正義と悪が色で交錯
実践してみたのは父だけだが、色というのは人の認識に結構な影響があるようだ。続いてはまた別の物の色を入れ替えてみたい。
今回はおもちゃ売場を物色。足が止まったのは、ウルトラマンシリーズの人形コーナーだ。ここなら色の入れ替えに適したペアが見つかりそう。
まず、怪獣代表として選んだのはエレキング。知名度も高く、代表的なウルトラ怪獣のひとつだろう。
特徴的な模様や頭部の角が印象的なデザイン。クリーム色と黒のコントラストがはっきりしているのも、今回の試みにぴったりのビジュアルだ。
対するウルトラ兄弟からは、初代ウルトラマンをチョイス。エレキングは本来ウルトラセブンと戦った怪獣だが、「いかにもウルトラマン」と認知される柄はやはり初代と考えたゆえの選択だ。
色を入れ替えることで、見た目から感じる正義と悪の印象は逆転するだろうか。それぞれの色を調べるために、ここでツブカラを使用。
1日目はジェッソという白の下地材を塗っておく。上に塗る塗料の発色をよくするためのステップだが、並べてみるとそれぞれの正義感と悪役性が中和されたように見える。やはり色とイメージとのつながりは結構なものがあるようだ。
下地が乾いた2日目はいよいよ色を入れていく。今回用意したのは、3原色のアクリル絵の具。
子供の頃、図工の時間に色の3原色は赤・青・黄と習った覚えがあるが、現在一般的に言われているのはシアン・マゼンタ・イエロー。プリンタ用の替えインクでもおなじみの色だろう。
イエローはともかく、シアンとマゼンタは普通の赤や青より明るく、混ぜたときにも濁りが出にくいそうだ。これらの色を混ぜることで、自由に色が作れるわけだ。
ここで役に立つのがツブカラでピックした色のデータ。その数値を参考にして、絵の具を混ぜて色を作る。実際、こうした使い方は絵を描くときにも活用できるのではないだろうか。
3日目はもう一つの色を入れていく。この行程が完成度に最も関わる部分と思われるため、慎重に進めよう。
そして完成した、エレキング柄ウルトラマン。おお、ここまでやると、やっぱり大きく印象が変わってくるぞ。
すっかり心が入れ替わってしまったように見えるウルトラマン。地球を守ってくれそうには見えない。
本来のウルトラマンも、この2人から同時に攻められたら負けてしまいそう。このままでは地球の平和が危ない。どうなってしまうのか、ウルトラマン!
いよいよ追い詰められたウルトラマン。そこに「やめろーっ!」と声がした。