埼玉もいいけど、遠くにも行きたい
鳩ヶ谷ソース焼うどんは美味しかった。ブルドックソースを使うという以外はルールが無いいらしく、コッテリしてたりアッサリしてたり、トッピングも決まりがなかったけれど、美味しかった。
ソース焼きうどんってライバル少なそうなジャンルで、いいなあ、一人勝ちなのでは…と思って調べてみたら、福岡の「小倉発祥焼うどん」があった。焼うどん発祥の地で、ルールも厳密で、気合い入ってる感じだった。
でも埼玉の人って「ああ、小倉がそうなんだ。そっかー。ウチは歴史があんまりないからねえ。」と、あっさり一歩引きそうだ。イオンと鉄塔しかない埼玉の人の心は、地元アイデンティティが強くなくて、優しい。多分。
鳩ヶ谷取材のあと、近隣のイオンで行われていた「タイフェア」というイベントに行ってみた。イオン店内で、代々木公園で行われている「タイフェス」のミニチュア版が展開されていた。
外の屋台にビールが売っていなかったので、(個人の責任で)酒売り場でタイのビールを買って、タイ料理をつまんでいたら、3人くらいの大人に「そのビールはどこで買ったんですかっ!?」と訊かれた。素直に教えた。そりゃ、タイめしにはビール、飲みたいよね。
ソース焼きそばも楽しかったけど、外で飲むビールが、その日、いちばん美味しかった。子供がディズニーやアンパンマンのライド(手押し車)に乗っているのを、ぼやーっと眺めた。まともに結婚して、埼玉に住んでいたら、こういう幸福もあったのかなあ、と家族連れを見ていた。
本家、代々木の「タイフェス」は、毎年、ゴールデンウィークの最後に開催するのだが、今年は震災の影響で中止。私の年に1度の楽しみが中止…。
当サイトは「ディスカバー近所」がひとつのテーマとして存在していて、近くの面白いものを再発見して楽しむ、というのを推奨している。
確かに「ソース焼きそば」は美味しかった。遠くから来た人がコレを食べたなら、ちょっと感激するかもしれない。
でも、やっぱり。でもやっぱり。遠くに行きたい。
この春、たくさんの人が、たくさんたくさん我慢しているのは知ってる。でも何故か埼玉でビールを飲むまで、東京にいる自分も、こんなにストレスが溜まっているとは、自覚がなかった。結構平気なつもりでいたのです。
ああ、イベントや祭りが中止だらけの日々は、本当に寂しい。
精神的に遠い場所に行きたい。東京都内の、今まで全く行かなかった区や町でも、千葉でも栃木でも。同じ移動時間かかる場所でも、故郷方面と、それ以外の方面とでは、心持ちが違う。
違う価値観で動いている町を、そろりそろりと手探りで歩いて、
そして、そこの地元の「ソース焼きうどん」的なサムシングを、食べてみたいのです。 |