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五十歩と百歩は全然違うじゃないか
ハトの一歩だって意外とある

似たりよったり、大差無い事を表す「五十歩百歩」という言葉がある。

類義語の「どんぐりの背比べ」は納得できる。
あるいはこのことわざが「一歩二歩」なら納得できる。

でも50歩の差って結構あるじゃない!

色んな50歩を実際に測って、自分が納得する答えを出してきました。

小堺 丸子



孟子さんが言いたい事

「五十歩百歩」の由来を調べてみると、この言葉を使った孟子さんが言いたいのは距離の問題ではなかった。


孟子さんの似顔絵

--Wikipedia引用--
世は戦国時代、魏の恵王は、孟子に尋ねた。「わたしは、常日頃から民百姓を大事にしているつもりだ。だが、他国の民が魏を慕って流入してきた様子がない。これはどういうことなのか?」孟子は言った。「まず、王に尋ねます。戦場で2人が怖くなって逃げ出しました。ある者は100歩逃げて踏みとどまり、ある者は50歩で踏みとどまったとします。そこで 50歩逃げた者が、100歩逃げた者を臆病者と言って笑ったとします。王はどう思われますか」 「それはおかしい。逃げたことには違いないではないか」

「そのとおり」、と孟子は言う。そして魏王の政策も他国と比べて五十歩百歩なのだと指摘し、孟子の勧める王道を唱えていく。
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さすが孟子さんと王様、実質の距離の問題ではなく精神論を語っていたようだった。なるほど・・タイトルで強めに問題提起したけど早くも解決しちゃいましたよ。


2人の兵士の心情予想図

いやしかし、自分をその2人の兵士に投影したらどうだろう?100歩逃げた自分は「やべっあいつよりこんなに逃げちゃった!」と焦り、50歩の方は「あいつあんなに逃げて・・かっこ悪〜」とニヤニヤしている。やっぱり50歩の差は大きいと思う。

 

まずは自分の50歩を測ってみる

そんな訳で、孟子さんには悪いけれども本来の意味は無視して、自分が納得する「五十歩百歩=大差ない」の答えを求めに上野公園にやってきた。


ここなら色んな50歩が測れるハズだ

ではまず自分の50歩とはどれ位の距離なのか見てみよう。


スタート地点から撮影。50歩で見えないほど遠くに!
人にかぶっている為でもあるけど

ここは戦場ではなく上野にある公園なので逃げ足ではなく普通に歩いてみた。それでもこうして見てみると、頭の中で考えていた50歩よりさらに離れている事が分かった。


いつものだらしない歩きは1歩が55cm

自分の通常の歩幅を計ってみると55cm。人の歩幅平均はだいたい身長マイナス100らしいので、ほぼ合っている。

という事は、50歩で27.5mほど離れている事になる。男性の足で、しかも逃げ足だったら50m以上は行っている所だろう。やはり全然違う。

子どもの50歩

ふと横を見ると推定2〜3歳児の男の子がいた。
お母さんに引っ張られながらスムーズな歩きを見せている彼。追いかけて50歩を測らせてもらおう。


あの子の50歩を測ってみよう
意外とスタスタ歩く子ども

「あの境目からスタート」と適当にスタート地点を決め、声を出して数えながら追う。しかし後でスタート地が分かるようにと目印の枝を探して置いたりカメラを取り出したりとモタモタしていたらいつの間にか遠くに行ってしまっていた。子供、歩くの早いよ!友人も数えながら追っていてくれていたので助かった。


あの辺りだったらしい。ひとまずタコ糸を張って印をつけて、
1mで折り返していってアバウトに計算

長いメジャーを用意できなかったので、代わりにタコ糸を使用。それに一旦印をつけ、後でメジャーで測る。このようにアバウトに計測したところ、約18m(1歩32cmの計算)もあった。子どもの足でも50歩はずいぶん違うという事が証明された。

 

ハトの50歩

お次は同じく2足歩行のハト。翼があるのによく歩く彼らの50歩は果たしてどれくらいの距離だろうか。


ハトは割と真っ直ぐ歩く
これまた意外と遠い

子供も歩くのが早かったが、ハトの方がもっと早かった。それは声を出して数えるのが一苦労なほど。距離を計測してみると9m。ハトの50歩もなかなか離れてますな。

でもこの距離、後で改めて計算してみると1歩が18cmもある事に。本当だろうか。自分が計測しただけに疑わしい。計測方法がアバウトすぎたかな・・でももしかしたらこのハトは今時の若者で、足が長いのかもしれない。そういえば途中でちょっと飛んでいたような気もしてきた。


最近の若ハトは足長だから

ここはあまり数値に捕らわれず寛容に読み飛ばしていただければ幸いです。


ここまでの総括

次はさらに小さい生き物、虫を測ろう。本当は尺取虫がいたらメジャーの上を歩いて貰って楽ができたのだがそうそういない。いつもどこにでも沢山いる蟻をターゲットにする事にした。


自ら蟻を探すの久しぶり

このあと右上に蟻がびっしりつまった穴を見つけてしまいオエーっとなった
そして測定不能

数える気が失せる動き&小ささ

蟻の50歩は数られなかった。というか正直どうでもよくなるほど足が早く、無駄にグルグル動いていて「50歩だろうが100歩だろうが同じ」という気持ちになった。そうか、これだ!


