「遠征」…それは、自分の生活圏外で行われるイベント・コンサートなどに、新幹線や夜行バスで乗り込んでいく、思いきった行為。これを、やったことがなかった。
「フリッパーズ・ギター(私が好きだった伝説のお洒落アーティスト)が、大阪のイベントで、マメカラ(手持ちカラオケ)で歌って、ファンが喜ぶのを面白がって、自分の持ち物をプレゼントしだして、最終的には財布を取り出して、レシートを配ったりしてたんだけど、あげるものがなくなって、お金をファンにあげようとして、スタッフに止められてた〜」なんて話を聞くと、ああ、行きたかった! っていうかレシート欲しかった! とは思ったけれども。
当時は高校生で、全然お金が無かったので、仕方がない。しかし私も、今は大人。活動中のアーティストで、大ハマリしている人はいないけれど、毎年毎年、楽しみにしているイベントがある。代々木で行われる「タイ・フェスティバル」だ。タイ料理の屋台、タイ雑貨の屋台、タイ文化のステージなどがあって、それはそれは楽しいフェスである。
通って10年以上になるが、4、5年くらい前からは、大人気イベントになって、身の危険を感じるくらいに、みちみち激混みになった。でも今年は震災の影響で中止…。大阪と名古屋では開催、というのを知り、「年に1回、タイフェスに行かないと、生きていけないかも〜」と思い、「遠征」することにした。
計画してから、ずっと楽しみにしていた。「遠征」ってどのくら楽しいんだろう、と。ヤバイくらい楽しいんじゃないかな、って。だって「朝の新幹線で行って、一泊して、翌日の夕刻まで楽しんじゃう、一泊二日タイフェス満喫コース、もちろん全食タイ料理(予定)」だ。豪華。そして当日。あいにく台風2号が、そろりそろりと北上していた…。
(大塚 幸代) |