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ひらめきの月曜日
 
意外材料食品を探る
 

普段から食べている一般的な食べ物なのに、意外な材料でできているというものがある。最近だと例えば米粉パンがそうだろうか。

普通は小麦粉から作るパンを、お米の粉から作る。パン屋さんではしばしば見かけるようになったかもしれないが、家庭でも作れる米粉パン焼き機が人気を集めたニュースが話題になった。

まだまだあまりなじみのない、そんな食べ物もあるのではないだろうか。そういうわけで、探してみました。

小野法師丸



日本伝統の意外材料食品

意外な材料で作られている食べ物として、まず考えてみたいのが精進料理。肉食を禁じる仏教の徒が食べる、ベジタリアン系料理だ。

中でも面白いのは、植物性の材料を使って、普通は動物性の材料で作られる料理を模す料理。身近なところでは、「がんもどき」がそうだ。


クラシックがんもどき

由来には諸説あるようだが、その一つは「鳥(雁)の肉に似せた味に作った」というもの。漢字で書くと「雁擬き」というわけだ。

ところで上の写真、一般的になじみのあるがんもどきとは違うと思うが、別に間違えて載せたわけではない。


お察しの通り、これです
がんもどき調理中

普通に見てわかるとおり、これはこんにゃく。実は、江戸時代の終わりまでは、こんにゃくの油炒めを「がんもどき」と呼んでいたという話もあるらしい。(参照)

ときどきこんにゃくとがんもどきを合わせて煮た料理を見ることがあるが、これは「がんもどきとがんもどきの煮物」とも言えることになる。


想像力との戦い

それにしても、こんにゃくを肉の代用として食べるのはなかなか難しい。今回作ったものも、神経を集中されて「これは肉だ…これは肉だ…」と言い聞かせながら食べてみたが、自分の中に出てきた答えは「やっぱり無理」。

一般的ながんもどきならそう考えることもできるだろうか。改めて確認してみたい。


店構えも重みあり
普通に食べてるのと比べると高級

普段はスーパーで三個入りで100円くらいのものを買ってくるが、今回はこういう機会なのでお店も選んでみた。やってきたのは人形町にある「双葉」という豆腐屋さん。明治40年創業というから、かなりの歴史があるお店だ。

様々ながんもがある中、最もベーシックだったのは「中がんも」。150円という気軽に買える値段とは言え、いつも食べてるものと比べるとぐっと高級品だ。


がんもどきステーキ
肉かどうかはともかくおいしそう

今回の目的は、がんもどきの肉っぽさを確かめるというものなので、シンプルに塩こしょうで焼いて付け合わせと一緒に盛りつけてみた。普段よりおすまししているようにも見えるが、やっぱり君はがんもどき、と感じるのも否めない。

食べてみる。湧いてきたのは「こんにゃくよりは、ずっと肉っぽいかもな。まあ、こんにゃくよりは」という感想。

がんもどきとしてはもちろんおいしい。ただ、そこに肉の影を見ようとするとやはり無理が生じる気はする。それでもさっきこんにゃくを食べてるから、それよりはいいかな、というところだろうか。こんにゃくに噛ませ犬役をさせてしまったようでもある。

 

続いての意外材料食品はこれだ。


これはもう普通にあれにしか見えない

普通に見れば鶏の唐揚げということになる。実際、疑いの目で見てみても、やっぱり鶏の唐揚げにしか見えないビジュアルだと思う。


お前の正体はなんなんだ
実はおとうふでーす

この食べ物、正体は豆腐の唐揚げ。実はさきほど紹介したがんもどきと同じお店に並んでいたものだ。

がんもどきの他、厚揚げや油揚げなど、豆腐を揚げた食品というのはいくつかあると思うが、これは唐揚げ。意外な盲点を突いてきた商品だと思う。


いろんな意味でおいしい

食べてみる。まず思ったのは、「確かに唐揚げだ」というもの。居酒屋などで食べる一般的な唐揚げのたたずまいがしっかりとある。味付けもそれっぽい。

豆腐と言っても、そのまま切って揚げているわけではないようだ。何らかの加工をしてから作ったものなのか、ちょっと肉っぽい感触が楽しめる。それでいて風味は大豆由来のものを感じるので面白い。

さて、このページでは精進料理系のものを紹介してみたが、外国の食材も探ってみよう。


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