五目焼きそばの手順で
食材の下準備はととのった。ここまででだいたい2時間が過ぎている。
普通の五目焼きそばだったらもう食べ終えて皿を洗ってちょっと昼寝くらいしているような頃合だが、五百目ともなると工程ひとつをこなすのにも時間がかかるのだ。
普段は1枚しか着ていないシャツを100枚着てるみたいなことをしているのだと思うとそりゃあ動くのもゆっくりだ。
パクチーと鶏の燻製を乗せて完成
最後には金粉を振りかけて仕上げる予定だったが、ここで編集部 安藤の強い希望から鶏の丸焼きまるまる一羽と大量の刻みパクチーを載せることに。
調味料が東南アジア風だったので、それならパクチーだろうという判断だ。
鶏の丸焼きにパクチーと結果的に五目焼きそばとはかなり遠い地平にたどり着いてしまったが、完成の興奮に沸いたあのときの私たちはただ拍手をするばかりであった。
よし、食べよう。前代未聞の五百目焼きそばを。
「おもちゃ箱をひっくりかえしたような」
この料理を一言でいうとこうだった。
「おもちゃ箱をひっくりかえしたような味」
試食の間、誰も言わなかったが、おそらく恥ずかしくて遠慮していたのだと思う。思い返せばそれしか上手く説明できる言葉がない。
500の食材が、どれもこれもほんの少しづつ入っている。皿に取り分けてしまうともう五百目ではなく、選ばれし数品が入っているというあんばいだ。
おもちゃ箱というか冷蔵庫か。冷蔵庫をひっくりかえしたような料理、というと正しいのかもしれない。
何口食べても味が違う
さらに何しろ具の種類が多いので口に入れても何を食べているのか分からないことが多い。
分からないまま飲み込んでしまうと「もう一口」と確かめることができない。何口食べても味が違うのだ。
好きなものが入っていると「おいしい!」し、苦手なものが入っていると「はっ!」となってしまう。宇宙的な料理なのである。
「この五百目焼きそばから、不要な食材をひとつひとつ抜いていったら美味しい焼きそばができるんじゃないですかね!」と最後に石川がひらめいたが、それがきっと五目焼きそばなのだろう。
レシピ「五百目焼きそば」
さて、最後に今回作った焼きそばのレシピをご紹介しましょう。
具は適宜、自宅にあるものに変えていただいて良いかと思います。