「もともと祖父の代から鋳物工場やってるんです。戦前から祖父が鋳物師で、戦後になって工場を持ちたいっていうんで、1948年にここの工場を買ったんです。以前は『日本ピストンリング』って名前で、戦中は軍需工場で中島飛行機のエンジンなんかを作ってたんですよ」
−−へ〜。そうか、エンジンも鋳物ですもんね。
「戦争が終わってGHQに接収されちゃって、2年くらい操業できなくて民需に転換したんだけど、大幅に縮小するよう命じられたんです。その一部を祖父が買ってはじめたんですね」
−−当時の鋳物というとどんなもの作ってたんですか?
「最初はもう生活必需品ですね。鍋とか釜、あと風呂釜とかね。鉄が供出でなくなってた時期だから、飛ぶように売れたという話です」
−−街も工場だらけで。
「いま街中にマンションあるでしょ?あれ全部もとは鋳物工場ですから。そうイメージしてもらって間違いないです。土地がまとまってあるから立て替えやすいんですよね。あと準工業地域ってのは規制がゆるいのでマンション建てやすいんですよね」 |