 

めちゃくちゃシックリくる答えが出た。これなら誰もが納得するのではないでしょうか。

 

上野動物園へ

他にも色んな生き物がいる動物園に向かった。そういえば上野に来たのはその為だった。


入り口から50歩ほど先にいたパンダ

しかしハトや蟻を追っていたせいで閉園時間間近になってしまった。パンダやゴリラなど見所を飛ばして最終目的地へと急ぐ。


目的地前で見つけたウサギの足跡
以外にも、色んな動物の足跡があったので全部測りたくなった。でも時間的に無理。(写真はアヒルの50歩 約5.5m)

ここは動物たちと触れ合える広場の入り口である。数ヶ月前にもここには来ていたのだがこんな足跡があるのをスッカリ忘れていた。

一つずつ50歩の距離を測りたい所だったが時間がないので、代表で一番歩幅のあった馬の50歩がどこまでいくのか追ってみる事に。

 


ヒヅメの跡に乗って数えながら行くと
50歩ほど先には顔ハメがあった(足跡の歩幅からして約31m先)

残念ながら馬の足跡は30歩で途切れていた。そのままでは小屋にぶつかるので方向を変えて奥まで行ってみると味のある顔ハメがあったので記念に写真を撮っておく。

そんな事してる時間はないんだった。

 

ヒツジとヤギ

目的のふれあい広場には子供から大人まで沢山の人がいた。


大人気

身動きが取れないヒツジ
餌に釣られて小股になってるヤギ

ヒツジもヤギも何頭かいたがいずれもこの大人気ぷり。皆が触りまくっている中でまともに50歩を数えるのは難しかった。


せめて歩幅を!

チャンスを伺ってメジャーを持って追いかけてみるも、ちょうど一歩踏み出した所で止まるという奇跡には出合えず断念する事に・・。

 

ウサギ

奇跡待ちしている間にふれあい広場の閉まる時間になってしまった。せっかく動物園に来たというのに何も答えが見つからない。あーあ・・と落胆しながら広場を出て、その先にいたウサギを眺める。


一歩も動きそうに無いジャンボウサギ

貫禄ある武将のような落ち着きを見せるジャンボウサギを通り、普通のウサギコーナーへ。こちらは元気に跳ねている子がいたので、何となしに歩数を数えてみた。


スタートピョン
10ピョン11ピョン

30ピョン31ピョン
50ピョンでだいたい元通りの場所へ

なんとこのウサギ、スタートからグルリと一周、50ピョンした所でだいたい元の位置に戻ったではないか。つまり狭い場所ではいくら動いたって大して遠くへは行けやしないという教えである。


可哀想やら気持ち悪いやら(絵が)

こうしてようやく二つ目の答えが出たものの、なんだかちょっと切ない結果になってしまった。

 

最後は陽気なピエロ

さて最後は上野公園の名物、大道芸から答えを見つける事ができた。この日見かけた大道芸の中に路上を元気よくジャンプしている紙の人形が(売られて)いたのだ。


案内にBOKU WA JOHNNY DESU!!と書かれている

皆さんも一度は見た事があるかもしれないこの人形。誰の手も借りずに軽快に跳ねたり倒れたり、時には合図に合わせて浮いたりする。

公園の路上でこのジョニーが飛び跳ねているのを見てハっとした。そうか最後の答えはこれか!と家に帰る。なぜならジョニーは我が家にもいるからだ。(それが上の写真)

封は開いているのに出された形跡のないジョニー。なぜか家の台所の端に何年もいたジョニー。外に飛び出し(何となく)、説明書通り命を吹き込んだ。


初めて生命を吹き込まれた我が家のジョニー

初めて表に出たからか、ジョニーの動きはぎこちなかった。それでも足をバタつかせ、陽気に踊ろうとする。しかしなんの因果なのか、上野で見た紙人形同様、いくら飛び跳ねてもその場を離れる事はない。

という訳で最後の答えは


最後は無理やり陽気に終わる

色んな50歩

孟子さんにケンカを売った所から始まったこの企画。最後はまさか紙ピエロが跳ねてる画で終わるとは想像つきませんでした。

今回色々な50歩を数えていく中で「ハトってこんなに真っ直ぐ歩くんだ!」とか馬の足跡を見て「そういえば馬ってどうやって歩いてるんだっけ?」など改めて気づく事が多くて楽しかった。そして後半2つの答えを見つけた時は、まるでとんちを思いついたような何だか妙な達成感を味わえた。

おかげで濃い一日になって大満足。
孟子さんにケンカ売るような事は、もうしません。

悪夢のような写真が撮れた

 
 

 

 
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