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ひらめきの月曜日
 
ニセ肉を食べてみたかった

「フェイクの肉」というものに、以前から興味がある。
肉…多くの人が魅了されてやまない食べ物。アツアツのハンバーグで、ごはんパクパク! 砂肝とネギマでビールをキュー! ソーセージでキュー! ケバブでキュー! ジャークチキンでキュー!
うまい。生き物の命を頂くことは罪深いけど、罪深いぶん、どうしようもなく美味しい。だから世界中の食文化に、組み込まれているわけだけれども。

偽肉は「肉は食べないけど、肉っぽいものは食べたい」というニーズから生まれた、大豆で出来た食べ物だ。菜食の方にも食べられる、不思議なお肉。
これを味わってみたかった。ジャスト好奇心で。
そこで通販で、いろいろ入手してみた。

大塚 幸代



ソーセージっぽい何か


缶を開けたら、縦にビッシリ入っていたので、びびった。

原材料は大豆たんぱく、なたね油、こんにゃく粉、卵白粉、塩、砂糖、香辛料など。

見た目はパーフェクトなお弁当サイズのソーセージだ。ぱっと見、大豆だと思う人はいないだろう。
しかしお味は…んー、ポソポソッとした、魚肉ソーセージのよう。リアル肉と比べると、あと味が妙に軽く、口の中がポカーンと虚ろになる。トマトソースで煮込んだり、アメリカンドッグにしたり、調理して使った方が、美味しいのかもしれない。
しかしまあ、これだけのルックスのものが、肉じゃないものから出来てる、っていうのは、やっぱり不思議な感じがした。

コンビーフ風のでかいハム


ハムを買ってみたら、やたら太かった。直径5センチくらい。

コンビーフ風ということで、こんがりフライパンで焼いてみた。

肉じゃないのにハム! というところに驚いた。味はコンビーフ風だ。

先に食べたソーセージよりも、食べやすかった。塩味が濃い目についているのを、油で焼いたせいだと思う。油と塩は偉大だ、たいていのものを美味しくしてくれる。

食感もコンビーフ。繊維自体が、コンビーフ風に出来てるようだ。ケチャップ付けて食べたら、もっとイケると思う。

でもこれ、常食するものではなく、特別な日に食べるものなんじゃないかなあ…? と思うのだが、どうか。菜食の方たちの持ち寄りパーティーとか。普通のお肉でも、ハムステーキって、毎日食べるものじゃないし。

ツナ風な何か


見た目、みっしりとツナ。

大豆をツナ風に加工した何かだ。
原材料に、香料は入っていないのに、魚の匂いがほんのりする。なぜ?

食べてみると…んー、ツナの食感はあるのだけれど、ツナの味はしない。豆の風味だ。マヨネーズを入れてみたら、美味しくなった。うん、これにタマネギを刻んだのも入れて、サンドイッチとかにすれば、全然バレないと思う。

でも菜食料理にするなら、マヨネーズも、大豆で作ったソイマヨネーズにしなければ、いけないんだろうなあ。

タコミートみたいなもの


タコスの中身の肉、みたいなものも売っていた。

タコライス風に、ごはんののっけて食べてみた。

これは美味しかった。小麦、大豆、野菜、香辛料しか入ってないのに、ちゃんとパンチのある味がする。タコライスっぽい味がする。香辛料の力って偉大だ。

でも、もともと、豆とトマト味って合うから、わざわざベジミートの具を買わなくても、肉の代わりにレンズ豆やヒヨコ豆を使っても、料理が成立してしまうような…。まあ缶詰はインスタントで便利だな、とは思いますが。

ミートソース風のなにか


見た目、普通のパックです。間違えて買ってしまいそう。

パスタにかけてみました。

封を切ると、香りが普通のミートソースと、明らかに違った。トマトと肉の匂いがしない代わりに、なんとなく植物油のような香りが。味は…トマトの力で食べられるけど、ミートソースの味ではない。独特な大豆肉の味。

別にミートソースじゃなくても、野菜とトマトだけで、トマト系パスタソースは作れるのになあ…。ミートソースっぽいものが、がどうしても食べたい人が、多いのかなあ。

ハンバーグっぽいもの


カロリ−40%カットが、売りらしい。

見た目、きちんとハンバーグ。

最後にハンバーグ! デミグラスソース味だ。
パクっと食べてみると…お、イシイのミートボールみたいな味で美味しい! 食感も肉団子っぽい! と思ったが、後味が、やっぱり豆だった。
食べはじめは分からないのに、後から「もわー」っと、香りが鼻に抜けていくのだ。独特の、大豆肉の匂いが…。
でも、ゴハンと一緒にガッと食べてしまえば、分からないと思う。お弁当に入っていても、これが豆と野菜で出来たサムシングだとは、思わないだろう。

ニセ肉、新しめの食文化

こんなに、考え考え、探るように、食べ物を食べるのは久々だった。
しかしニセ肉…。わかったことといえば

  • 食感を変えてるだけで、本質的には同じ味(風味)。慣れれば平気だと思うけども。
  • 味が濃くついてるものは、あんまりはずれがない。
  • そのまま食べるというより、調理材料と思って扱ったほうがいい。そして普通のお肉のように「焼いただけ」とかでは美味しくならないから、研究熱心な人向けの食材かも。

といった感じか。


ああ、ニセ肉。
「ニセ肉、食べ比べてるんだよ」と人に言ったら、「ニセ肉なんて、不自然な存在じゃない?」と言われてしまった。
確かに不自然かもしれない。
でも、制限された食事の中で、何かを編み出すのって、新しい食文化の発達なんだと思う。
例えばカロリーゼロのコーラなど、カロリーオフ商品全般。あれだって、すごく不自然な存在だ。でも便利だし、食の選択の幅を広げている。

今回食べたニセ肉は、手放しに「すごい美味しかった!」というわけじゃないから、発展途上中の食べ物なんだと思う。
でも、精進料理なんかとは違った路線で、じゃんじゃん進化していくのかもしれない。
ソーセージも、今より美味しくなっていくに違いない。その時は、また食べてみようっと。


 
 

 

 
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