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フェティッシュの火曜日
 
なぜみんな五月人形をバイクに乗せるのか?

以上をふまえて、バイク…やっぱりわからない

武将になって、デフォルメされて、小さくなって、若い人向け。以上の最近の流行をふまえて、さあ、バイク人形である。

やはりさっぱり分からない。


これこんなにでかいのか。へんなのにでかいってすごい!

印象派!

五月人形みたいな「どれ選べばいいのかわかんねーな」という世界だと、色々見たらわからなくなってくる。

そういうときは「印象に残ったものが強い」と渡辺さんは言う。

だからバイクなのか。「差別化が図れるでしょ」と渡辺さんは言うが、差別化しすぎて独走状態になってないか心配になる。


カタログのトップにバイクと西洋風というインパクト
このグローブがリアルすぎて可笑しい

独自に調べたところ、ほんとに初は別の会社だそうです

だが、あとで調べたところ、このバイク五月人形「うちが最初です」と言ってる人は他にもいる。そして浅草橋で見かけたように、今や他のメーカーからもバイク五月人形が出ている。

独りではないのだ。その差別化いいよね、とまねされている。五月人形界でバイクは認められつつあるのだ。

そしてバイクだけではない、ここにはサッカーもある。


バイクは馬の代わりと言えるが、サッカーはもうサッカーだ

バイク、サッカー、磁器の五月人形

サッカーブームになると作っても作ってもポロポロ出ちゃうんですが、量産できないんですよね

サッカーの評判も上々だという。やはり差別化いいのか。他にも変わったものが置いてある。

お父ちゃんもう差別化やめて〜。と泣きながら訴えかけたくなるほどに、変わったものがたくさんある。


スペインの磁器メーカー、リヤドロ作の五月人形も
この悲しい顔!

手塚プロ公認のアトム五月人形。貫禄がすごい。
バットに手裏剣が刺さった子供伊達政宗。要素色々!

阪神タイガースモデルが普通に思えてきた
「それは天照大御神です」‥‥天岩戸から出てきたあの!?

そういえば「こどもが喜ぶから」とエレベーターには音楽と電飾があって
最強武将トップ10ランキングが掲示されてる

渡辺さんのアイデアもしみじみ変だ

変わったものがあって楽しいお店だなといい気分になるが、独創的すぎやしないかと思うアイデアもある。

「これは『桃金セット』っていうんですが、日本には三太郎っているでしょう?桃太郎、金太郎、浦島太郎。

浦島太郎はしょうがないから、桃太郎と金太郎のセットで衣装をプレゼントしてるんです。」

おお、取り付く島がない。どうしたらいいだろうかこれは。

こういうツッコミもあきらめざるをえないアイデアこそバイクよりも本当の独走状態なのではないかと思った。


「これ桃金セットっていうんですけど‥‥」
「桃太郎の陣羽織と金太郎の腹掛がセットなんです」
なぜどっちか一つにしなかったのだろう!?

「普通の龍馬だとおもしろくないから、タイタニックのポーズをとってもらったんです」だとしてもなぜタイタニックを!

怒られたりもする

−−けっこう変わったことやってますね

「昔、おひまならきてよね♪って五月みどりの歌があったでしょ?それにちなんで、お雛なら来てよね、ってキャンペーンやったんですよ。

そしたら『ふざけ過ぎてる』ってクレームがきましたね」

バイクに乗せても怒られないが、歌をもじると怒られる。差別化もどこに地雷があるのかわからない大変な世界だ。


「このジオラマの前で手を叩いてみてください」
パン!「‥‥するとね」


「ぬすっとが顔を出すんですよ」楽しみにした時間を返して!

来年はそう、サイドカーとか

「来年もまた変わったことやろうと思ってます。同じことやってもつまらないじゃないですか。

販売に携わる者としてはどこかにおもしろみみたいなものがないと、どうしてもね。楽しくないですよね、人生がね」

で、次何やるんですか?バイクまたやってくださいよ、とお願いしたら「サイドカーがいいかなと思ってます」と言っていた。

五月人形でサイドカーは相当おかしなことになってくるぞ。これでまた五月人形から当分目が離せない。

これもアイデア商品。プリンタで出力した名前を挟める表札。名前が今っぽいなと別の所を感心してしまった。

変わらなきゃ、で思わずバイクに乗った五月人形

今はとにかく色んなことが変わってきている。

五月人形なんていう昔から変わらない世界は特に槍玉に挙げられたのだろう。気づいたらバイクに乗っていた。

だけどそれは失敗というわけじゃなく、おもしろいとみんなから認められている。いびつな変化だが、だからこそ差別化して成功したのだ。

でも『桃金セット』はどうだろう?あれは相当へんな気がする。へんな変化はやっぱりへんなままだったりもする。

「伝統は革新の連続だ、って羊羹のとらやさんが言ってましてね‥‥」と渡辺さんはお気に入りの言葉を紹介してくれた。

たくさん革新してほしい。それで成功もしてほしいし、失敗した時代の徒花は私たちが拾い集めたい。桃太郎の陣羽織に、金太郎の前掛けをして、私たちはこれからも五月人形界を応援していくことだろう。


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