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フェティッシュの火曜日
 
今やICカードが飛び出す時代だ
最新のICカードチャージ機は飛び出すトースター型

PASMOやSuica、ICカードが私たちの生活に浸透して久しいが、また新たな進化を遂げた。

なんとICカードが飛び出すのだ。

先日、PASMOをチャージしたあと券売機から「ぬっ」と出てくるのを待ち構えていたところ、バッボンポンペキャランと飛び出してきた。

もう一度言おう、バッボン、ポンペキャランとだ!

大北 栄人



確かめてみよう

PASMOが飛び出したのは下北沢駅小田急線改札の目の前の券売機。一番左。古くもなく最新でもない、よくあるタイプのもの。

飛び出したのを初めて見た日から一週間と経ってない。まだ飛び出してくれるのだろうか?


これだ

飛び出さない?

ところが飛び出してこない。あれはなんだったのだ?一回こっきりの偶然だったのか?3回ほど試してみたが、いずれも飛び出さない。

他の機種だったか?並んでいる他の券売機にも試してみたが反応しない。どうしよう。

あきらめかけていたその時だった。


「なんか、カードが飛び出してきたよー」

やっぱり飛び出す!

券売機から改札に向かう人が「ICカードが飛び出してきた」と話しているのを聞いた。

それだ!やっぱり飛び出すのだ!

これで俄然やる気になった。もう少し、もう少しでカードが飛び出るはずだ。1回、出ない、2回、まだ出ない、再び心に影が差し始めた3回目。


出た!

見られる方はその勢いを動画でご確認ください

飛び出した

飛び出した。やはりかなりの勢いだ。とはいってもバッボンポンペキャランというのはウソだった。いつの間にか頭の中で創作していたようだ。

正しくは、バベッ。

バベッと飛び出てくる。この勢いってどう示せばいいだろう?飛距離でも計ってみよう、と思いついたのはPASMOを回収したあとだった。

しまった、また飛び出させないといけない。


また出た。記録17cm。人間に換算すると3m40cm。

オリンピック選手級

再びバベッ。

ものさしを買いに行って、再度飛び出しを図った。ところがなかなか飛び出さない。10回程やってようやく飛び出した。飛び出す確率はかなり低いようだ。

記録は17cm。PASMO自体が8.5cm程度しかないのでこれはけっこうな数字である。

身長170cmの人間の走り幅跳びだとすると、記録は340cm。いや、助走はないので立ち幅跳びの方が近いか。立ち幅跳びの高校生男子平均でも230cmである。

340cmも飛べばすぐにオリンピック選手だ。とするとこのICカード機はオリンピック選手村だ。

私は何を言ってるのだろうか。


同じ下北沢の京王線改札ではどうだろうか?
これはやっぱり「ぬっ。」だなあ

当然他のチャージ機では飛び出さない

おもしろいので他にもないか調べたい。

だが飛び出す機種でも、10回連続飛び出さないこともある。これはどうやって調べていけばいいのだろう?

当サイトの編集会議で聞いてみると知ってる者がいた。西村というライターが、一度そんなことがあったという。

場所は京急線大森海岸駅の精算機。


精算機でも飛び出すのか。流行ってるな、飛び出しチャージ。

大森海岸の精算機は飛び出すか?

休日に精算機目当てに普段乗らない電車に乗り、お目当ての精算機にたどり着いた。

券売機よりもお楽しみ要素を少なくした事務的なルックス。こんなしっかりしてそうな機械でもICカードは飛び出すのか?

いざ、精算。PASMOはもう金でパンパンだけど。


ぬぅ。ぬぅ。ぬぅ。ぬぅ。どこまでやってもいつもの出方である。

飛び出さない

何度やっても飛び出さなかった。一杯食わされた。

だが手はまだある。Twitterでも情報を募っていたところ、反応があった。

どうやらyoutubeでそういう動画があるらしい。「怒っている自動券売機」というタイトルがついている。(youtubeの動画はこちら

場所は京急線横浜駅北改札。京急はよく飛び出すのか?


しまった、今度はチャージ機が5つだ

一体どれが飛び出すというのか…

負け続けるパチスロのような感覚

出ない。一体どれが出る券売機なのかもわからない。2〜3回ずつ入れてみてはまた隣りの台へ。5機種を5周。出ない。

重い。PASMOが重い。PASMOの形をした鉛なんじゃないだろうかと思うほど重くなっていく。

ピピピッ、という音ともにPASMOがいつものぬっとした出方で出てくる。当たり前だ。当たり前が何度も何度も同じ形で出てくる重さよ。

私たちの日常は重いのだ。


パチスロやってぐったりしてる人の気持ちがわかる

モノレール浜松町駅

この原稿を書くにあたってyoutubeを見返してみたら、券売機自体の型が新しくなっていた。そ、そりゃ出ないはずだわ。

だがまだある。浜松町駅の3番券売機でも飛び出すという。

行ってみると、3番が見当たらない。駅員に聞いてみたところ、南口にあるが17時以降でないと使えないらしい。

17時に出直して南口に行った。


出直して本日二回目の浜松町。いいかげんに出てもらわないと困る。


だが3番だけ節電のため休み。ICカード飛び出し分だけ余計に電力がかかるのだろうか?

節電対策でお休み

よりによって3番だけ節電対策で休止となっていた。

もしかして飛び出す分だけ電気を食うんだろうか?多めに電気を食らってまで飛び出させる目的とは?

邪推が謎を深めるばかりだが、「飛び出すのは故障のひとつ」と考えればあっさり納得がいく。休ませるなら故障のものだ。


故障なの?

鉄道会社に聞いてみよう

お客様相談室のようなところに電話して聞いた。

――飛び出すチャージ機ってこういう仕様なんですか?

「う〜む、確認します。」

しまった。なぜかうならせてしまった。

「お待たせしました。下北沢駅にあるものも普通はピピピッと音がなって取り出しやすいように出てくるはずなので、ストッパーなどが壊れている可能性がありますね。」

あ、はい。すいません。やっぱり故障なのだ。

――すいません、どうでもいいこと聞いてしまって

「ご連絡ありがとうございます。下北沢駅ですね?すぐにこちらでも確認しますので。」

――いや、あの、おもしろいなと思っただけなので直さないでください。

やはり故障なのですぐ直しちゃうのだ。飛び出す、と聞いたらすぐ行かないといけない。

それにしてもこれだけ見に行って見つけたのは一機だけ。しょうがないので、もっともかっこいい飛び出しを見せた回をお見せして終わりにしよう。


最後にスローでもう一度見てみよう

小田急線と京王線の券売機こそ私たちに残された明るい未来だ(両サイドが光ってるので)

鉄道会社との戦いだ

飛び出しは故障なので鉄道会社に気づかれたらすぐ直されてしまう。見つけたら早くみんなに教えてあげよう。

愛好の士を募って横のつながりを作るのもいいだろう。もちろん鉄道会社に見つかるとつぶされてしまうので、地下でやる必要があるだろう。こうしてレジスタンスが出来上がるのである。

ところで、ICチャージ機に聞くついでに、小田急線の券売機はなんで青く光ってるの?と聞いてみた。

どうやら最新型は両サイドの目隠しが光るらしい。あれは目隠しだったのか。

各鉄道会社が使ってるようで、色は各鉄道によって変わるらしい。小田急なのでイメージカラーの青で光ってるようだ。故障や呼び出しの際には赤く光ったりもする、と。

飛び出したり、光ったり。券売機というおカタい機械がどうでもいい感じに進化していく(飛び出すのは故障だけど)。今後も注意して見守っていきたい。


 
 

 

 
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