シロクマは優しい
動物園を回っていると、シロクマがいた。死んだフリの最大目標、熊。 観察する事で何か分かる事もあるかもしれない。じっくりと見てみよう。
じっと見るも、檻の前から動かない。なにやら、一頭のシロクマが怪我をして檻の中にいて、その熊をずっと見ている。心配してるのだろうか、観察して分かった事はシロクマは、優しいと、いうこと。
でも、じっとしているシロクマを見ていてもつまらない。すぐ飽きた。北極にいるシロクマに会う事も一生無かろう。シロクマは、まぁ、OKだ。次行こう、次。
そもそも、一生熊と出会わないのでは
シロクマの隣にメガネグマという熊がいた。結構小さい。一メートル位だろうか。コイツらなら出会ってもそうそうやられる事は無いんじゃないか。
怖いというより可愛い。コイツらなら死んだフリするよりなでたい。よし、イメージトレーニングしてみよう『よーし、怖くないよー。なでなで〜、ガシュッ、ガブッ。あっ…』あっ、ダメだ。
その隣にいたのがまた小さめなマレーグマ。果たしてコイツに死んだフリは効果があるのか。通じるような気もするし、通じないような気もする。
と、いうか、草食動物とすら接する事が出来ないこの現代日本で果たして熊と接触する事があるんだろうか。会った事もない芸能人とデートするならどこ行こう!?って悩んでる位の感じになってないか。
人間も動物だ
動物園に来たのに死んだフリ出来ないまま帰るというのももったいない。そうだ、周りにふれあえる動物、人間がいるじゃないか。 ちょっと死んだフリ試してみるか。
人間に対して死んだフリ、成功となると救急車を呼ばれる位だろうか。そうなる前に早めに切り上げよう。などと思いながら死んだフリを始めたのだが。
無反応。というか、死んだフリをした辺りだけ人通りが少なくなった。凄い、死んだフリをした周りの空間だけが死んでる!
そして刺さる目線が痛い。子供が興味示して寄ってこようとしたら親御さんが「〜ちゃん、ダメよー、ダメ、ダメエエエエ!!」って言ってた。〜ちゃん、ごめんね。
人間に対して死んだフリをしたら、相手は近づいて来る事は無かった。が、精神的にダメージを受けた。近づくのではなく、離れる事によって肉体ではなく精神にダメージを負わせる、人間。
知的生命体とは何とも恐ろしい物よ。やっぱり草食動物に対して試してみたい。