を抱きつつも、それに向き合うことなく、あいまいなままで過ごしていた結果がこれなのだ。 相模の前に"大"がつくだけで、相模が相撲に見ててしまう程度の判別能力なのである。 これではいかんのではないか、僕はそう思い立った。
8つの相模
神奈川県内には「サガミ」という名のつく駅が8つあるそうだ。 相模湖、相模原、相模大野、小田急相模原、相模大塚、さがみ野、相模金子、相模沼田。 この駅すべてを巡り、ひと駅ひと駅で「相模」の文字をかみしめれば、自ずと相模なのか相撲なのか、明確な区別がつくようになるのではないかと思うのだ。
場所ニューロンにお願い
記憶術の定番として「場所法」というのがある。 記憶したい事柄を場所とからめて覚える方法だ。 脳の海馬体には「場所ニューロン」という細胞があり、「エサの場所、危険な場所を記憶する」という、生物にとって大切な情報に対して、いわば特別な記憶の仕組みを持っているという。 これにならえば、実際に自分の足で相模を巡れば明確な記憶につながってゆくはずである。