脱おめでた人間目指して(小野編)
このページでは、「なんか、おめでたいね」と人からしばしば言われがちな小野のレポートをお送りしたい。「はあ、そうですね!」と笑って流すスキルはすっかり板についたが、そういう自分だからこそ、時には影の部分も見せたい。それはたとえば凶みくじだ。
引いたるでー!
そういうソリューションでいいのか心配だが、まずやってきたのは柴又帝釈天。おみくじについて調べてみたところ、10人で訪れて4人が凶を引いたというブログもあった。これはかなり期待できる。
1月3日という日に訪れたこともあって、境内はかなりのにぎわい。特におみくじ所には凶のパーセンテージがきつい設定であることを知って知らずか、長い行列ができている。列に加わってみよう。
おみくじ所の数をよく見ると、四と九が飛ばしてある。こういうところでも縁を担ぐようだが、そこをあえて凶狙いでみくじ筒を振る。「凶が出ますように、凶がでますように…」と心で願うのはどうも妙な気がするが、今回はそういうプレイなのだ。
結果は「末小吉」。なんかなじみのないのが出てきた。
調べてみるとおみくじの運勢設定にはいろいろあるようだが、この末小吉は凶よりもひとつだけマシな運勢であるらしい。惜しい、もう一息の結果だ。
いい運勢をちゃんと引きたい派の小堺さんは、「凶出たらやだな…凶はやだな……」とつぶやきながら並んでいたが、結果は吉。運勢の並びにはいくつか説があるが、大吉の次によい運勢ともされているようだ。本気でホッとしているではないか。
気になるなー、これ
帝釈天では凶が出やすいという噂を証明するかのように、周囲では「うわ、凶だよ!」「あー、凶…」と凶を出した人の声がしばしばあがる。
それは自分が受け止めたかったと思っていると、木の根のところに落ちているおみくじが目に入った。これは気になる。ちょっとのぞき見させてもらおう。
おお、やはり凶ではないか。願望の「叶いがたし」に始まって、ハードな言葉がづらづらと並ぶ。これは本気で引いた人には厳しい結果だ。
拾った凶でいい表情
凶の出なかった帝釈天を後にして、続いてやってきたのは浅草だ。
目的地は浅草寺。小堺さんが3回連続で凶の伝説を作ったのは実はここなのだ。
浅草寺公式サイトのQ&Aには「凶の割合は古来のおみくじそのままです」とある。調べてみると、その「古来のおみくじそのまま」の割合というのは、3割ということらしい。
これはなかなかハードな設定。でも3回連続の小堺さんは明らかに引きすぎ。どういう結果になるだろうか。
おみくじ所では案の定「うわー!」とか「えー!」という声がそこかしこから聞こえる。やはりそうなのだ。中には何回か引いて凶が続いたらしく、「どうなってんだ!」と怒り出している人までいた。
これは楽しみだ。まずは小堺さんが引く。
出ました、やってくれた、凶だ。
小堺さんは本気でがっかりしているが、私にとってはちょっとした憧れでもある凶。「凶」という漢字、フタの開いた箱の中にカタカナの「メ」が入っているようにも見えて、かわいいではないか。私もこの波を逃したくない。
出ました小吉。帝釈天に続いて、微妙なところを突いてくる。「願望」の欄には「正しい心持ちでいれば、後に叶えられるでしょう」とのこと。はっきり言って、自信がない。
別の意味でだが、釈然としないのは小堺さんも私も共通。ここは2人で申し合わせて、もう一度引いてみることにした。
「次も凶だったらどうしよう…」と落ち着かない小堺さんと並んでいる間、地面に落ちている大吉みくじを発見。拾ってみたらと提案したが、「あくまで自力でなんとかする」とのこと。
ちなみに、3回連続で凶を出したときは「なんか突き抜けて笑った」とのこと。今回はどうなるだろうか。
結果、小堺さんは吉。かつての悪夢がよみがえりかけていたが、それを繰り返すことにはならなかったようだ。
対して私は、帝釈天で出たのと同じ末小吉。あと一つ下ならばというところまでは行くのだが、どうにも凶を引き出せない。脱おめでた野郎は未だ果たせないままだ。
最後にやってきたのは、赤坂の豊川稲荷。ここまで3回引いても出てこない凶を、なんとか出してみたい。
ここはおみくじの紙が引き出しになっておらず、小さな棚に入っているのを自分で取るスタイル。それゆえにずらっと並んだおみくじの吉凶を確認できる。おめでたいお正月は凶を抜く寺社もあると聞いたことがあるが、ここはしっかり凶が混ざっている。さあ、やってみよう。
出たのは吉。貼ってあった運勢の順番の説明書きによると、ここでは上から3番目のものとされている。末小吉・小吉と出してきた自分の運勢が上がってきてしまっているじゃないか。
頼みの小堺さんも吉。素直に「よかったー」と胸をなで下ろしている小堺さんとしては、納得の結果だったようだ。
でも納得できないのは自分。小堺さんにも相談し、500円を上限に設定して続けて引くことにしよう。
最初と合わせて、4連続で吉。写真からもわかるように、ちゃんとそれぞれ番号は違うのだが、運勢としてはすべて吉。どうなってるんだ、これは。確率的にもすごいものがあるのではないだろうか。
棚に貼ってある説明には、「大吉が出るまでがんばるなんてことはまったくの無駄」とのお言葉が。逆のことをやってる自分は、神社側からも想定されていないような気がする。バカは放っておけ、ということだろうか。
自分で定めたリミットはあと1回。これで通算8回目なんだから、もうそろそろ出てくれてもいい頃だろう。
謎の敗北感
またも吉。5連続で吉。とことん吉。脱おめでた男は見事に失敗だ。
神託は最初から間違っていなかったということなのだろう。さすが神様、ぶれることない豊川稲荷。
ここまで来ると、当初の目的とは違うがなんだか達成感も感じられる。わかりました、もうわかりました。さすがに素直な気持ちになってきた。よくも悪くもない吉を静かに受け入れたいと思う。
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